1-3 やっと物語が動きそうです。
「この国には、乳母というものは存在せん。」
「じゃぁ。母親を亡くした子供はどうなるわけ?あぁミルクがあるんだ。」
「ミルク?幼児が飲むものではないぞ。」
「?」
(話が通じ合えないこともあるんだね。通訳しても 常識が違うとこうなるのか。勉強になった。)
とりあえず 笑顔で見守っていた カナンが
「王のお言葉とマダムのお言葉は 食い違っているようですので、不肖私めが、説明させて頂きます。」
お茶を差し出しながら、話を続けようとしていた。
「この国…いえ、この地では、子供が母と認め時から母乳が出ます。まぁ魂の契約と申しますか、
「その話長くなる?」
「…まぁ短くはございませんね。」
「だったら、その移動式ベットこっちに持ってきてよ。腕がしびれる。」
「…そうですね。…セイジュ様も ゆっくりされたでしょうし。」
移動式ベットに寝かせると セイジュは一度だけ離れまいと 服をつかんだが お腹をポンポンとやさしくたたかれたのち 大きなあくびと共に寝入ってしまった。
「では、話は戻しますが、契約には2種ありまして 体に刻まれるものと書類となるもの 契約ですので効果のほうは もちろん体に刻まれるほうが重くなります。子供が母と認めるものが、近くにいない場合のみ書類による契約の成ります。それは、紙に子の魔力を映し出しそれに母親となるものが魔力を込めながらサインするというものですが、子が本来の母を見つけた時には その契約は破棄されます。」
「産みの母と育ての母ってそんなに違うの?」
「まぁ 相性もございますから、何とも言えませんが、ほとんどが 産みの母と育ての母は同じです。ですが、王のように幼くして母親を亡くした時など この魂の契約が生かされます。といいますより、契約されない限り 母と呼べませんし 権利も生まれません。」
「へぇ。じゃぁ。セイジュも 紙契約すればよかったんじゃない。」
「……それが、ごく稀に 王の様に契約を拒否する子供もおりまして、そんな子供は眠りの魔法で眠らされます。魂が望む者が現れると 目が覚めます。先ほどの王の様に……」
(この地の神様すごいね。母親じゃなくて子供に権利持たせてるんだ。)
「うん…今軽く聞き流したけど。体に刻まれるって タトゥのこと?」
「タトゥが何か存じませんが、マダムの左手の人差し指に文様があらわているでしょう。それが母印と呼ばれるものです。」
「へぇ4つも輪が重なるんだ。」
「え?4つ??」
「違うの?」
ほらとばかりに 掲げられた指には、セイジュを表す文様の上にシオンを表す文様その上にはただの輪が2本重なっていた。古代文字で描かれるその文字は王族と一部の文官と教会にしか分からないため 母と子の契りを教会でしなければならなかった。
「マダム。いつの間に4人の子持ちになられたのです。」
「はあ?いつの間にも何も ここから出てないよ。」
「…浮気者な母御ができたの。セイジュ。」
「!!…王まだおられたのですか?」
「お前たちがわしの存在をあまりにも無視するから いじけて執務室にこもろうかと思っておったところじゃ。」
(獣王キャラ違くない?)
「まぁ 冗談はさておき。シオンという名は 記憶があるな。協会に問い合わせよう。残る2本はもしかしたらまだ名前がないのかもしれん。それにしても、名前ではないはずなのにセイジュの手首には、マダムと書かれておる。どれだけ影響力があるのだ。」
「でも、輪が2つあるし。」
小さな小さな手には2重の輪があり 文字らしきものと唐草がまじりあったようになっていた。
「それは、死んだこの子の両親だ。一つ目の輪は、誰と誰の子と書かれておる。」
(ある意味 戸籍だね それ)
「さて カナンは、セイジュの女官だから、マダムにはマダムの女官を付けよう希望はあるか?」
「急にどうした訳?」
「そろそろ執務室に戻ろうと思ってな。シャドの事もあるが、3人の子供たちを探してやらんといかんだろう。」
「そうですね。眠りから目覚めて さみしい思いをしているでしょうし。」
「とりあえず、カナンはセイジュと共に マダムの部屋を 案内してやってくれ。女官のほうはこちらで手配する。」
「…まぁ…いいか。希望聞いてくれてないけど。」
今だ異世界という 認識の薄いマダムがこれから この部屋を出て大騒ぎになるのはまた別のお話かも
やっと部屋から移動します。
長いな~。考えてることたくさんあるけど どのくらいのっけれるかな?
頑張ります。