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勇者はいってます。  作者: 夢見創
三章目 旅は道連れ
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魔王様を探しだせ


 お忘れでしょうが・・・

 魔王軍は、全軍で魔王を探していた。


「探せー草の根わけても、魔王様を探しだせぇえ!」

「我らの愛する魔王様を探しだせー」

「あふーん、魔王たぁあん」

「最後のやつは独房に入れて教育だぁ」

「サーイエッサー」


 大騒ぎであった。


「バイラ、お前のところの蟲どもからの連絡はまだか?」

 巨大な竜、竜王ゴウラが現在の状況を聞いていた。

「西の森の湖で痕跡は発見したブーン、でもその湖に得体のしれない毒が発生していたブーン、うちの蟲たちが大量死してそれ以上は調査出来なかったブーン、強力な殺虫効果だったブーン」

 人間サイズの甲虫、蟲王バイラが悔しそうに答える。

「グルルル・・・俺の部下も、その毒で鼻をやられた・・・何だアレはガウ、危険すぎて湖から三百メートル以内には入れないガウ」

 見事な毛並みが美しい、獣王ザキラも悔しそうだ。

「まさか魔王様が毒をまいたたとでもいうのか?・・・いや、あの魔王様がそんな事するワケがないな、むしろ毒があったら浄化する方だ」

 燕尾服を着たダンディな男、夜王マキラは、そう自問自答していた

 それは魔王としてはどうなんだ。


「他に情報はないのか?」

 すると天井より黒いシミが音もなく落ちてくる、斥候部隊のサイレントスライムだ。

「ゴウラ様、湖の南にある港街ラクスで魔王様を見たという情報が入りましたスラ」

「なんだと!?でかしたぞ、サイム」

 サイレントスライムを短くしただけの名前だったが、スライムにしてはかっこよさげな名前だった。

「すぐに魔王様を迎えに行くぞ!」

「ブーン、人間が抵抗してきたら、ラクスを攻め落とすブーン」

「グルル・・・膿の力見せてやるガウ」

「可及的速やかに侵攻しましょう」


「四天王様、お待ちになるスラ、その情報には続きがありますスラ」

「続きだと?」

 ゴウラが、ギロリとサイムを睨む。


「わが分体を街に放ち、情報を集め、その時にこの映像を手に入れましたスラ」

 サイムは映像記録魔石を体の中から取り出し、魔石映像再生機にカチッとはめる。

 そして映像が空中に表示される。


 それは、魔王様がメイド風の服を着て、ふりふりのエプロンとヘッドドレスを付けた映像だった。


「魔王たんキュンキュン、オムレツにはぁと描いてほしいキュン」

「メイド服ブーン、ドストライクブーン」

「ぶるぁあああああああ、魔王たんさいこー」

「クゥウン、クゥウウン」


「はぁはぁ・・・次はこれでフィギュアを作ってもらおう」

「グルル・・・そのフィギュア絶対予約するガウ」

「動画はないのかブーン、あったら買うブーン」

「抱枕のイラストに、この魔王たんメイド服バージョンをリクしておきましょう・・・きっと素晴らしい物に・・・たぎる」


 異様に盛り上がる四天王を見て、サイムは個人で極秘に手に入れた、魔王様のお宝映像を間違って表示してしまったとは言い出せなかった。

 冷静にカチャッと別の魔石を交換し、別の映像を表示する。


 そこの駄目魔将軍ども、残念そうな顔しない。


 それは魔王と勇者パーティ達の旅立ちのときの映像であった。

 旅人の格好をした素顔の魔王様と、周りに見知らぬ人間どもが映っていた。

「こいつらは何者ブーン?」

「勇者パーティと名乗っているらしいスラ。こいつらの映像を魔王城の生き残りに見せたスラ、魔王様が家出したあの日に城に侵入した狼藉者と似ているということスラ」

 いつの間にか魔王は家出扱いになっていた。


「魔王様は、この勇者パーティと名乗る痴れ者ともに、東方に向かったらしいスラ」

 サイムはそういうとプルプルふるえる。

「東方じゃと?あの魔帝のいる場所にか?まさか、魔帝に拐かされたのか?こいつら魔帝に連なるものか?」

「わからないスラ、魔王様はこの時死んだような目をしていたそうスラ」

「やぱり魔王たんは強要されていたブーン?救いくブーン」

「グルル、魔帝め・・・その首食いちぎってやるガルル」

「魔帝、ゆるせませんね。元々気に食わない者でしたので、この際潰しておきましょう」


 この件に関しては、魔帝はあまり関係ないのであったが、いつの間にか魔帝討つべしになっていた。

 魔帝、とんだとばっちりであった。




「ところでサイムよ・・・」

「は!」

「「「「さっきのメイド服魔王様映像のコピーよろ!」」」」

 サイムは脱力し薄く平坦になっていた・・・

ボクにも下さい|ω・)

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