#4 出逢い
電話の声にしたがって歩いていくと、来たことのない路地にやってきた。
川が近くに流れている人通りの少ないところに、ひっそりと佇む小さなバー。
『そこのバーに入って!』
ここらしい。返事をして電話を切ると、恐る恐る近づいてみた。
「……モデラート…」
ヨーロッパのパブを思わせるような、小さくも上品な店のドアに、木でできた手書きの看板がかかっている。
《OPEN》
そっと木のドアを押すと、ドアの近くで小さくベルが鳴った。
中はレトロなパブ調の雰囲気で、小粋な深い焦げ茶色の木のカウンターと、それに見合った椅子が数個あるだけだった。
「あの………」
店の奥に向かって声をかけると、中から青年が一人でてきた。
「はい!ケータイ届けてくれた方ですね?本当に助かりました!」
「はぁ………あ、これ、ケータイです」
慌てて黄緑のケータイを差し出すと、彼は嬉しそうに受け取った。
「あっ、じゃあ私はこれで……」
「あの、よかったら1杯どうですか?今日のお礼です」
そう言って、椅子の一つを引いた。
その動作があまりにも優雅だったので、それに惹かれてゆっくり席についた。
「……あなたがバーテンダーさん?」
「はい。今夜はどういった風にいたしましょう?」
「あなたにまかせる」
しなやかな指使いで次々とブレンドしていく。
その動きに見とれていると、ふいに話し掛けられた。




