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勇者はいってます。  作者: 夢見創
四章目 砂漠を突き進め
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一分間だけがんばってねぇ

 魔物からの爆撃のような攻撃が延々と続く。


 迦楼羅王は、ハク達の中に美しい少女がいることに目ざとく気づく。

 ローブを深くかぶっていたので気づくのが遅れたが、かなりの上物だ。


 もちろん魔王である。


「そこの桃色の髪の娘。死皇帝様の貢物となるなら、生かしてやっても良いぞ?」

 迦楼羅王が高空から悠然と魔王に近づき言う。


「お主のような器量の娘はそうそうおらぬ、死皇帝様もお喜びになるだろう。お主なら死皇帝様の寵姫になる事も可能かもしれぬぞ?」

 迦楼羅王の舐めるような目に、魔王の背中におぞけが走る。


「ねぇねぇ、僕はぁ?」

 アオイが、ちゃっかり聞いていたのか、戦闘中なのに迦楼羅王に尋ねる。

「お主のような貧相な体の娘は始皇帝様の貢物になぞならぬわ」

 迦楼羅王が、どうでもよさそうに言い放つ。


 ピキーンとアオイの額に青筋が走り、そのまま無表情のまま跳ねるように後退する。


 そのままクロクロの近くまで移動する。

「クロクロ、1分間だけ僕の所に攻撃が来ないようにできるぅ?」

 アオイは敵の攻撃を鉄甲でパキーンパキーンと弾きながら、クロクロに聞いた。

 アオイの周りには、どす黒いオーラが立ちこめている。


「何をする気ですの?」

「ヘーラーで、あいつをボコるぅ」

「それは面白いですわね、ですが、わらわだけですと少々厳しいですわ」

 精霊王達は全力で対空戦闘を行っている。拮抗しており、アオイの方に回す余力はあまりない。


「ワターシがなんとかしまショーカ?」

 いつの間にピエールさんが横に来ていた。

「ん?面白いことをやるって?」

「俺様も混ぜろ!」

「ちょっとストレス溜まってるキル」

 ハク達もドタドタと集まってくる、流石に魔王とミリは馬車を守っている為動けない。


「じゃぁ頼んだよぉ、一分間だけがんばってねぇ」

 アオイは一瞬ハクやピエールさん達の目を見て、そして皆の背後に移動を開始する。


「心得まシータ」

 ピエールさんはそう言うと、懐から銀色のフォークを取り出す。


 即、投擲する。


 銀色の光が空に数条走り、その光は迦楼羅王の配下の魔物達の眉間を正確に射抜いていく。

 一瞬にして、五、六体の魔物が撃墜され地表に落ちる。

 これには迦楼羅王も驚愕し、ピエールさんから距離を取る。


 もうピエールさんだけで全部倒せるんじゃないかなぁ・・・


「フォークには数に限りアーリますし、あの様に距離をとらレールと一撃で倒すのは難しくなりマース」

 ピエールさん第四の壁を、さも当然のように破壊しないで下さい。


 ピエールさんは必殺のフォークで相手を牽制をし、攻撃をアオイから遠ざける。

 ピエールさんだけで、さっきから魔物を十体は狩っている、やはりこの人はおかしい。


「キョーウは鳥の献立で決まりでショーか?」

 迦楼羅王たちに、食材フラグが立ちました。

 逃げたほうがいいと思います。


 防御はハク、ドラン、アカネが担当している。

 それぞれの武器で敵の攻撃を次々に撃墜していき、アオイのいる場所まで届かないように阿吽の呼吸で敵の誘導や位置取りをしている。

 なんだかんだいいながら、優秀な戦闘民族なのである。

「斬れないキル!ムカつくキル!!!」

 うん・・・まぁ


 クロクロは全ての精霊王をアオイの防御へとまわす。

 流れ弾のように飛んでくる敵の攻撃を精霊王たちが次々に撃墜していく。

 これでアオイへの攻撃はほぼ無くなった。


 クロクロは精霊王による自らの防御を失った事になるのだが、フリフリのドレスを着ていながら、踊るように敵の攻撃をひらりひらりと躱し、直撃しそうなものは普段乗り物として使っている大鎌で弾いている。

 さすがクロクロさんパネェっす。


「さすがに、そんなに持ちませんわよ?アオイ急ぐのですわ」

 敵の攻撃を華麗に躱しながら、アオイにむかって叫ぶ。


 アオイはその声に、てをひらひらやって答える。

 アオイは自分の場所まで攻撃が届かないことを確認すると、懐から半透明のメダルを取り出し天にかざす。


「貞節を司るヘーラーの力を示せぇ!神鎧(ギガント)降臨!」


 アオイがそう叫ぶと、天にかざしたメダルから眩しい光が発生する。

 メダルの光は天を貫き、空中に複雑で巨大な立体魔法陣が描き出される。

 その魔法陣が星のように光輝くと、その光の中から染み出てくるように、金属製の人型が現出(げんしゅつ)してくる。

 それは王笏を持った女性のような青い巨人であった。


 神鎧ヘーラーである。


「者共!その辺の雑魚は捨て置け、先にあの巨人を討つのだ!」

 ヘーラーが魔法陣から出現するのを見た迦楼羅王は危険を感じたのか、全ての攻撃を魔法陣から現れたヘーラーに向けるよう配下に命じた。


「もう遅いよぉ」


 豪雨のような魔法攻撃がヘーラーに向かって降り注ぐが、アオイはそれを紙一重で躱しながらヘーラーに向かってジャンプした。

 それを狙ったかのように、ヘーラーから光が放たれアオイを収納する。

 アオイを収納すると、ヘーラーは息を吹き返すように空中を上昇し始める。

 そして空中に静止すると、なにかを確かめるように腕や足を動かす。

 最後に静かに王笏を構えると、拡声されたアオイの声が響いた。


「さぁ、ここからは僕のターンだよぉ?」


バトルは続く

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