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勇者はいってます。  作者: 夢見創
五章目 古代の神殿と騒がしい者達
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水竜の悲劇

 次の階層は水路であった、当然水棲の魔物の巣窟である。

 サハギンとかの人型の魔物はともかく、ヒルとかの不定形なものは女性陣がとても嫌がった。


 ただし、アカネだけは喜々としてぶった斬っていた。

「この黒いブヨブヨしたの斬ると、いっぱい血がでるキル、楽しいキル」

 ・・・うん。


 水面をジャンプして襲ってくる、キラーフィッシュとかも大量に出てきたが、これはピエールさんがサクサクさばいていた、というかその場で調理していた。

 包丁の一振りで瞬時に三枚におろすとかどうやってるんですか?


 今日のご飯は魚料理だ!

 事情を知らないクリスティナ以外はみんな安心していた。


 水の精霊王は細く収束した高圧水流で魔物を切り刻んでいた。

 最近馬車の掃除位しかやっていなかったので思う存分に暴れていた。

「はいはい、スパスパ斬っちゃいましょうねぇ、流しちゃいましょうねぇ」

 テンションがやたら高かった。


 迷路のような水路を抜けると直径30m前後の地底湖が広がっていた、水路に流れていた水はここから供給されていたらしい。

 対岸に下の階層に行く階段が見えるが、通路はなく渡る方法が見当たらない。

 湖の底は深く歩いて渡ることは出来ない。

 泳ぐにも棺桶を担いでいるハクは確実に沈む。


 一瞬クロクロに対岸に飛んでもらい・・・と思ったが、そもそもクロクロは大鎌で飛んでいるようで飛んでいないのだ。

 ・・・闇の精霊王に担がれているだけだったよ。


 ピエールさんは、地底湖の水をすくっていた。

 地下水なので水は澄んでおり、上質の水質なのかうんうんと頷いていた。


 魔王は、魔法で道を作ろうかと一歩前にでるが、クロクロに静止された。

 クロクロはエンの首根っこをひょいと掴み、その耳もとで何かをぼそぼそ喋った。

 エンは一瞬赤く顔を染めた後、色素が抜けたように真っ白になった。


 そんなエンをクロクロが湖の中にポイと投げ入れた。


 瞬時に地底湖が凍った。


 氷の厚さは1mを超えている、これなら棺桶の重さにも耐えられる。

 低温やけどをしたのか、メイがクロクロの手を治療している。

「さぁ渡るのですわ」

 そういって、大鎌で凍った地底湖を渡って行った。


 その後ろを皆がぞろぞろと付いて行く。やっぱりクロクロさんは頼りになるなぁ。


 ところで、エンに何を言ったんですか?湖の中で真っ白い灰になってるんですが。


 皆が渡り終えた時、下りの階段があった扉が突然閉まる。

 その後ゴゴゴという地響きとともに地底湖を覆っていた氷がバキバキと砕け散る。


 振り向くと、地底湖からなにか巨大な物体が現れようとしていた。

 推定十メートル、この層の階層主といったところであろうか。


 現れた物、それは美しい白銀の角を持った蒼い水竜であった。


『我の眠りを妨げたものはお前らかぁ』


 水竜はお怒りだった、まぁ寝てたら寝床を凍らされたんだから仕方ないのかもしれない。


「あの角、いい素材になるのう」

「水竜のデースか、色々試してみたいデース」

 素材組は毎度ながら不穏なことを言っている。


「困ったな逃げようにも退路も無いし、戦おうにも足場がないから遠距離からブレス撃たれて終わりだよな。仕方ないか・・・」

 ハクは棺桶の横に取り付けてあった、不思議な形の棒を取り外し、水竜の方に向けて構える。


『なんじゃそれは』


 水竜はおかしな行動をしているハクの方を凝視していた。


「このまま見逃してくれるとかありませんよね?」

 ハクが水竜に聞く。


『無い、我の眠りを妨げたものは万死に値する』


「ごめんな、文句はドランの方に言ってくれ」

 ハクは引き金を引いた。


 爆音と閃光と共に発せられた光が一直線に水竜の眉間を貫き、水竜の頭蓋の中の脳髄を瞬時に焼ききった。

 そして頭蓋内部で発生した高温のガスが急激に膨張し、水竜の頭部を内側から弾けさせた。

 水竜は何が起こったのかも認識できないまま絶命し、そのままぐらりと水面に倒れ盛大な水しぶきを上げた。


 ドランとハク以外の人間の目が点になった。


「角ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 ドランは絶叫しながら冷たい地底湖に飛び込んでいった。


 そおいや水竜の角も一緒に弾け飛んでいたっけ。


 水竜が倒れると向こう岸に渡る橋が湖の中から浮上してきた。

 いや正確に言うと、こちら側に来る橋が浮上してきたのだ。


「水竜を倒せば、こちら側に来れたわけね・・・」

 クリスティナがつぶやく、こうなってはいろいろ後の祭りである。


 ピエールさんは何処からともなく取り出した縄で、水竜が沈まないように岸に固定していた。

「貴重な食材を失うワーケには、いきまセーンから」

 そうですね。


 ドランは水竜の角を握りしめながら、焚き火の前でガタガタ震えていた。

 さっきまで凍ってた湖だしなぁ・・・

 無事角は回収はできたらしい。

 目は淀み、唇とかは紫色だけども。


 ドランがあたっている焚き火の中でエンが悶えていた。

 放置プレイにも、そろそろ目覚めてるな・・・これは。


 ピエールさんは水竜を早速解体していた。

 今日の夕食には水竜の肉が追加になったようだ。


 クロクロはジト目でハクとドランを見ていた。

 魔王は頭を抱えていた。

 クロクロと魔王の二人は神殿に入る前にドランから、ハクのライフルを小型にしたような魔導電磁レール銃を受け取っていたのだ。

 それがどういう代物か、目の前で確認した。

 あのサイズの武器が、階層主すら一発で倒すとかありえない。

 今はドランしか造れないものの、これが量産されでもしたら多分世界が変わる。

 そんな代物だった。


 クリスティナは、ハクから借りた魔導電磁レールライフルをミリと一緒に面白そうに触っていた。

 もちろん危ないので弾は装填していない。

 しかし、この二人は怖いもの知らずだなぁ。


 アオイは、そんなことはお構いなしに、まわりに金目の物がないか物色していた。


 アカネは「斬りたかったキル」と悔しがっていた。

 一番悔しかったのは、戦う前に為す術もなく絶命した水竜だと思います。

;y=ー( ゜д゜)・∵. ターン!

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