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勇者はいってます。  作者: 夢見創
五章目 古代の神殿と騒がしい者達
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灼熱階層

 4層目・・・の前に精神的に疲れたので、地底湖の横でキャンプを張ることにした。

 水竜がいたためか、ここには他の魔物が近づかないらしく都合もよかった。

 魔王が結界を張らずに済みそうなので、アオイとドランは胸をなでおろしていた。


 さすがに後ろに水竜の死体があるのはどうかと思ったので、クロクロに土下座して収納してもらっていた。


 ピエールさんは、キラーフィッシュのムニエルと、水竜のTボーンステーキを作っている。

 やたら美味そうな匂いが周りに立ち込めて、空腹気味になっている胃に直撃してくる。

 いつのまにか、皆ゾンビのようにピエールさんの周りに集まっていた。

「はやくくわせろぉおおお、ジュルリ」

 クリスティナが、だいぶやばかった。

 ピエールさん、クリスティナの食事だけ、なにか混ぜてませんか?


 キラーフィッシュのムニエルは優しい味にしあがっており、身はふあふあで口の中で溶けるように無くなっていった。

 水竜のTボーンステーキは香辛料を効かせたガツンとした味で、かじる度に極上の肉汁が溢れてくる。

 味のコントラストの違いでグイグイ来るようなそんな料理であった。

「ピエールさん、私の所に嫁にきてくれない?」

 クリスティナさん、とうとうそこまで言い始めましたか。

 ていうか嫁って。


 最後にフルーツの自然な甘味で甘く仕上がった、透明な何かで作られたデザートが出てきた。

「ピエールさんこれなにー?つるんとして冷たくて美味しいんだけど」

 クリスティナがピエールさんに聞いていた。

「それはデースねー、乾燥・・・」

 全部言う前に、全員でピエールさんの口を塞いだ。


 次の朝、4層目へ突入を開始した。

 水路がすぐ上の層にあるせいか、ジメッとした通路が続く。

 無数の触手を持ったローパーとかがやたら多い。

 ハクはその度にクリスティナを前衛に出していたが、いいかげんにしろと怒られていた。


 5、6層も4層と同じような感じだったが、徐々に蒸し暑くなってきた。

 魔物も活性化しており、上の層より強い魔物が出てくるようになっていた。

 ただアカネとアオイが魔物が出る度にサクサクドカドカやってるせいで、あんまり実感はなかった。

 後ろから襲ってくる敵も、ピエールさんが前衛の二人より遥かに速い速度で料理していた。

 しかもピエールさんの服にはシミひとつ無かった。


 暑さで予想はしていたが、7層は灼熱地帯だった。

 所々火が吹き出ている

 通路自体は明るいので、メイはゴソゴソと革袋の中に戻っていった。


 当然火蜥蜴やら、火鳥とか、火系統の魔物が出てくる。

 カイや魔王が魔法で水を出して相手を弱らせ、弱った敵を前衛が叩くというセオリー通りの戦い方をしていたが。

 アカネは、斬っても血がすぐ熱で固まってしまうため機嫌が悪くなっていた。

「楽しくないキル!暑いキル!」


 水をさんざんばらまいてるせいで、湿度があがりサウナのような状態になっている。

 砂漠の乾燥地帯の暑さと違い、ジメッとした暑さは逃げ場がなく体にこたえる。


 フウがなんとかしようと風を起こしているのだが、熱い空気をかき乱すだけで役にたたない。

 ドランなんかは、すでに上半身裸になっており、滝のように汗をながしている。

「これは痩せるぞい」

 元気だなぁ・・・


 クロクロは放熱性の低いドレスを着ているせいで深刻だ、ジト目から生気が失われかけている。

 同じように全身鎧のクリスティナも流石につらそうだった。

 いつも元気なミリも静かになっているので、大分きついのだろう。

 このままではクロクロとクリスティナとミリが倒れかねないので、洞窟のような横穴に飛び込んだ。

 すぐさまヘキが横穴の入り口に壁を生成し塞いだ。

 一応空気穴として人が出入りできる程度の穴は残してある。

 

 そして簡易冷房装置を作る。

 手順は、まず黒歴史を耳打しエンを真っ白くする、そこにフウが風を当てる。

 これで完成である。ね、簡単でしょ?

 ここで注意するのは、エンを踏んだり、蔑んだ目で見たりしないことだ。

 エンが興奮し灼熱地獄に変化する。


 簡易冷房装置が完成すると横穴の温度がどんどん下がっていき快適な温度になった。


 ピエールさんは一息ついたかと思うと、ひょいと横穴を出て行き、しばらくするとゆで卵を大量に持って帰ってきた。

 火鳥の巣から卵を大量にゲットし、それに蒸気にあてて作ったらしい。

 火鳥の巣は十メートルを超える崖の上に作られるらしいのだが、ピエールさんである。

 問題はない。

 魔物もいる?ピエールさんだぞ?

 問題はない。


 塩を少々ふりかけただけの火鳥のゆで卵は、素朴だけど濃厚な味わいで実に美味かった。

 急いでかぶりつき過ぎて、喉につまり咳き込んでいるのが数人いた。

 咳き込んでいる人に魔王が冷たい水を出し配っていた。

 時々転んで相手に水をかけていたが、なぜか相手はサムズ・アップしていた。

 しかし、どんどん甲斐甲斐しくなっていくな、この魔王。


「とりあえず、この階層に長時間いることはキツい。クロクロ、ヘキに頼んで道を探してもらうのは可能か?」

 ハクがクロクロに聞く。


「ヘキなら熱にも耐えますし、大丈夫だと思いますわ」

 クロクロはヘキを呼び出しすぐさま指示を与える。


「アラホラサッサ!」

 ヘキは元気に出かけていった。




 数十分後ヘキが戻ってきた。そしてクロクロに耳打ちする。

「ルートは解ったらしいですが、最後に火炎ゴーレムがいるそうですわ」


「了解、じゃあ、そこまで一気に駆け抜けるか」

「異議なーしぃ」

「血が出る魔物の階層に早く行きたいキル」


 みなが立ち上がり筋肉を解したり準備運動とかを始める。

 疲れたのか、お眠になっていたミリは、魔王が背負った。


「さて、行こうか!」

 ハクがそう言うと、全員横穴から飛び出した。

ゆで卵もぐもぐ

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