快適な砂漠の旅
キランと銀色の光が宙を飛ぶ。
その銀光は、横滑りで移動する蛇サイドワインダーの脳天に刺さり絶命させる。
蛇を絶命させたもの、それは銀色のフォークだった。
「また、ピエールさんに負けたキル・・・・」
ずざっと駆け寄り、獲物を見たアカネは肩を落としていた。
ピエールさんと狩りの競争をやっていたようだ。
「飛び道具、ズルいキルー」
あかねは両手を上げて抗議する。
「アカネサーン、その蛇、チャーンと持ってキーテくださいネー、キチョーな食材デース」」
勝ったピエールさんはニコニコ笑っていた。
「えぇえ・・・これ食べるキル?」
蛇をつまみ上げたアカネが怪訝そうな顔をしていた。
「鳥のササーミみたイーデ、淡白で美味しいデースヨ?」
そういうと、ピエールさんは足元にいたサソリの尻尾を素手でひょいとつかみ、そのままつまみ上げた。サソリは怒ったのか爪で威嚇をしている。
「このサソーリも油ーデあげルート、カリッとしてエビのようなアージで美味しイーノのですが、ナゼーか皆さんにそれダーケはやめてと言われましターシ」
ピエールさんは指先でジタバタしているサソリをポイと地面に置く。サソリはすたこらと逃げていった。
いつもながら無敵の人だった。
闇の精霊王アンは、紫外線を防ぐ結界を隊列全体にかけていた。これでお肌へのダメージはだいぶ軽減される。
クロクロはアンの負担を減らすために、大鎌ではなく珍しく馬車の方に乗っていた。
「俺っち・・・残念無念」
アンとしては、いつものように上に乗っていてくれたほうが気分的にはいいのである。
パラパラと風に乗り飛んで来る砂は、定期的に水の精霊王が流していた。
「きれいきれいにしますのよー」
水は砂漠の熱ですぐ気化するが、気化するときに熱を奪うので全体の温度下げるのに役に立っていた。
というか砂漠で水を使い放題なのは贅沢もいいところである。
地の精霊王ヘキは意外にも大活躍をしていた。
「砂を固めるぜ!ヘイヘイホー」
魔導棺桶車両は砂地用タイヤにしたとはいえ、砂地とはやはり相性が悪かった。
気を抜くとすぐに砂に埋まり車輪が空回りする。大きさの割に重いので簡単に砂に沈むのだ。
他の馬車も車輪が砂にはまるので、なかなか移動速度が上がらない。
そこで、ヘキが砂を固め一時的な道を作りその上を走ることにした。
大きな砂紋があるため快適とは言いがたいが、車輪が埋まる事がなくなったため移動がずいぶん楽になる。
「ヘイヘイホー、ヘイヘイホー」
ヘキのテンションはマックスであった。
逆にテンションが低かったのは炎の精霊王エンだ、テンションが下がりきってなぜか白くなっている。
エンは熱を操る精霊だ、実はテンションが上がれば上がるほど熱量があがる。
じゃあ逆にテンションがマイナスだったら?
答、温度が猛烈に下がった。
「俺の右手が真っ赤に燃える・・・いや俺全身燃えてるし・・・ぶつぶつ」
黒歴史を思い出す度に、どんどんテンションが下がっていった。
テンションが下がり冷たくなったエンに、風の精霊王フウが風を当ててエンの冷気を皆にそよそよと流していた。
エンは精霊式冷房機にされていた。
「隣のみっちゃんに告白したら、アンタみたいな暑苦しい男嫌いって言われたんだよなぁ・・・・・ぐふふ」
突然熱量があがった・・・これだからマゾは・・・
あ、クロクロさんやめて下さい、踏んだらもっと熱量が上がります。
暑い、熱い、ぎゃああああ・・・
光の精霊王メイはやることがなかったので革袋の中に入り込んでいた。
ハクとドランは、新装備の角やスパイク車輪を時々襲ってくる魔物にぶつけて威力を確かめていた。
「凄いな!サンドワームが一発だ!」
「俺様の作った物だ、まだまだこんなもんじゃねぇぞ!」
魔物たちは角で穴を開けられたり、車輪ですり潰されたり散々な目にあっていた。
アカネが時々キルキルと叫びながら飛び込んでいったのは、日常の風景だ。
アオイはドランの馬車の御者をしながら意外にも静かにしていた。
ただ、ミリを見るたびに自分の顔をさわり「あれぇ?あれぇ?」と首をひねっていた。
魔王はそんな騒がしい連中をみながら、ピエールさんの馬車の御者をしていた。
日を避けるフードを深くかぶっているので表情は見えづらかったが、なんとなく楽しそうだった。
そんなこんなで砂漠のど真ん中を騒がしく進んでいった。
クロクロさん便利すぎです




