横道にはそれるもの
馬車は「海の潮騒」とドランの二頭立ての中型馬車がニ輛、謎の機械に引かれた勇者パーティーの少し大きめの馬車が一輛である。
旅が長期に渡るため、予備の馬も数頭連れられている。
並びは勇者パーティ、「海の潮騒」、ドランの順で並んでいる。
勇者パーティの御者は魔力持ちがやる必要がある為、ハクとクロクロが交代でやっている。ただしクロクロの場合、精霊王の誰かが操縦レバーに張り付いてるという見た目無人運転だ。
「海の潮騒」のほうは、魔王の馬がピエールだと嫌がるので、魔王とミリの交代になっている。ピエールさんは申し訳無さそうにしていた。
ドランのほうは、時々アオイとかアカネに変わっているようだ。アカネが御者の時は、馬が静かになるのは何故なのか。
クロクロとアオイが並んで歩いていた。いやクロクロは大鎌に乗って移動していた。
馬車の振動が不快とかで、クロクロはあまり馬車に乗らない。
闇精霊王のおかげでクロクロには紫外線(UV)ケアの必要も無いため、大鎌に乗っている方がクロクロはいいらしい。
水の精霊王が冷たい手でクロクロの肩をもんだりマッサージをしている。
風の精霊王は、風を起こしてクロクロ涼ませてる。時々勢い余ってスカートを捲りそうになる度にクロクロに蹴られて吹っ飛んでいっている。
旅を一番快適に過ごしているのは多分クロクロだろう。
「マオって娘の馬に僕が近づくとぉ、後ろ足で蹴られそうになるんだけどぉ、あれは嫌がらせなのかなぁ」
アオイがクロクロに愚痴を言う。
「あれは、ユニ・・・男性と女性で態度が違うのですわ」
クロクロは魔王の馬がユニコーンであることに気づいているらしい。
「えー僕ぅ、美少女なのにぃい?」
アオイがぶーたれる。だってお前男じゃん。
クロクロは大鎌に乗ったまま、スーッと魔王たちの馬車に近づくと、手を伸ばし魔王の馬を撫でる。
魔王の馬は、嬉しそうに嘶いた。
「みなさい。わらわは大丈夫ですわよ?」
「えー贔屓だぁーぶーぶー」
魔王はクロクロの大鎌の下にいる、奇妙な闇精霊を見ていた。
魔王アイは、不可視の精霊を見ることが出来るのだ。凄いぞ魔王。
その奇妙な精霊は、クロクロを四つん這いで乗せたまま、馬車と同じ速度かそれ以上の速度で移動しているのだ、気にするなというのも難しい。
「俺っち見られてるー?美少女に見られちゃってるー?あはーん」
と、闇精霊は何故か悶えている。やっぱり変だこの精霊、魔王はそう思った。
クロクロはうっとおしそうに闇精霊をブーツのかかとでガンガン小突いていた。
途中で、見目麗しい女性だけで構成せれた騎士団の隊列とすれ違った。
みんな死んだ目をしており、くっころーくっころーと言う呪文のようなものをぶつぶつ言っていた。
せっかくの美人さん達が、いろいろ台無しになっている。
彼女たちはゾンビの行進のように、ラクスの街へ去っていった。
「あれはグリフ辺境伯の姫が率いる白薔薇騎士団でしたわね、ダンジョンに魔物討伐に行ったと聞いてましたが、あの様子は流石にひどいですわね」
クロクロは皇女なだけあって、貴族たちの情報には精通している。
「ほえ?近くにダンジョンあるのぉ!?宝あるかなぁ!宝あるかなぁ!」
途端にアオイが元気になる。あと二度言うなし。
「ダンジョンといえば魔物キル、ザクザク斬っても誰にも迷惑かからないキル」
アカネが追従する。いつものアカネだ。
「ダンジョンか、階層が深ければ良い鉱石が手に入る」
「ダンジョンの中に自生してイール食材に、チョーット興味ありマース」
ドラン、なぜかピエールさんまで追従する。
「・・・ったくしょうが無いなぁ・・・」
ハクは困ったような顔をしていた。
「クロクロ、彼女達が行ったダンジョンの場所が何処かわかるか?」
「多分、ここから東に20キロ位にあるダンジョンですわね。最近魔物が増えたとかで住民が困っていると兄が言ってましたわ」
「了解、なら明日には着くな」
「きゃっほぉおおぅ、お宝お宝」
「キルキルキルキル」
「久々のダンジョンだ、俺様のウォーハンマーの威力見せてやる、ガハハハハハ」
「ワターシの、ダブル包丁でどんな物も料理できマース」
ドランもピエールさんも脳筋っぽい。というかピエールさんも戦闘に参加するのか。
ミリと魔王は突然の展開に目を白黒していた。
「我ノ元部下、イナイジャロウナ・・・」
いきなり寄り道していく人たち




