あ・・・あれぇえ?
ユニコーンは一旦距離を取り、また加速してアオイに突っ込んでくる。
深夜のため辺が暗く目視はしにくいのだが、アオイは気を読むことで相手の位置を正確に把握していた。
アオイはクズとはいえ達人なのだ。
アオイとユニコーンがクロスする瞬間・・・
「九頭流三の技の三『旋風脚』」
アオイは右足を軸に反時計回りに風を切りながら高速回転し、左足で後ろ回転蹴りを放つ。
その蹴りはユニコーンの左側頭に直撃し、ユニコーンの大きな体を揺らがせ地面に横倒しにした。
ユニコーンもこの衝撃にはたまらずいななきをあげる。
アオイはそのままの勢いで左足を大きくギュンと上にあげると、ユニコーンの胴体に向けてギロチンのように踵落としを執行。
ユニコーンはその踵落としを、とっさに体をゴロンと横に回転することで避ける。
アオイの踵落としは、ズドンという音とともに地面に大きな穴を開ける。恐ろしい程の威力である。
「ちっ・・・避けられたか・・・」
ユニコーンはすぐさま起き上がると、跳ねるように移動しアオイから距離をとる。
「今度は、こちらから行くよぉ」
アオイはゆったりと構える・・・
「九頭流一の技の五『神速歩』」
バンという音とともにアオイの姿が掻き消える。
その次の瞬間にはユニコーンの右側面にアオイはいた。
ほとんど瞬間移動かと思えるほどの尋常ではない速度で、瞬時にユニコーンとの距離を詰めたのだ。
「九頭流ニの技の四『崩拳』」
ボッっという風切音とともに必殺の拳が打ち出される。当たれば致命傷となりうる威力の拳だ。
だがその拳は空を切る、ユニコーンは瞬時に後ろにジャンプしたのだ、馬というよりも鹿のような動きだった。
「ちょこまかとぉ・・・小賢しいぃ・・・」
ユニコーンは興奮しブルルッと鼻嵐する。
そして一瞬体勢を低くしたかと思うと高くジャンプし、アオイの頭上を超えの後ろへと回りこむ、そしてすぐさま後ろ足でキックを放つ。
アオイは体を半身程さばくことによって、それを紙一重で避ける。
大ぶりの攻撃なぞ怖くない、当たれば致命傷の威力だが、当たらなければいいのだ。所詮は馬、それほど技のバリエーションはない。
アオイは勝ちを確信する。
決定打に欠けるユニコーンは、アオイにジリジリ押されるように下がっていく・・・
時折攻防はあるもの、アオイにユニコーンの攻撃が当たることはなかった。
逆にユニコーンの方はアオイの攻撃を避けきれず、致命傷はないものの徐々に傷や打撲痕が増えている。
アオイはユニコーンを見据え、にやりと笑う。
何かを感じたのかユニコーンは後ろへとジャンプして距離を取る。
「死ね、糞馬・・・九頭流一とニの合わせ技の三『疾風拳』」
超高速移動と拳による打撃技の合わせ技である。
アオイは風となりユニコーンとの距離を一気に詰め、ユニコーンに向かって移動速度を上乗せした超高速の突きを放った。
その拳はユニコーンに届くことはなかった。
アオイの全身が紫電を放ち痺れる。
「っがぁあああぁあああ・・・・これは糞結界・・・あの女のテントの位置は把握して・・・こんな場所に・・・あるわけが・・・・」
ユニコーンは逃げながらアオイに幻惑の魔法をかけていたのだ。
ユニコーンを普通の馬であると思い込んでいたアオイは、ユニコーンの魔法によって感覚を狂わされ、アオイから逃げていると見せかけたユニコーンに、結界の近くへとまんまと誘い込まれていたのだ。
魔法の効果が切れたのかアオイの前にマオのテントが現れ、あれほどあったユニコーンの傷も消えていく・・・傷すらも偽装であったのか?
結界で痺れ動けなくなったアオイを見て、ユニコーンはにやりと笑い、後ろ足に渾身の力を込め豪快にアオイを蹴り飛ばした。
「あが!あが!あがぁああぁあああああ」
アオイは防御も取れない状態で地面を跳ねながら吹き飛んでいく、そして木に勢い良く激突すると前のめりに倒れ、数度痙攣すると、そのままピクリとも動かなくなった。
ユニコーンはパカリパカリとアオイに近づくと、前足で器用に砂と土をアオイに被せていった。
時間は朝に戻る。
「あの糞馬・・・とっさに鉄気功が使えてなかった死んでたよぉ・・・」
クロクロに命じられ光の精霊王メイが「ヒール」とか言い、アオイの怪我を直している。
効きが悪いのか、メイは少し頭をひねっている。
邪悪なものには効きが悪いのかもしれない。
そんなアオイの前に、ミリが寄ってきてちょこんと座る。
そして、アオイのほっぺたを突然両手でむにむにしはじめる。
「お兄ちゃん、せっかく綺麗なお顔なのに、眉間にシワを寄せるのもったいないかな」
そして眉間のシワを伸ばすようにマッサージを始める。
アオイは、ミリに一体何をされているのか把握できていなかった。
ぷにぷにした指で、むにむにされて微妙にこそばゆい。
何故かアオイは笑いがこみ上げてきた。
「そうそう笑うかな!笑えばすごく素敵かな!」
ミリはアオイの顔を見ながら満面の笑みを浮かべた。
その顔を見た瞬間アオイの顔が熱くなった。
「あ・・・あれぇえ?」
ドランが魔導棺桶車両の車輪を砂地用の幅広のタイプに取り替えていた。
「ハク!変形機能は当分使えないからな?この車輪のサイズだと流石に収納部分に収まらん」
「了解、だとすると持ち上げるの大変だなぁ」
ハクが残念そうに返事をする。
その顔を見てドランがにまりと笑う。
「その代わり・・・変形用の青ボタンを押すと・・・ポチッとな」
車輪の接地部分に凶悪なスパイクが無数に出てきた。
ドランとハクが、ガシっと手と手を握り合った。
クズに何故かフラグがたちました
あと・・・また棺桶が凶悪に・・・




