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勇者はいってます。  作者: 夢見創
四章目 砂漠を突き進め
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アオイとユニコーン

 ハク達はイグドラに向かう砂漠の手前の街で、馬車を引くラクダを複数頭手に入れていた。

 これから二週間ほど砂漠の旅になるし、絶対に必要になるものだ。

 けして安くはなく手痛い出費だが、グラナダにたどり着けば売却できるので、ある程度は回収出来る見込みだ。


 魔王はユニコーンの目の前に地図を広げ、身振り手振りしながらルートの指示をしていた。

「ヨイカ、コノルートヲ辿るノジャゾ?」

 ユニコーンは地図を見ながら魔王の言葉に頷き、最後まで聞くといななきをあげた。


「えっと・・・それで解ったのか?あの馬は・・・というか地図読めるのか?」

 それを見ていたハクは少々困惑気味である。


「ハ、ハイ・・・頭イイ子デスカラ」

 魔王はハクから目を逸らしながら答えた。目が少し泳いでいた。


 馬車から馬たちを離すと、全頭がユニコーンの元におのずと集まり、ユニコーンと何かをヒヒヒーンと会話しているようであった。

 そしてひときわ高くユニコーンいななくと、魔王にペコリと一礼し、他の馬を引き連れ街道に向かって走っていった。

「あ・・・うん・・・解ったぽいね・・・」





「あの馬ぁああああああああああああああああ、ころすぅうううううううううううう、どこにいったぁああ」

 何故かボロボロになったアオイが、どこからとも無く這い出てきた。

 全身が泥まみれ砂まみれになっていた。

 怒りで眉間に大きなシワ出来ていた。




 さて・・・アオイに何があったのか?

 夜にまで時間を戻す。


 アオイは九頭流の一の技の歩法「霞歩(かすみあるき)」を使い足音もたてず、あるテントへと向かっていた。

「今日こそ、コキャっとぉ・・・ふひ・・・ふひひひひっひひっひひ」

 ぼそぼそと喋ってるせいで、足音を消している意味はなかったが、目的のテントの近くまで到達する・・・


 ミリと魔王が就寝しているテントである。

 もちろん目的は魔王をコキャっとする事だった。


「コキャっとするぞーコキャっとするぞーコキャっとするぞーコキャっとするぞーコキャっとするぞー」

 アオイの目はかなりイった状態になっている。


「シャァアアアアアアアアアアアアアアアアア・・・ぎゃぁああああああああああああああああああああああああ」

 テントに向かって跳びかかった瞬間に、アオイの体に紫電が走る。


「防御魔法・・・いや・・・結界かぁ?」

 全身に電気が流れたように体が痺れ動きが鈍くなる。筋肉が硬直しうずくまるようにしゃがむ。

 息遣いが荒い、かなり強力な結界だったらしい。

 アオイは上目遣いで、憎々しげにテントを見る。


「あの(あま)ぁあぁあぁ」


 テントの周りにはミリの安全のために、魔王が邪悪な者を払う不可視の結界を張っていた。

 アオイ・・・お前・・・結界に邪悪認定されたんだ・・・

 というか魔王、魔王なのに邪悪な者を払うとかいう結界の中で寝てるんですか?



 うずくまる葵の耳に、カッパカッパと何かの足音がアオイに近づいてくるのが聞こえる。


「・・・あの女の馬ぁ!」


 魔王の馬、ユニコーンである。


 ユニコーンはアオイを確認すると一気に加速、アオイの直前で前足を振り上げ、そのままアオイに足を叩きつけた。

 全身にまだ痺れが残るアオイは、いつものように避けることが出来ず、ズム!という重い音をたて吹き飛ばされる。


 かろうじて防御はしたが、ユニコーンのケタ違いの加速力と体重が乗った重い攻撃は、体重の軽いアオイでは完全に防ぐことは出来ない。

 息が止まり、口の中に鉄の味がする。

 胸に鈍い痛みがする、肋骨にひびでも入ったかもしれない。


 アオイはぺっと血の混じったつばを吐くと、深呼吸とともに全身に気を流し痛みと痺れを軽減させる。


「こいよ糞馬ぁ、相手をしてやるぅ・・・獣風情が人間に喧嘩売った代償はしはらってもらうよぉ!」


アオイ VS ユニコーン

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