巨人の舞
今回は短いです
魔王はアプロディーテーの中で歌っていた。
優しく美しく心に染み入るような歌声だった。
アプロディーテーは、魔王の思い描く動きを、まるで魔王の手足のようになめらかに再現する。
魔王の故郷の舞。
幼いころ、母と一緒に皆の前で歌い舞い踊っていた懐かしい踊り。
アプロディーテーから光の粒が溢れ出し、まるで女神の羽衣のようにアプロディーテーを装いキラキラと輝く。
アプロディーテーの舞に合わせて、その光も優雅に、時に激しく動き人の目を惹きつける。
満天の星空の下で舞い踊る、幻想的で美しい巨人の舞。
クロクロの精霊王たちも、巨人の周りに集まり巨人を囲むようして舞い始めた。
6つの光が気持ちよさそうにくるくると踊る。
巨人と精霊王はシンクロし合い、舞う度に輝きが増していく。
自然とアプロディーテーの元に他の皆が集まってくる。
「あれを動かしているのマオ師匠かな!歌声綺麗!踊り綺麗!やっぱり師匠はすっごく素敵かな!」
アプロディーテーに見惚れはしゃぐミリをピエールさんが優しく撫でていた。
「あれが、アプロディーテーの舞かぁ・・・くやしいけど美しいなぁ・・・コキャっとするのはもう少し待ってやるよぉ・・・ミリが泣くのもいやだしぃ・・・」
少しふてくされつつも、アオイはアプロディーテーの舞から目を離すことは出来なかった。
「うむ・・・美しいのぉ・・・酒が旨いわい」
ドランは酒を片手に、言葉少なげだが優しい顔で巨人の舞をみていた。
「お兄ちゃん・・・あの歌、里の歌に似てるね」
「あぁそうだな」
アカネとハクは寄り添いながら舞を見ていた。
アカネの目には涙が浮かんでいた。
ハクはそんなアカネの細い肩を抱き寄せていた。
クロクロは勇者の棺桶の傍にいた。
「グロウ・・・貴方にも見せたかったわね」
クロクロは少し悲しい顔をしていた。




