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勇者はいってます。  作者: 夢見創
七章目 大騒ぎ、縦横無尽
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仕掛け

「後続はまだか!」

 夜叉王が天幕の中で怒気をはらんだ声で叫んでいた。

 おかしい・・・砦に残していた兵たちが、一向にこちらに来ない。

 兵量を持ち、後から追いついてくるように命じていたはずなのに。


 夜叉王は苛立ちを隠せないでいた。


 そこに、装備のあちこちが焼け焦げボロボロになった兵が、夜叉王の部下に肩を支えられるようにして連れてこられる。

 兵は疲労困憊しており、息も絶え絶えだった。


 兵は、夜叉王の目の前に来ると、目を見開き平伏した。

 平伏しながらガタガタと震えている。


「お主は、砦に待機させていた兵だな?」

 夜叉王が問いただす。


「は・・はい」

「他の兵たちはどうしたのだ」


 一瞬兵の動きが止まる。そして、たどたどしく答えた。

「第一砦が炎上焼失し・・・壊滅状態に・・・」


「な・・・何が起きた?」

「夜叉王様が奴らの追撃に向かった数刻後・・・砦のあちこちから突然火の手が上がり、我軍の者たちを巻き込みながらあっと言う間に広がり・・・」


 奴ら・・・砦から退避するときに仕掛けを・・・

 夜叉王のギリッという歯軋り音が聞こえる。

 夜叉王のあまりの怒気に、部下たちが怯み、無意識に一歩下がってしまう。


「もうよい下がれ・・・お主ら、その者を手厚く治療してやるが良い」

 夜叉王は部下に命じ、報告に来た兵を下がらせる。

 奴らの仕掛けに気づかなかったのは自分の落ち度だ、夜叉王は自分に憤怒していた。


「奴らめ・・・」


 兵量も援軍も絶たれた・・・長期の戦闘は不可能。

 ならば・・・




 クリミナスとクルガリオは二人だけで中央の天幕にいた。

「糞兄貴。あのやり方は、魔王が軽蔑するぜ?」

「私が責任とるさ。今回のシナリオを書いたのは自分だしな」


 クリミナスの手には、円柱状の謎の物体があった。

 その円柱には、どこかで見たようなイラストが書かれてある。

「それ、やっぱりドラン製か?」

「ああ、まだ将軍職をやっていた頃のドラン殿が設計した『時限発火装置』だな。これはそのプロトタイプだ」


 複雑に組み合わされたバネと歯車を使い、設定した時間に可燃油を上の穴から霧状に噴射しばらまいた後、内蔵された火打ち石でよって着火する装置である。

 相手は見たことも聞いたこともない兵器であるため、兵器であるとは気付かれにくく、魔力も使っていないから、魔力探査にも引っかからない厄介な代物である。


「そいつマキラ殿に量産してもらい、砦にまんべんなくばら撒いておいたのか、えげつねぇなぁ・・・」

 クルガリオが呆れている。

「この位やらないと、数に勝る魔帝軍に勝ち目は薄いからな」

 クリミナスは笑っていたが、目は笑っていなかった。


「これで奴らは撤退するか・・・いや・・・犠牲を厭わず・・・」

 魔帝の性格からして、撤退は許さないだろう。

「全力で攻めてくるだろうな」

 クリミナスとクルガリオそう結論づけた。



 天幕に闇が現れる。夜王マキラだ。

「やつらが動き出したようですよ?」


「そうですか、ではこちらも迎え撃ちましょう」

こっちは40万VS40万のガチがはじまりそうです

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