新しいクラスと始業式
俺と伏見は2年2組の教室へ入る。俺と伏見は同じクラスなのだ。あたりを見回す。去年同じクラスだった奴らも何人かいた。さらに俺は元カノにあたるあの人がいないかを確認する。
「ふうー」
俺はホッとする。どうやら、このクラスではなかったらしい。
俺は黒板に記された自分の席に座る。
「あれ、黒金君?」
その声は隣から聞こえてきた。隣をみると、見覚えのある顔が。そう、昨日屋上で会った女子、大鳶渚だ。
「あれ、同じクラスなのか。席も隣りだし、よろしくな、大鳶。」
「うん、こっちこそよろしく。」
お互いにまずは挨拶。
「ねえ、黒金君。」
「うん?何。」
大鳶がさらにはなしかけてくる。
「黒金君、チャイムが鳴っても来なかったけどなにしてたの?」
「うん、まあ、生徒会の仕事。今日は何かと忙しいからな。始業式に入学式に。」
「へえ、黒金君、生徒会に入っていたんだ。」
「うん、まあな。って、いつも集会なんかの時はよく司会進行をしているんだが、見たことないか?」
大鳶は少し記憶をさかのぼって考えた。そして、
「あっ、そういえばそうだったかも。うんうん、いたいた。」
どうやら、見覚えがあったらしい。
「で、あの。」
大鳶は深刻な顔で顔を近づけてくる。下手するとキスをしてしまいそうな距離。クラスの一部の視線もこっちにきてなんだかとてもはずかしい。
「どうしたんだ、そんな深刻そうな顔をして・・」
俺は大鳶に尋ねる。
「あのね、実は・・」
「実は?」
なんとなく俺も大鳶の言葉につられてしまう。
「実は私・・生徒会に少し前から興味があったんだけど、なんとなく生徒会って凄そうなイメージがあって、なかなか生徒会役員の募集があってもなかなか行けなくて。でも、黒金君がいるなら少し勇気をだして生徒会役員に立候補できそうなんだけど、黒金君、手伝ってくれないかな。」
俺は嬉しかった。これでやっと生徒会の空席がゼロになる。だいぶ時間がかかったが俺の受け持つ仕事の一つである、役員集めが終わる。なんという達成感。心の中でガッツポーズを取る。
俺は役員集めを本当に終わりにするために、
「ああ、手伝うよ。こっちとしても役員が増えるのは大歓迎さ。ところで、生徒会役員が入学式に参加するんだけど、生徒会の活動見ていくか?」
俺は大鳶の役員志願を奨励する。そして、生徒会の見学の誘いもした。
「うん、見てく、見てく。」
大鳶は嬉しそうだった。
やがて始業式の時間になり、全校生徒は皆、体育館に向かっていく。
俺は2年2組の列から離れ、別の場所から生徒会の皆と共に始業式の司会進行をする。
「次は学園長のお言葉です。お願いします学園長。」
俺は司会を進める。学園長の大澤先生が体育館のステージのど真ん中に立ち、話し始める。
「皆さん、こんにちは。」
しーん
誰も挨拶を返さない。元気がないわけでも、言葉を話せないでも、挨拶が出来ないわけでもない。
ただこの学校の生徒は皆、何故か学園長に冷たい。俺もみんなに合わせて挨拶を返さない。
「はっはっは、まじウケるぜ。はっはっは!」
東雲は学園長に誰も挨拶を返さない光景を腹を抱えて笑っている。
それを見て、天音さんと伏見と俺は呆れる。
それからの学園長の話は長かった。
「zzz・・」
途中でいびきが聞こえる。俺も何度かあくびを何回かした。
「以上。」
40分に及ぶ学園長の話がやっと終わる。
「ありがとうございました。閉会の言葉、伏見さんお願いします。」
俺の司会で学園長と入れ違いになるように伏見がステージのど真ん中に立つ。
「以上で始業式を終了します。」
と伏見は宣言し、始業式は終わった。