神殿ダンジョン
「おーい、みんな大丈夫か?」
その声とともに、光の精霊王メイが周りを照らし始める。
「船酔いした気分だわ」
「うぇえええ気持ち悪ぃいい」
「二日酔いみたいに、ぐわんぐわんするな」
「さすがにきついですわね」
「目がぐるぐるするかな」
魔王以外は転送魔法は初めてなのか、転送酔いで気分が悪そうだった。
臥せったり座り込んだりしている。
ピエールさんはなんともなさそうたが、あれはもう人としての規格が違っている。
転送された部屋は広い部屋であった。
天井は高いが窓などは一切なかった。
床には神殿の天文台にあったものと同じデザインの太陽と月の絵が描かれている。
壁は長い年月放置されていたためか苔むし風化し始めていたが、人によって荒らされた形跡はなかった。
ここから先は前人未踏の地であることは間違いなかった。
ピエールさんは、壁や床の苔や菌糸類を削って匂いとかを嗅いでいた。
ドランも匍匐前進しながら、床を叩いて組成を調べている。
とりあえず、気分が落ち着くまで、この部屋で休息することになった。
ピエールさんは優しげな味の温かいスープを即興で作り皆に配っていた。
そのスープを飲むと薬効もあるのか気分が落ち着く。
壁の苔に似たものが入ってるが・・・たぶん気のせい?
「前衛はアカネとアオイ、その後ろに俺とクリスティナ様、その後ろにクロクロとマオさんとミリちゃん、後衛がドランとピエールさんで良いですか?」
ハクがダンジョン攻略の陣形をつたえる。
「私が前衛でもいいのよ?一番硬いし」
クリスティナが前衛に出たがってるが、さすがに第一皇女をそうそう前衛には出来ない。
「まぁ、今回はこれでお願いします。敵によっては前面にでてもらいますから」
「仕方ないわね、解ったわ」
前方からオークの集団が現れた。
「くっころブー!」
「さぁクリスティナ様、前面に」
「まてやこらぁあああああああああああああ!」
とかいいながら、クリスティナはものの数分でオークの集団を殲滅していた。
ピエールさん、保存食ちゃんとありますから、オークを解体しようとしないで下さい。
まだ一層目なので出現する魔物はオークとかスライムとか雑魚が多いが、神殿だからなのか時々アンデッドが出てくる、その度にアカネが嫌な顔をしていた。
メイが通路を明るくするついでに、ていていと光をぶつけるだけで浄化されていくから敵ですらなかったが。
スライムはエンが加熱し乾燥スライムに変えていた。
ピエールさん乾燥スライムを回収しないでくださいね?
その他の魔物は、アカネの斬血丸に斬り刻まれたり、ヌンチャクという新たな武器を装備したアオイに粉砕されていた。
今のところ順調と言っていいだろう。
今回は、棺桶で壁を破壊し道を作っていないので進行に時間がかかっている。
いつもはクロクロが魔力の流れを読むことで大体の進行方向が判るのだが、今回は魔力の流れが普通ではなく目標方向をうまく特定出来ないらしい。
この状態で下手に道を作ると逆に迷いかねない。
ということで、めずらしく普通のダンジョン攻略になっている。
罠はアカネとアオイが野生の勘と持ち前の反応速度で回避し、ハクが棺桶で罠そのものを破壊している・・・あ・・・やっぱりそこは棺桶使うのね。
一層あたり三時間ってところだろうか?いつもは三十分なので六倍は時間がかかっている計算だ。
それでも普通の攻略者だと一層10時間はかかるので、それから比べると段違いに遥かに早いのだが。
四角い部屋の中で、ハクは道すがら作っていた簡易地図をみていた。
この神殿ダンジョンは、思ったよりも複雑で広いようだ。
ガコン!ガコン!ガコン!ガコン!
さっきから天井がうるさいが、棺桶を縦にして置いているので、それ以上は下がってこない。
トゲ付きの吊り天井を見ながら、みんなお茶とかを飲んで一息付いている。
こいつらの心臓にはたぶん剛毛が生えている。
アオイは途中で発見した宝箱の中身を仕分けしていた。
クリスティナがそれを見て「これとこれ」とか交渉していた。
「・・・クリスティナ様・・・目ざとい」
「私、目が肥えてるからね、ふっふーん」
罠部屋でこいつらは何やってるのか。
ハクが地図から目を上げる。
「あと一層進んだら、安全な場所を見つけてキャンプするか。マオさん結界頼めますか?」
「解リマシタ、任セテクダサイ」
「あの結界。僕はいれないんだけどぉ」
「俺様も入れん」
アオイとドランが文句を言う。
・・・お前らなぁ・・・
棺桶で吊り天井の天井を破壊し少し進むと、下層への階段が見えてきた。
前途多難なのか何なのかわからなかった。
クリスティナの扱いが、わりと酷いハクである。
次は階層主出ます・・・出ます・・・えーと・・・




