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勇者はいってます。  作者: 夢見創
四章目 砂漠を突き進め
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ヘーラー

「まさか、このような所で神鎧を見る事になるとは」

 迦楼羅王が感慨深くつぶやくと、自分の周りに巨大な魔法陣を展開し始める。

 さすがに神鎧相手は、配下程度では役不足なのだろう。


 空中に巨大な光の槍が出現する。

 長さは少なくとも十メートルはある、ケタ違いの魔力であった。


「疾くと逝ね」


 迦楼羅王から光の槍が放たれる。

 配下たちの攻撃より数倍疾く、しかも数十倍は強力であろう攻撃がヘーラーへと迫る。


 しかしヘーラーが手に持った王笏を軽く振ると、強固な障壁が展開され、閃光とともに迦楼羅王の攻撃は呆気無く霧散した。


「ほぅ・・・さすがは伝説の武装ということか。ならば、お前たちが勇者パーティというのはあながち嘘ではないのだな」

 迦楼羅王は腕を組み、面白そうにヘーラーを見ている。


 業を煮やした数体の配下の魔物が手に武器を持ちヘーラーに向かって襲い掛かる。


 それら攻撃はヘーラーに届くことはなかった、魔物は一瞬の内に斬り伏せられたのだ。

 

 返り血で真っ赤に染まったアカネが斬血丸を片手にヘーラーの肩にいつの間にか立っていた。


「雑魚は任せるキル!」

「乗り心地は保証しないよぉ?」

「大丈夫キル!ストレス発散キル!キル!キル!キル!」

 アカネは斬血丸をブンブン振り回している。

 やっと敵を斬れたせいかやたらとアカネのテンションが高い。


「それじゃ行くよぉ!」

 アオイがそう叫ぶと、ヘーラーは高速飛翔を開始する、

 そして空中に集っていた敵の中へと躊躇(ちゅうちょ)なく突撃していく。


 ヘーラーによる蹂躙(じゅうりん)が始まる。

 迦楼羅王の配下たちは、突然のヘーラーの出現と攻撃に対応しきれず、為す術もなく叩き潰される。

 逃げようとした者もアカネの残血丸に斬り刻まれていった。

 魔法防壁をはる者もいたが、圧倒的な力の前に防壁ごとすり潰される。

 まさに暴風のような攻撃だった。


 そして、瞬く間に迦楼羅王の配下たちは数を減らし、そして動くものはいなくなっていた。


 残りは迦楼羅王一人。


「我が配下では、相手にもならぬか」

 迦楼羅王は散っていく配下たちを見ても何の感傷も受けてはいないようだった。


 悠然と構え空に浮かぶ迦楼羅王に、アオイのヘーラーが襲いかかる。


 だが、その攻撃は空を切る。

 迦楼羅王は自らの身長の4倍はあろうかというヘーラーの全ての攻撃を、児戯を避けるかようにひらりひらりと()わす。

 しかも躱しながら、強烈な魔法をヘーラーに次々に撃ち込んでいく。

 ヘーラーが怒るように唸り声をあげる。


「空は我が支配する場所、伝説の武装であろうと、そのような鈍重なもので我を捉える事はできん」

 迦楼羅王が、ヘーラーを見下すように言う。


 アオイは一旦迦楼羅王から距離を取り、王笏をヘーラーの後ろに収納し徒手空拳となる。

 そして九頭流独特のゆったりとした構えを取る。


「ふーん、そぉ?それじゃぁ・・・九頭流、一の技の奥義『空歩(くうほ)』」


 ヘーラーが、そこに地面があるかのように空を駆けた(・・・)

 そして一瞬にして迦楼羅王を間合いにつめる。


「九頭流ニの技の一『正拳(せいけん)』」


 最も基本的な拳の突き、基本こそ正道、疾く重いその拳が迦楼羅王の胴体へ撃ち込まれた。


「うがxさdl;あskdsl」


 迦楼羅王は血反吐を吐き、声にならない叫び声を上げながら吹き飛ぶ。


「ば・・・馬鹿な、空で我が遅れを取るなどぉおおおおおおおおおお」


 迦楼羅王はなんとか空中で体勢を整えるが、予想以上のダメージが入っている。

 何重にも張ってある防御障壁が、薄紙のように一撃で破られた。

 なんという力だ、これが伝説の武装か?

 いや・・・あの動きは操者の能力だ、あの者見かけによらない強者だ。

 ぬかった・・・

 肋骨が数本折れ、それが肺に刺さったのか、息が苦しい、口にとめどなく血が溢れてくる。


 迦楼羅王は胸を抑えながら周りを見回す。

 だがヘーラーの巨体がどこにもいない。


「ど・・・どこだ!?」


 ヘーラーが目の前に突然あらわれる、死角である直上から降ってきたのだ。


「九頭流ニの技の七『崩落(ほうらく)』」


 ヘーラーは頭上で両手を結び、そのまま両手を迦楼羅王の頭頂へと打ちつけた。


 迦楼羅王は為す術も無く高空から地上へと叩きつけられる。

 その勢いと衝撃で地面にクレーターのような穴が穿たれる。


「げはぁあああああああああ」


 迦楼羅王は穴の中央で磔のようになっていた。

 そこに、赤い光が降ってくる。

 迦楼羅王の胸に深く何かが刺し込まれ、そして引き抜かれる。

 迦楼羅王の上には、刀をもった赤い少女が、迦楼羅王から噴き出る鮮血を浴びながら立っていた。


 迦楼羅王は致命傷を受けたことを自覚する、もう長くはない。


「貴様ら・・・許さぬ・・・空の王を地に落とす愚行・・・けして許せぬ・・・」

最近アオイが頑張ってるのは何なのか|ω・)

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