#33 何か
個人的な事情でいろいろ忙しく、なかなか更新できなくてすみませんでした。やっと少し落ち着いたのでまた少しずつ進めていきたいと思いますが、また更新ストップが予想されますので、ご了承くださぃ。これからもよろしくお願いします! 奏多
†優也side†
「こんにちは」
「…………」
「?優也くん?」
「せんせ…………なに、これ」
1ヶ月ぶりに入った診察室は、完全なる変貌を遂げていた。
殺風景だった壁には海の写真が額に入って飾られ、
花瓶には冬なのに様々な花が活けられ、
おまけにクラシック音楽なんかが流れている。
しかも古典派の音楽。
「………診察室の場所、変わったの?」
「何言ってるんだ、いつもの診察室だよ」
耳鼻科の個人医院の診察室だから、好きなように内装は変えていいけど、だからといって…………
1ヶ月前まで重ねてすらなかったカルテはファイリングして綺麗に本棚に並べてあるし、
よくよく見ると、履いているスリッパまで新しくなっているではないか。
「…………」
あまりの俺の驚きに、隠し通すことは不可能と観念したのか、ぽつりぽつりと話し始めた。
「………いやね、こないだ高校の同窓会があってね…」
「好きな人できたんでしょ」
「………そう言われると元も子もないんだけど、まぁそうなんだ……お恥ずかしい話」
と、本当に顔を赤くして話し続ける。
「え、なんかドラマみたいだね。どんな人?」
「それが、当時学校のマドンナみたいな存在の彼女で、今はピアノ教室を開いているみたいなんだけど、この近くに住んでるみたいなんだ」
読めた。
その彼女がここに来たときのことを考えて、こんなに内装を一新したのか。
なんてわかりやすいんだ、先生………。
「……でも、わかるよ」
「え、もしかして優也くんにもいるの?そういう人」
「ん〜、たぶん、そうなんだと思う」
もちろん香帆さんのことだ。
「へぇ〜、優也くんがそんなこと話すなんて、意外だな。なんかすごい美人とかなんじゃない?」
「何でだ(笑)まぁ、たしかに美人だけどね」
当然だ。
それからお互いに相手のことを想いながらしゃべり続けた。
たまに愛おしそうに目を細める先生は学生時代に戻ったように見え、なんだかかわいかった。
香帆さんのどういったところがいいのか、俺が先生に言うと、
「あぁ〜、わかるよ」
と言って笑う。
「え、そうなの?」
「男は一度はそういう大人の女に惹かれるんだよ。ま、僕くらい年とると、逆に若々しい人がよくなるんだけどね(笑)」
なるほど。
………ということは、俺が今香帆さんを好きなのは、ただそういう時期にいるからってだけなのか…?
……………ちがう。
それだけじゃない。
俺が好きになったのは、それだけじゃない。
香帆さんの中にある何か、言葉では表せないけど、そんな何かに興味をもったんだ。
…………なんて、先生にも、ましてや香帆さんになんて言えるわけないけど。




