頭の良すぎる馬
ハクたちと、クルガリオ将軍は、その日の内に別れる事になった。
ハク達は次の街へ進むため、クルガリオ将軍の部下たちはハク達が攻略したダンジョンの詳細な調査へ、将軍本人は公務の為に帝都の方に戻ることになったためだ。
ハクと将軍は握手を交わす。
「将軍お元気で」
「じゃあなハク、今度は帝都で旨い酒でも飲もうぜ!」
「将軍!俺様も飲ませろ!」
「あーわかったわかったドラン、お前もハクと一緒に帝都に来たら飲ませてやる!」
「よっしゃ!期待してるぜ!」
そこにクロクロが静々と近づいてくる。
「御機嫌よう、お兄様」
「お前こそ元気でな。グロウの事はこっちでも調べておく」
将軍はクロクロの頭を乱暴に撫でる。クロクロは目を細めるものの嫌がってはいなかった。
「キルキルー」
「アカネも元気でな!」
「アオイ、お前は自重しやがれ」
「えーなんで僕だけおこられるのぉ?」
アオイはブーブー言っている。
「ピエール!お前の料理は最高だった、また食わせろよ!」
「ハイ、また腕にヨリをカケーテお出しいたしマース」
ピエールさんはそう言うと将軍に一礼した。
ミリとマオも一緒に礼をする。
「またな!」
クルガリオ将軍は、普通の馬より二回りは大きい軍馬にまたがり颯爽と駆けていった。
「次は砂漠の街グラナダか、ここからだと小さい宿場町を経由しながら2週間ってとこかな」
ハクとピエールさんが地図を広げ、今後のルートを考えていた。
「ワターシ、ここの町に寄りたいんですヨネー」
ピエールさんは、砂漠の外れにある小さな町イグドラを示す。
ただし、そこに行くためには、街道から外れ砂漠を抜けるコースになる。
「ここニーハ、素晴らしい香辛料がーあるらしいのデース」
香辛料は料理人にとって喉から手が出る程欲しいものだ、しかも少し前までは胡椒と金が同量で交換とかあったくらい貴重な物だ。
雇われている立場としては、雇い主の意向はできるだけ聞かねばならない。
「んー水に関しては、そっちのマオって女の子と、うちのクロクロが出せるから問題無いとして。砂漠で馬はきついな・・・」
「それなら、たぶん問題無いですわ」
「おぉうああ!?」
背後にクロクロがいた闇と同化していたため流石にハクもビビる。
「マオさんを呼んでくださいな」
クロクロがニッコリと笑う。
数分後、魔王がビクビクしながらやって来た。
ハクの目の前に来ると自然に正座をしそうになる。
「ナニカゴヨウデショウカ?」
緊張し機械のようにしゃべる魔王。動きもどこかカクカクしている。
「マオさん、貴方の馬は他の馬を連れて、この砂漠の街グラナダへと向かわせる事は可能かしら?」
クロクロは地図をついーとなぞり魔王に移動コースを示す。そのコースはもともと予定されていた順路であり整備された街道である為、馬でも問題なく移動ができる。
「エット・・・馬ダケデ、デショウカ?」
「だけでですわ」
魔王は一瞬なにを言われてるのかわからなかった。
帰巣本能で戻るならともかく、普通の馬ならば知らない場所へ馬だけで向かうのは絶対に不可能である。
だが魔王の馬は・・・
「・・・タブン、デキマス・・・」
「まぢで?」
ハクが驚く。ピエールさんも驚く。クロクロは当然という顔をする。
魔王の馬はユニコーンである、幻獣であり知能は人並み以上に高い。
クロクロには間違いなくユニコーンであることはバレている、というかこの娘は何処まで解っているのだろうか?魔王は戦慄する。
多分クロクロに誤魔化しは効かないだろう。
「ワ・・・私ガオ願イスレバ、コノ程度ノ事ナラ、アノ子ハヤリトゲマス」
「頭の良い馬ダート、思ってイマーシタガ、これ程トーハ」
「いやいや・・・頭良すぎだろ」
「ア・・・ウウ・・・」
魔王はクロクロに助けを求めるようにプルプルしながら目を向ける。
「マオさんの馬はエルフの乗馬ですわよ?そもそも普通の馬ではありえませんわ」
「そういう物か?」
「そういう物ですわ」
ジト目でハクを睨む。睨んでるだけなのに、なぜか物理的な圧迫感を感じる。
「お・・・おぅ」
賢者を無理やり納得させるクロクロさんが頼もしかった。
「では手前のオアシスの街でラクダを購入。わらわ達はラクダで砂漠へと進み、マオさんの馬達は街道を走らせ先回りをさせるということでよろしいですわね?」
いつの間にかクロクロが仕切っていた。




