女神たちの遊戯
帝都の一際高い塔の上に、一人の女性が座っていた。
女性の頭には八角の角が生えており、背には黄金の翼があった。
そして女性の体からは、冷たく濃い香気が放たれている。
彼女は帝都の混乱を見て薄ら笑いを浮かべていた。
「踊れや踊れ・・・」
美しい声色であったが、何処か冷たい感じがする声であった。
彼女が魔帝の命を受け、魔帝が近々戦乱を起こすという噂を流したのだ。
そこに神々しく美しい女性が虚空からあらわれる。
「あら、たのしそうですわねーカーリー」
「パールヴァティー・・・いや今はリボーンか?」
リボーンは、気軽に女性の王の隣りに座る。
「あなたは今は乾闥婆王でしたっけ?本物はどうしたのかしらー?」
乾闥婆王は、赤く長い舌で美しい唇を舐める。
「あららー本物も災難ねー」
「くっくっくっ・・・貴方、こそこそと何かしているみたいじゃないの」
「あらーばれてた?それでさー魔帝君がこの世の全てに対し喧嘩を売るって本当なのー?」
「本当よ、あの子は本気でやるわね。あの子何万年生きようとも中身は子供だから」
乾闥婆王が楽しそうに答える。
「魔帝君がこの世の四分の一を支配しているのは確かだけど、他の四分の三を相手はきついんじゃないの?」
「ヴリトラを解き放つんでしょうね」
「ヴリトラ?あれを解き放ったら魔帝君もあぶなくない?」
「あれは見境のない破壊のアスラだから、敵も味方もないでしょうね。でも、私はどうでもいいわ。私としてはこの世が血と殺戮に満ち溢れれば満足よ」
「貴方って昔から変わらないわねー」
リボーンは呆れ顔である。
「根っからの血と殺戮を好む戦いの女神なのよ私はね」
乾闥婆王はリボーンの方を見ながら壮絶な笑みをうかべた。
「ねーねー勇者君に呪いを掛けたのも貴方?」
「さーどうでしょうね、私の邪魔になりそうな子には色々ちょっかいを出したから、その中の一人にいたかもね」
乾闥婆王はニヤリと笑った。
「じゃあ、私はいくねー、ケルベロス君にも謝らないといけないしー」
そういうとリボーンは再び虚空へと消えていった。
ケルベロスは、白く何もない空間で目を覚ました。
ケルベロスはこの空間の事を知っていた。
ここの主はいなかったが、たぶんどこかにふらりと行っているのだと早々納得した。
そのうち戻って来るだろうと、ケルベロスは欠伸をし惰眠を貪った。
「ごめんねー待った?ケルベロス君」
数刻すると、この空間の主が戻ってきた。思ったよりも早かった。
『リボーン様お久しゅうございます』『リボーン様いつもながらお美しい』『リボーン様なでて下さい』
リボーンはケルベロスの頭を順番になでる。
ケルベロスは尻尾をびゅんびゅんふっている。
やたら犬っぽい。
「それと、ハク君たちをけしかけちゃってゴメンね」
『お気になさらずに』『寧ろありがたい』『数百年ぶりに戦いを楽しめました』
『我らが死んだのは』『我らの力不足』『我らは奴を侮りすぎた』
『『『あ奴は我らに見事勝利してみせたのです』』』
ケルベロスに後悔はないようだった。
「それで、これからどうする?転生させてもいいよ?」
『それならば』『ならば』『願いたいことが』
ハクが手続きを済まし、グラナダの門をくぐると、足元に白い子犬がまとわりついてきた。
「何だお前は?」
ハクがしゃがみ子犬の頭を撫でると、子犬はぶんぶんと尻尾を振る。
かわいらしい犬だが、あまり食事をしていないのか痩せている。
親からはぐれたのかもしれない。
「なんじゃ、その子犬は?」
ドランが聞いてくる。
「さっきから、俺の足にじゃれついてきて離れないんだよ」
「お前に連れて行って欲しいんじゃないか?」
子犬は、ハクの手をぺろぺろ舐める。
「んー?お前、俺に着いてくるか?」
子犬はワンと嬉しそうに鳴くと、ハクの胸に飛び込んできた。
暗躍する女神たち。
ついでに子犬追加|ワ・)




