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勇者はいってます。  作者: 夢見創
五章目 古代の神殿と騒がしい者達
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太陽と月

「ここが、太陽の神殿なのね」

 クリスティナは神殿の遺跡を見上げている。

 神殿はイグドラの町から4時間位の地点にあった。

「この神殿は、上二層、下二層と狭く、すでに攻略済みという話になっている。出現する魔物も下二層の古代墓地に出るアンデットだけで、倒しても旨味もないので普段は放置されている」

 ハクがイグドラの町で聞いた事を説明する。


 アカネはアンデッドと聞いていやーな顔をしている。アンデッドは斬っても血が出にくいので気分が乗らないらしい。


「そこで、これだ」

 ハクは、懐からリボーンからもらった金属棒を取り出す。

「この神殿には踏破されてない階層がどこかに隠れている、多分これはその階層を開く鍵だ」



 数時間後、

「何も見つかんないぃいい」

「やっぱり騙されたのかなぁ、だから胸の大きい女は信用ならないんだぁ」

「アンデッド斬っても斬っても楽しくなかったキル」



 神殿をくまなく調べたものの何も見つからなかった。

 怪しい場所を数カ所、棺桶をぶつけて穴を開けてみたが何もなかった。


 仲間は全員つかれたのか、空の見える広場に集まっていた。

 クロクロは優雅に紅茶を飲んでいた。

 魔王は魔法でコップに冷たい水を出し皆に配っていた。

 ミリも魔法で水は出せるが、魔王ほど冷たい水は出せない。「師匠すごいかな!」と騒いでいた。


 ハクは広場に無造作に転がっていた神を祭る部屋に置かれていたと思われる神像の残骸を見ていた。

 砕けた神像の台座に意味深な文章書かれていた。


『太陽の力失われし時、黄泉への道開かれん』


「太陽の力?」

 ハクが空を見上げると、太陽と月が浮かんでいた。


「ちょっとまて、今日は何日だ?」

 自分の頭脳に入っている月と太陽の動きと周期を思い出す。

 そしてあることに気づく。


「リボーンさん、あんた一体何者なんだ、まさか俺たちがこの神殿に来る日付すらもわかってたのか?」


 ハクは鍵穴を探しでくたびれた仲間の方へと顔を向ける。

「だれか、この神殿に天井が開けた天文台のような場所を見なかったか?」


「それなら神殿の最上階にあったよぉ?」

 ひらひらと手をあげアオイが答える。


「そこに急ぐぞ、もう時間がない」

 ハクは棺桶をかつぎなおす。

 全員やれやれと立ち上がると、天文台に向かって駆け出した。




 アオイが見つけた天文台は、円状の部屋で天井には大きな窓が開いていた。

 床には太陽と月が描かれている。


 ハクは、すぐさま天文台の中を調べはじめる。

 壁画や文字を次々に読み解いていく。


「ここで間違いない」

 ハクは何かを確信する。


「クロクロ、この部屋におかしな魔力の流れがないか読んでくれ」

「わかりましたわ」

 クロクロが魔力の流れを読みはじめる。


「発動条件はわかりませんが、なにか魔力的な仕掛けがありますわね」

「発動条件ならもうすぐ揃う、みんな中央に集まってろ」


 全員が部屋の中央に集まる。

 すると昼間なのに、あたりがじょじょに暗くなっていく・・・これは?


「なんだこれぇ昼間なのに暗くなってきたぁ」

「うすぐらいキル、なにが起きてるキル?」


「マサーか日食デースか?」


「そのまさかだ・・・」


 ハクがそうボソリと言うと部屋が青白い光に包まれ始めた。

 どういう仕掛けなのか、部屋の床に複雑な光の魔法陣が描かれていく。

 だが肝心の術が発動しない。


「なにも起こらないキルね」

「なにか条件が足りないのですわ」

 魔王は魔法陣に違和感を感じる、確かに何かが足りていない。


 ハクはすぐさま魔法陣を読み取る、瞬時に構造を理解していく。


「・・・ココか」


 ハクはリボーンからもらった金属の棒を懐から取り出す。

 くるくると回し、頷くと、魔法陣のある一文に金属の棒を重ね合わせる。


 魔王はそれを見て理解した、光の魔法陣はワザと間違った文で書かれていたのだ。

 あの棒の特定の古代文字を重ねることによって、正しい本当の文章になるのだ。

 日食、魔法陣の文章を瞬時に読み理解する優秀な頭脳、そしてあの金属の棒が揃ってやっと発動する術だ。

 無茶苦茶過ぎる。


 魔法陣の光が突然輝き出す。


「コレハ転移呪文?」


 魔王はこの術式を知っている。だかこの規模の物は初めて目にする。

 パーティメンバーが次々に消えていく。


 そして最後に魔王が消えていった。




 魔法陣から光が消え、天文台は静寂を取り戻した。


 そこに一人の神々しく美しい女性が、なにもない空間からあらわれる。

「行ったわねーさすがハク君だー」

 女性はくすくす笑う。

 そして、落ちていた金属の棒を拾う。


「それじゃ、ハク君がんばってねぇー」

 女性はこんこんと床を叩くと、またすーっと消えていった。

ハクがちゃんと賢者してるとかあり得ない。

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