#43 嫉妬
†優也side†
「それは、嫉妬だな」
次の日の午後、レッスンのない空き時間に女の子たちに話しかけている大悟の姿を見つけた。
俺が大悟の名前を呼ぶと彼女たちに、やっとしつこい奴を連れてってくれる救世主が現れた、とばかりに見つめられた。
どれだけ嫌がられてるんだ、大悟………。
そしてそれに気付かずめげずに話しかける奴のストロングなハートに乾杯だ…。
それでも彼女たちといようとする大悟を、ひとまず回収する。
「なんだょ〜、せっかく仲良くなりかけてたのにー。優也が来たらみんなそっちばっか見んだろ〜。せっかく優也がレッスンの時間から計画してたのに………」
「…………。……まぁ、とりあえず座れよ」
ブツブツ文句を言っている大悟をベンチに座らせ、買っといたコーラを渡す。
コーラを渡せば、単純なこいつはすぐに機嫌がもどる。
もどったのを見計らって、昨日からモヤモヤしてることを話した。
何でこんなにうずうずするのか。
ずっと黙って聞いていた大悟は、話し終わるとクソ真面目な顔をして口を開いた。
「それは、嫉妬だな」
「…は………」
「嫉妬だよ〜『嫉妬』!N・e・i・d、ナイト!」
習いたてのドイツ語を使いたがるとか、お前は小学生かッ!
「…それは『妬み』って意味の嫉妬だよ。…お前が言ってんのは、たぶん、Eifersuchtって方だと思うけど………」
「おッ、さっすがドイツ人クォーター♪」
……どこまでデリカシーのない奴なんだ……。
「でも何で俺が、会ったこともない香帆さんのお父さんに嫉妬すんだよ」
「好きな女にそこまで強い印象を与えた男は、たとえ父親だって関係ねーよ〜♪ま、あんまり聞かねーけどなっ(笑)」
父親にまで嫉妬すんのかよ、俺………。
今までも付き合った女の子は何人かいたが、こんなに、自分が惨めになるほどに誰かを想ったことなんて一度もなかった。
付き合うったって、所詮そんなものだと思っていたのに………。
香帆さんと出会ってから、俺はおかしい。
「ま〜、優くんカワイイっ♪」
「ウザぃ、大悟………」
言葉ではそう言いつつも、きっと顔は真っ赤にちがいない。
わかっているからこそ、さらに情けない。
ニヤニヤしてこっちを見てくる大悟の横で、力無くうなだれた。
「なーに二人でニヤニヤしてんの〜?さては、やらすぃージャンルの話ですな〜?」
背後から遥がやってきた。
しかしもう、顔をあげる気力もないくらい恥ずかしい。
「いや〜それが、優也のやつ、あのビューティフルレディ★香帆さんのお父様にまでヤキモチ妬いちゃって〜(笑)」
だーッ、もう、言うなハゲ!!
もう恥ずかしすぎて、耳の穴から煙が出てきそうだ。
大悟じゃなくて、圭佑とか泉に相談すればよかった……………。
「……へぇ、優也、香帆さんと付き合ってるんだ……?」
遥まで何を言うか!
「///ちげーよ!!」
「でも優くんはヤキモチ妬いちゃうほど好きなんだよね〜?」
「///………うん………」
「かーわぃ〜優くん♪♪こんなの見たら、何人の女の子が悶えるか…」
「…………」
……大悟あとで殺す………。///




