#28 朝のコーヒー
「あ、おはようございます!」
朝目覚めると、見慣れない部屋に見慣れないベッド。
ほんのり優也の匂いのする布団に一度顔を埋め、温かく出がたい布団を思いきりめくった。
寝室の扉を開けると、もう優也が朝のコーヒーをいれる用意をしていた。
黒が基調の高級感溢れるシステムキッチンに、コーヒーメーカーを手にして立つ優也は、かなり似合っていた。
「………おはょ…」
「よく眠れました?昨日寒かったんで、電気毛布にしておいたんですけど……」
そんな気配りに、不覚にもときめいた。
「あ、コーヒーいれますけど、ホットですか?」
「あ…アイスで」
「はーい。ミルクと砂糖は?」
「砂糖1つとミルク…」
「甘党なんですね〜。パンでいいですか?さっきパン屋で焼きたてがあったんですけど」
「お願いします…」
「じゃあ用意しますから、顔洗ってきてください」
「はぃ………」
ひんやりした廊下を歩き、洗面所にむかう。
洗面台に、小さなメイク落としと真新しい歯ブラシ、洗顔フォームが並べてあった。
置いてあったタオルに顔を埋めると、ふんわり優也の服の匂いがした。
置かれた洗顔フォームとメイク落としで顔を洗い、歯を磨く。
それからもう一度メイクをしてから出た。
「あの、歯ブラシとか……」
「あ、わかりました?とりあえずコンビニで買ってきておきました」
黒いシックな冷蔵庫からバターを取り出しながら、続ける。
「昨日香帆さんがメイク落とす前に寝室に入れちゃったんで、悪かったなぁ〜と……よくわからなかったんで、好きなメーカーじゃなかったらすみません…」
慌てて首をふり、
「ありがと……気が利くね」
朝、自分が寝ている間にパン屋やコンビニまで行ってくれたのか。
しかも、メイク落としまで買ってきてくれるなんて………
「照れるから、やめて……(笑)で、できましたよ!朝ごはんにしましょう!」
朝陽の降り注ぐテーブルで、優也のいれたコーヒーと焼きたてのいろんなパンが入ったカゴを前に座る。
コーヒーの香ばしい香りと、パンの優しい匂いが鼻をくすぐる。
私の前には、グラスに入った甘めのコーヒー。
優也の前には、湯気をたてているブラックコーヒー。
何から何まで世話してもらって、これではどっちが年上かわからない。
「あ、洗顔フォームとか、持って帰ってくださいね。香帆さん用に買ってきたやつですから」
「……………置いていって、いい?…………また、泊まるかもしれないから…………」
そう言うと、優也は真っ赤になってバターナイフを皿に落とした。
そしてはにかんだように、
「片付けておきます」
と言って笑った。




