37/56
#37 笑顔
「……どうして香帆さんが泣くんですか(笑)」
優しく微笑みながら、ハンカチを差し出す。
それを受け取り、目元を押さえた。
「……わかんなぃ………けど、なんか泣けてきて………」
「意味不明ですよ(笑)とにかく、泣かすためにこの話をしたわけじゃないんです」
「でも……」
「すみません、なんか暗い話しちゃって。オーナーのせいだ〜、今度文句言っとかないと(笑)」
いつもと変わらず笑っている優也。
けど、何でそんなに悲しそうに笑うの?
目が笑ってないよ……?
「……お願いだから、私の前ではそんな風に笑わないで」
「え?」
「…私、優也にいろいろ助けてもらった。だから……私の前ではせめて、無理しないで………」
私じゃ、ダメなのかな。
優也の助けになんか、なれない?
「…香帆さん……」
「………今度は、私が優也を助けたいの……」
涙まみれの女にこんなこと言われたって、全然説得力ないよね。
けど、言わずにはいられなかった。
私今、ひどい顔してるんだろうな……。
クールなOLが台なしだ……。
そのまま目をそらさずに、泣き止むのを待っていた。
夜道に私の啜り泣く声だけが響き、優也は何も言わずに立ち止まっていた。
と、そんなとき。
視界が一瞬暗くなり、突然体が温かくなった。
「……え……?」




