黄金髑髏
港街ラクスでは、綺羅星のように現れたレストランの美少女の話題と、もう一つ夜な夜な現れ悪人を退治するという怪人の話題で賑わっていた。
その怪人は、赤いマントと黄金の杖を身に着け、顔には黄金の髑髏マスクをしているという。
誰が言い始めたのかは定かでないが、その怪人は「怪人黄金髑髏」呼ばれていた。
街では子供には躾をするときに「悪いことをすると怪人黄金髑髏が来てお仕置きされるわよ」という言葉が流行していた。
丑三つ時。
傷つき半裸になった女性達を追い立てる、十数人の男達がいた。
「おらおら、早く逃げないと鬼がおいつくぜぇええ、げへへへへ」
男達は皆、下衆な笑いを浮かべている。
女は追い詰められつたびに、やめてくださいと懇願するが、男達の嗜虐性は更にエスカレートする。
「ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
そこに、突然笑い声が聞こえてくる。
「な・・・なんだこの不気味な笑いは」
「ちきしょう、なにもんだ!?隠れてないで出てきやがれ」
男達が喚き立てる。
「ワハハハハハハハハハハ、ナラバ、姿ヲアラワソウ」
空中から、何者かが赤いマントを翻しながら降ってくる。
そしてすちゃっと地面に着地・・・しようとしてぺしょんとコケる。
・・・場に微妙な空気が流れる・・・
気を取り直すように赤マントの者が立ち上がると、マントの中から黄金の杖を携え黄金の髑髏マスクをした者がワタワタしながら現れる。
着地に失敗した時に、マントが少し絡んだらしい。
「き・・・貴様は黄金髑髏!」
男達は一瞬怯むが、すぐさま武器を出し構える。
怪人とはいえ相手は一人、こちらは十人を超える人数、負けるはずがないと男達は思っていた。
「ココハ我ガヒキウケル、オ主ラハ逃ゲルガ良イ」
黄金髑髏は襲われてた女性達にそう囁くと、女性達は最後の力をふりしぼり、ほうほうの体で逃げ出す。
「逃がすかぁあ」
それに気づいた数人の男達が追おうとする。
「オ前達ノ相手ハ我ジャ」
女性を追おうとする男達に、黄金髑髏は杖を向ける。
杖から電撃が発せられ男達を正確に射抜く。
射抜かれた男達は青い燐光を放ちながら倒れ、白目を剥きビクンビクンと痙攣をしている。
「や・・やりやがったな!奴は一人だ!全員でかかれば仕留められる!」
男達のリーダーらしき男がそう吠える。
「やっちまえぇえええ」
十数人の男達が一斉に黄金髑髏に攻撃をしかける。
黄金髑髏は一陣の風のように杖を振るう。
すると襲ってきた男達全員の武器が、杖の強打で一瞬にして叩き落とされる。
「ソンナ鈍ラデハ、我ニハ届クコトハナイゾ?」
男達は取り落とした武器を拾い、かかんにも黄金髑髏に攻撃をしかけるが、散発的な攻撃なぞ効くわけも無く、攻撃は避けられカウンター的に杖の強打をくらう。
黄金髑髏は、魔法すら使わず十数人の攻撃をいなしていた。
圧倒的な実力差があった。
強い!絶対に強い!黄金髑髏!
一方的に叩き伏せられる男達、目の前の怪人は男達の想像を超える化物だった。
「に・・・にげろぉおおお」
誰が言ったのかは判らない、男達はそれに反応するように、この場を逃げ出そうとする。
「逃ガサヌヨ?」
黄金髑髏が杖で地面を叩くと、地面に巨大な魔法陣が高速展開する。
その中から、騎士の姿をした巨大な骨鬼がつぎつぎと現れ、あっという間に男達を取り囲んだ。
骨鬼たちは男達の顔に自らの顔をくっつきそうなほど近づけ、その闇の穴ような落ち窪んだ目で彼らを凝視しながらゲラゲラと笑う。
「う・・・うそ・・・」
男達は、力無く膝から崩れ落ちる。股間から生暖かいものが出るがどうにもならない。
心がポッキリと折れる、もうだめだと思った・・・
見上げると、骨鬼の肩に優雅に座った黄金髑髏がいた。
「コレカラ真面目ニ生キルト誓エバ許サヌデモナイゾ?タダシ二度目ハ無イガナ?」
黄金髑髏は彼らに最後通告を行う。
「は・・・はい・・・ゆるしいぇてくだしゃい、まじめになりましゅ」
彼らに拒否権はなかった。
「フハハハハハハハハハハハハハハハハ、サラバダ諸君」
放心状態の男達をその場に残し、マントをはためかせ笑いながら、黄金髑髏は夜の闇の中へ消えていった。
これでまた一つ、街が平和になった。
黄金髑髏・・・だ・・・誰なんだ




