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勇者はいってます。  作者: 夢見創
三章目 旅は道連れ
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さぁ選べ

「報告ではそう聞いていたけど、お前本当に男だったんだな、」

 アオイは、半裸状態に丈夫な鎖でぐるぐる巻きにされ、冷たい石の床に転がされていた。

 焼かれた傷は治っていた、高位の魔法で治療したのか、跡すら残っていない。

 そのアオイを、棺桶を振り回してた変な男が見下ろしている。

 首筋には赤い少女が刀を突きつけている。

 しきりに「斬っていいキル?斬っていいキル」と言っている。

「アカネ、もう少し待ってろ」

「えぇええキル」

 少女は残念そうにしている。どれだけアオイの首を斬りたいのだこの娘。


「おれは賢者ハークレイ、仲間にはハクって呼ばれてる」

 賢者?うそつけぇえええ!とアオイは思った。


「正直、あの馬鹿に手を出した時点で、お前は死罪決定なんだわ」

「え?・・・死罪?」

 死?死ぬの?僕まだ14だよ?とアオイは思っていた。

「クラウスのフルネームって知ってるか?」

 フルネーム?

「ラクス公・・・クラウス・リグラス?」

 アオイはそう答える。

「リグラスはあいつの母方の苗字。本当の名前はクラウス・クロノクルス、この国の第三皇子だよ」

「はへ?」

 皇家に対する不敬は当然死罪である。

 その位の絶対的な権力がこの国の皇家にはある。


 その皇子は、この部屋の奥で水の入った樽に首まで沈められ、黒い少女にこっぴどく水責めにされてるんですが、それはいいんですか?

 皇子涙目なんですがぁあ?あ・・・また沈めれた・・・


「あぁ、あれはいいんだ、クロクロはクラウスの妹だから。しかもクラウスよりずっと地位も高い」

「妹が兄より地位が高い?兄は側室の息子、妹は正室の娘ってことぁ?」

「いや、クラウスが正室の息子、クロクロは側室の娘だな、ついでに正室の皇妃様も元気過ぎるぐらいにご健在だぞ?」

 意味がわからない。クラウスがポンコツ過ぎて皇帝陛下に見捨てられたとか?


「クロクロ、クローディア・クロノクルスは聖女なんだよ」

 アオイは目が点になった。


 聖女といえば、世を救うと言われる勇者の永遠の伴侶と言われ、絶大な魔力を持つ清らかな乙女というアレか?

 実の兄を水責めにしてるアレが清らかな乙女とか、なんの冗談だ?


「ということで、お前には2つの選択肢がある。まず最初のは死罪だな、理由はさっき言った通りだ、諦めて死ねって事だな」

「ハク、もうそろそろ斬っていいキル?斬るキル?斬る?キル?」

 赤い少女が賢者を見て、しきりに確認している。首の刀にどんどん力が込められてきている。

 やばいやばいやばい。このアカネとか言う赤い娘は本気だ。


「あ、あと一つはぁ?」

「俺たち勇者パーティの一員となり、我らが勇者に忠誠を誓え。そうすれば勇者と聖女の権限でお前の罪をチャラにしてやる」

「・・・勇者?・・・勇者がいるのぉ?」

 アオイは驚く、聖女に続いて、勇者まで出てくるとは思ってもいなかった。

「聖女が居るんだ、当然勇者いるぞ?」


「ど・・・どこにぃ???」

 死ぬか生きるかの瀬戸際ではあったが、勇者には興味があった。見れるものなら見てみたかった。


 賢者は一瞬天を仰ぐと、赤い少女と一緒に部屋のある一点を指し示す。奥の黒い少女も同じ場所をさしている。

「あの中」

「あの中キル」

「あの中ですわ」

 指し示された場所は、賢者が振り回していた棺桶だった。


 勇者は死んでいた。


「って?ぇえええええ?ぉおおおおおい」

 アオイは大混乱に陥った。


 その後アオイは流石に死ぬのは嫌だったのか、しぶしぶ勇者パーティの一員となった。

 賢者は満足気、黒い聖女は無関心、赤い少女は凄く残念そうにしていた。


「強くなってぇ、こいつらから逃げ出してぇ、自由を手にいれてやるぅ。勇者はもう死んでるからなんとかなるぅ」

 とアオイは心の中で思っていた。


 数日後、勇者の復活の場面をその目で見るまでは。


「アレ何、アレから逃げるなんて無理、無理ゲー、絶体おかしい、このリアルバグ誰がつくったの?いやぁああああああ、そこはだめぇえええ、許してゴメンナサイ、心入れ替えるから勘弁しく下さいぃいいいいぃい、うぁああああああああああやめてとめてぇえええ」

 心にトラウマを刻み、いろいろアオイは諦めた。

アオイの回想終了、ダンジョンに向かいまーす。

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