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moderato.  作者: 奏多
52/56

#52 告白

†優也side†



香帆さんが、抱きしめてくれる。




彼女の体温がすごく心地よくて、ものすごく久しぶりに心から安心できた。




きっと、自分が玲子さんの実の子じゃないと知ってからは、こんなに落ち着けることってなかったんじゃないかな。




大学にも大悟たちみたいな友達だっているし、幼なじみの遥だっている。




だけど、いつか彼らも自分から離れちゃうんじゃないか。




みんなには悪いけど、そんな不安はずっとあった。




だけど…………




大悟たちに比べたら、出会ってからまだそんなにたってない香帆さんなのに、




彼女なら、もしかしたら大丈夫かもしれない。




彼女なら、過去や弱い自分を見せても、自分から離れないでいてくれるんじゃないか。




そう思えた。












しばらく抱き合ってて、徐々に気持ちが落ち着いてきた。




冷静になってみると、もしかして今すごく恥ずかしいことしてるんじゃ………




わんわん泣いて、抱きしめてもらって。




やべぇ…急に恥ずかしくなってきた……。




香帆さんはなんだか柔らかくて、ほんのりいい香りがした。




なんだかこのままずっといたい気分になってきた………。




戻ってこい、俺!!




せっかく慰めてもらってるのに、妙な気おこしたら軽蔑される!!!







それからしばらくは理性と欲望の葛藤が続いた。




死ぬ気で妙な欲望を振り切り、なんとか香帆さんから体を離した。




ふっと彼女の顔を見下ろすと、香帆さんはずっと泣いていたのか、目が潤んでいた。




彼女がこんなに親身になってくれてたのに、俺って…………っ!




自分が情けなくなりつつも、最後の最後に誘惑に負け、香帆さんの顔を覗き込んでしまった。




ほんのり紅潮した顔に、上目使いで俺を見つめる目が潤んでて………。




「わっ私………!」


「俺……………」




これ以上、自分の気持ちを押さえ込むなんて、無理だった。









「…………香帆さんが、好きです」

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