五人揃う時
始業式が終わり、教室へ戻ってくる。ホームルームも終わり、生徒会以外の生徒は皆帰っていく。だが一人、大鳶だけは残っていた。
「じゃあ、行くか、生徒会室へ。」
「・・・・・」
大鳶からの反応がない。
「おーい、大鳶。」
俺はもう一度声をかける。
「はっ、何?黒金君?」
「生徒会室行くぞって行ったんだ。」
「ああ、うん、生徒会のみんなと対面するとなると緊張しちゃって・・・」
どうやら、大鳶は緊張しているようだった。
「何言ってんだ?俺も伏見も生徒会役員だけど、お前、普通に俺や伏見とも普通に話できたじゃないか。」
大鳶はもじもじしている。
「生徒会役員、会長以外となら普通に話せる自身はあるけど、そんな全員と一気に対面するなんて緊張するよ。」
俺はなんとなくこのままだと大鳶が生徒会役員を辞退しそうだったので、ここら辺で叱咤激励をする。
「大鳶、お前、生徒会役員になるんじゃなかったのか。」
「えっ、そんなことは言ってないよ。」
「じゃあ、大鳶、お願いがある。」
「えっ、なに、いきなり!」
「大鳶、生徒会役員になってくれないか。」
勢いでお願いをしてしまった。でも、このままだと大鳶は役員にはならない気がした。だから、一か八かかけることにした。
「うーん・・」
「・・・・」
大鳶は悩み、俺は熱い視線を大鳶に向ける。そして、
「うん、いいよ。黒金君には稽古に付き合ってもらうわけだし。」
「ありがとう、大鳶。」
「うん、どういたしまして。じゃあ、行こうか、生徒会室へ。」
大鳶はどうやら吹っ切れたらしい。
なんやかんやで生徒会室へ。
大鳶には新しい役員の紹介の都合というやつで生徒会室前で待ってもらっている。
「すみません、遅れました。」
俺は生徒会室へ入る。
「遅かったわね、昴君。まあ、いいわ、最後の打ち合わせを始めましょう。」
そう言って天音さんは打ち合わせを始めようとする。そこに俺は待ったをかける。
「その前にお知らせがあります。」
「なんだ、俺は早く打ち合わせを終わらせて飯を食いたいんだが。」
俺の話に反応したのは、東雲だった。
「まあ、すぐに終わるさ。大鳶、入ってこいよ。」
生徒会室の扉が開く。大鳶が入ってきた。だが、歩き方がおかしい。手と足が同時にでている。どうやら緊張しているようだ。俺は見ていられず・・
「しっかりしろ、大鳶。深呼吸しろ、深呼吸。」
スーハー、スーハー
「ふう」
大鳶は落ちつきを取り戻したらしい。
「その娘はだれ?昴君。」
天音さんが当然とも言える疑問を口にする。俺もその疑問に答える。
「天音さん、遂に五人揃いました。」
「もしかして、その娘、生徒会役員希望者?」
「ええ、そうです。こいつが新しい生徒会役員、大鳶渚です。」
俺がそういうと、
「「おおー」」
「ふん・・」
天音さんと伏見が感激し、拍手をする。しかし、東雲は無関心そうだった。
「よろしくお願いします。皆さん。」
大鳶が頭を下げる。
こうして、大鳶の紹介も終わり、大鳶も加わり、入学式の事前打ち合わせが始まった。