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勇者はいってます。  作者: 夢見創
六章目 海原を越えていけ
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女神たちの遊戯

 帝都の一際高い塔の上に、一人の女性が座っていた。

 女性の頭には八角の角が生えており、背には黄金の翼があった。

 そして女性の体からは、冷たく濃い香気が放たれている。


 彼女は帝都の混乱を見て薄ら笑いを浮かべていた。

「踊れや踊れ・・・」

 美しい声色であったが、何処か冷たい感じがする声であった。

 彼女が魔帝の命を受け、魔帝が近々戦乱を起こすという噂を流したのだ。


 そこに神々しく美しい女性が虚空からあらわれる。

「あら、たのしそうですわねーカーリー」

「パールヴァティー・・・いや今はリボーンか?」

 リボーンは、気軽に女性の王の隣りに座る。


「あなたは今は乾闥婆(けんだつば)王でしたっけ?本物はどうしたのかしらー?」

 乾闥婆(けんだつば)王は、赤く長い舌で美しい唇を舐める。

「あららー本物も災難ねー」


「くっくっくっ・・・貴方、こそこそと何かしているみたいじゃないの」

「あらーばれてた?それでさー魔帝君がこの世の全てに対し喧嘩を売るって本当なのー?」

「本当よ、あの子は本気でやるわね。あの子何万年生きようとも中身は子供だから」

 乾闥婆(けんだつば)王が楽しそうに答える。


「魔帝君がこの世の四分の一を支配しているのは確かだけど、他の四分の三を相手はきついんじゃないの?」

「ヴリトラを解き放つんでしょうね」

「ヴリトラ?あれを解き放ったら魔帝君もあぶなくない?」

「あれは見境のない破壊のアスラだから、敵も味方もないでしょうね。でも、私はどうでもいいわ。私としてはこの世が血と殺戮に満ち溢れれば満足よ」


「貴方って昔から変わらないわねー」

 リボーンは呆れ顔である。


「根っからの血と殺戮を好む戦いの女神なのよ私はね」

 乾闥婆(けんだつば)王はリボーンの方を見ながら壮絶な笑みをうかべた。


「ねーねー勇者君に呪いを掛けたのも貴方?」

「さーどうでしょうね、私の邪魔になりそうな子には色々ちょっかいを出したから、その中の一人にいたかもね」

 乾闥婆(けんだつば)王はニヤリと笑った。


「じゃあ、私はいくねー、ケルベロス君にも謝らないといけないしー」

 そういうとリボーンは再び虚空へと消えていった。






 ケルベロスは、白く何もない空間で目を覚ました。

 ケルベロスはこの空間の事を知っていた。

 ここの主はいなかったが、たぶんどこかにふらりと行っているのだと早々納得した。

 そのうち戻って来るだろうと、ケルベロスは欠伸をし惰眠を貪った。


「ごめんねー待った?ケルベロス君」

 数刻すると、この空間の主が戻ってきた。思ったよりも早かった。

『リボーン様お久しゅうございます』『リボーン様いつもながらお美しい』『リボーン様なでて下さい』

 リボーンはケルベロスの頭を順番になでる。

 ケルベロスは尻尾をびゅんびゅんふっている。

 やたら犬っぽい。


「それと、ハク君たちをけしかけちゃってゴメンね」

『お気になさらずに』『寧ろありがたい』『数百年ぶりに戦いを楽しめました』

『我らが死んだのは』『我らの力不足』『我らは奴を侮りすぎた』

『『『あ奴は我らに見事勝利してみせたのです』』』

 ケルベロスに後悔はないようだった。


「それで、これからどうする?転生させてもいいよ?」

『それならば』『ならば』『願いたいことが』






 ハクが手続きを済まし、グラナダの門をくぐると、足元に白い子犬がまとわりついてきた。

「何だお前は?」

 ハクがしゃがみ子犬の頭を撫でると、子犬はぶんぶんと尻尾を振る。

 かわいらしい犬だが、あまり食事をしていないのか痩せている。

 親からはぐれたのかもしれない。


「なんじゃ、その子犬は?」

 ドランが聞いてくる。

「さっきから、俺の足にじゃれついてきて離れないんだよ」

「お前に連れて行って欲しいんじゃないか?」


 子犬は、ハクの手をぺろぺろ舐める。


「んー?お前、俺に着いてくるか?」

 子犬はワンと嬉しそうに鳴くと、ハクの胸に飛び込んできた。

暗躍する女神たち。


ついでに子犬追加|ワ・)

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