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勇者はいってます。  作者: 夢見創
四章目 砂漠を突き進め
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魔帝

 死禁城(しきんじょう)、周囲4キロメートルにも及ぶ巨大な城。

 万を数える者達がたった一人の主のために蠢く魔城。

 贅を尽くした装飾に彩られた城は絢爛豪華ではあったが、どことなく肌寒いような不気味さを漂わせる不思議な場所であった。



 その最奥、玉座の間。


死皇帝(しこうてい)様、至急にお耳に入れておきたい事柄が二件程御座います・・・」

 半身半獣の者が、主のおわす御簾(みす)の前に(かしず)いている。

 彼の声は見た目に反してオペラ歌手のように美しい。


「聞こう、緊那羅王(きんならおう)

 ひどく若い声が帰ってくる、十代になったばかりの子供のような声だ。

 だが喋り方は老獪さを感じ取れる。

 声の主は御簾に遮られ、はっきりとした姿は見えない。


「西方の魔国の軍が我が国へと進軍を開始しております。彼奴等の宣戦布告はまだ確認しておりませぬが、こちらも相応の準備をしておくのがよろしいかと・・・」

 緊那羅王は緊張した声で報告をする。

「ほう・・・今の魔王は争いごとは好まぬと聞いておったのじゃがの。しかし他国に我が国が攻められるのは70年ぶり位か?攻め滅ぼすことはあっても、攻められることはなかったからのぅ」

「死皇帝様の絶大なるお力に抗う事ができる者はおりませぬゆえ」

 緊那羅王はうやうやしく答える。


「彼奴等の軍の総数は如何程じゃ?」

「四天王率いる四軍、総勢二十万でございます」

「ふむ・・・久々の祭りじゃな。ならば五十万の兵を夜叉王(やしゃおう)下賜(かし)与える、存分に蹂躙してやるが良い」

 声の主は楽しそうだった。

「はっ!そのように、夜叉王も喜び勇むで御座いましょう」



「そして、もう一つの事柄とは何じゃ」


「そちらの方は、まこと小事なのでは御座いますが・・・人の国より勇者を騙る者共が、やはり我が国へと向かっているとの事です」

「勇者とな?」

 御簾の中の声が少々高ぶる。

「詳細は未だ不明ではありますが、たしかに遠見の者達が魔国の軍とは別に、強大な魔力の持つ存在がこちらに向かっているのを感知しております」

「ふむ?人の国と魔国が手を結んだということか?」

「いまだ人の国の軍は動きを見せてはおりませぬゆえ、その線は薄いかと思われます。が、まだそうと断定するには情報が足りませぬ。勇者を騙る者達の目的も未だ不明で御座いますゆえ」

「ならば迦楼羅王を、その勇者を騙る者共へと差し向け調べさせよ。奴ならば足が早かろう。もし其奴らが胡乱な者であればその場で狩れと命じておけ」

「はっ!迦楼羅王ならば、主の命に存分に答えましょう」

 緊那羅王は深々と頭を下げる。




「ところで、緊那羅王よ・・・」

「はっ!」


「飯はまだかいのぉ」

 妙な空気があたりを包み込む・・・


「はひっ?・・・夕餉でありましたら先ほど・・・」

「はて・・・そうじゃったかの」

 緊那羅王は、これが主の素なのか冗談なのか判断出来なかった。

 迂闊なことを言えば、一瞬にして灰にされかねないのだ、緊那羅王はビクビクしながら一礼をすると主の元から去っていった。




「勇者のう・・・もし本当であれば迦楼羅王は狩られるじゃろうな・・・くっくっくっ・・・朕自らが戦う事になるやも知れぬのう・・・それはそれは楽しみなことじゃ」

 御簾の内側から、くぐもったような笑い声がした。


魔帝のほうは天龍八部衆です。


絵を描いてたらストックがギリギリに・・・あ、次の絵はアカネですよん

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