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勇者はいってます。  作者: 夢見創
四章目 砂漠を突き進め
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迦楼羅来襲

 天から声が降ってきた。

「我が名は迦楼羅王、死皇帝の直属の使徒にして王」

 やたらと尊大な声だった。


 見上げると、そこには50体ほどの羽の生えた魔物がいた。

 声は、その中で一際立派な羽を持つ半鳥半人の個体からのようだった。


「死皇帝・・・魔帝の事かな?」

「彼の国ではそう呼ばれてますわね」

「なんでこんな所に?もう気づかれた?早すぎじゃないか?」

 ハクとクロクロがぼそぼそ言っている。

「斬るキル、殺るキル・・・」

 アカネはいつものとおりだった。


 ドランとアオイは様子見をしていた。

 魔王とミリはすぐさま馬車の影に隠れる。

 ピエールさんは、料理人とは思えない鋭い目で彼らを見ていた。


「お主らが、勇者パーティを自称する者どもか」

「あーえーと、そうだけどね・・・なんでバレてんだ?」

 慌てながら、ハクが答える。


 魔軍が勘違いして魔帝への進軍を始めたせいで、ついでに気付かれたというオチは流石に予想出来ない。


「ならば勇者を騙る者は何処だ?名乗りをあげよ!まさか名乗りも出来ぬ腰抜けが勇者を騙っておるのか?」

 迦楼羅王は尊大な態度を崩さずハク達に言う。


「あの中ぁ」

「その中キル」

「この中ですわ」

「この中」

「この中じゃな」


 全員があるものを指差す。いつもの光景だった。あ・・・ドラン増えてる。


 指で示す先を迦楼羅王がみると、車輪のついた得体のしれない棺桶があった。

 迦楼羅王が固まる。


「なめとんのか、おめーらぁあああああああああああああああああああ」

 切れた。


 すぐ切れるやつ多すぎだ、全体的にカルシウムが足りてないんじゃないだろうか?


「痴れ者共、ここで滅ぼしてくれるわ!皆の者殺れい!」

 迦楼羅王がそう叫ぶと、周りの羽の生えた魔物たちがハク達に向けて一斉に攻撃してくる。


 ハクたちのいる場所に無数の矢や魔法やらが雨のように降ってくる。

 爆音と砂煙があがり、周りがやたら見えづらくなる。



 煙が収まると、ハク達はゲホゲホと咳き込みながらも無傷で立っていた。

 水の精霊王が、水をまいて砂煙をおさめている。

 迦楼羅王の配下の攻撃は、ことごとく魔王の防御魔法に弾かれ・・・いや、今回はミリが防御魔法を使っていた。


「おぉおお、成功かな!」

 魔法を実戦で一発成功させたらしい、やたら肝が据わった娘である。

 将来は大物になるだろう。

 魔王がミリの頭を撫でている。


「ほう、勇者を騙るだけあって、あの程度の攻撃は防ぐか・・・面白い」

 迦楼羅王はそう言うと、部下に命じさらなる苛烈な攻撃を開始した。


 先程よりも激しくなった攻撃に、まだ未熟なミリの防御魔法では耐え切れず、魔王も防御魔法を展開させた。

 ただ攻撃範囲が広すぎて、馬車以外はまともに防御できていない。


「あ、やばい・・・こっちは圧倒的に対空力が足りない」

 棺桶を立て敵の攻撃を防ぎながら、ハクが少し焦っている。


「ハクの腕力なら、その辺の石を投げつけても奴らを撃墜出来そうじゃが?」

 隣でドランがハクに聞いてくる。


「あぁ・・・俺はノーコンなんだよ、そのへんの石とかだと軽すぎて何処に飛ぶかわからん」

 脳筋賢者、まさかのノーコンだった。


 あの腕力でノーコンだと、ヘタすればフレンドリーファイヤで味方がぽっくり逝きかねない。


「前に遊びで石を投げた時、何故か真下の地面に叩きつけて、そのまま石が跳ね返って来てだな・・・あやうく死にかけた」

 自殺も可能らしい。


「そ・・・それは困ったのう」

 ドランはのんきに会話しながら、敵の攻撃をウォーハンマーで弾いていた。


 アオイとピエールさんはドランと同じで、近くに来る攻撃を弾いているだけである。


 アカネは持ち前のジャンプ力でなんとか敵を撃墜しようとしていたが、さすがに相手の高度が高すぎる。

「ずるいキル!降りてこいキル!」

 悪態つきながら、敵の攻撃は防いでるのはさすがである。


 対空は今のところ、クロクロの精霊王(ぽんこつ)頼みであった。


「やっちまえええええええええええ!」

「おらおらぁああ!」

「死にさらせぇえ」

「へいへい、あせってるぅう?」

「おまえのかぁちゃんでーべそ!」

「おしりぺーんぺん」


 お前ら何処のチンピラ・・・いや幼稚園児か・・・


 精霊王達と、迦楼羅王配下の軍団との攻防は均衡していた・・・が


「まずいですわね・・・」

 クロクロが珍しく焦っていた、これは危険すぎる。


「あの迦楼羅王と名乗った魔物、守護竜級ですわよ」


 迦楼羅王は、当初からこちらに一切攻撃をしていない。攻撃しているのは彼の配下の者だけだ。

 ハク達程度は配下だけで片付けられると思っている。

 実際クロクロの見る限り、迦楼羅王と名乗る個体だけ魔力の総量が桁違いに多い。

 一体だけで配下の魔物五十体の魔力量をかるく上回っている。


 対抗できるであろう魔王は、立場的におおっぴらには手を出せない。

 ミリには攻撃魔法は教えていないし、そもそも防御で手いっぱいである。




 ハク達勇者パーティは、実は大ピンチなのかもしれなかった。

脳筋賢者はノーコン賢者

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