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生徒会

俺と雪乃は二人で通学路を歩く。

「兄さん、今年は同じクラスになれるといいね。」

「ああ。でも、兄妹だと、同じクラスになりにくいってよく聞くしな。どうかな。」

「大丈夫。私たちの愛があれば。」

「えっ、愛?」

「な、なんでもない。」

雪乃は赤面して、なぜかあわてていた。

今日は始業式。そして、クラス替えの日でもある。去年は二人とも違うクラスだった。今年は同じクラスになれるといいなと俺も思う。雪乃は周りからはしっかりしているように見えるが、俺から見ると危なかしい一面があるので、一緒のクラスの方が何かと面倒がみられるという理由からだ。しかし、絶対に同じクラスになりたくないという人もいる。その人は、中3の時まで俺の恋人だった人物である。だが、とある事情で別れた。それ以来、顔を合わせるごとに気まずい雰囲気になる。別れ方が原因なのだが。まあ、今は秘密だ。

二人で歩いているうちに学校まで着く。

俺たちの通っている学校は「種子島南学園」という小等部、中等部、高等部とある、巨大なエスカレーター式の学園だ。俺は中等部からの編入生である。しかし、この学園、巨大なエスカレーター式の学園の割には人数が少なく、全校生徒が300人弱くらいしかいない。まあ、これはしょうがない。なんせ、種子島は人口が少ないが、5つの学校もあるのだから、人口が分散されてしまうのだ。

早速、俺と雪乃は校舎の壁に貼られた、新しいクラスが書かれた名簿を確認する。

「ん〜・・」

「ん〜・・」

二人は名簿から自分の名前を探す。そして・・

「あ、あった!」

雪乃が自分の名前を見つけたようだ。

「お、俺の名前もあった。」

俺も自分の名前を見つけた。

「兄さん!」

雪乃が深刻な顔で迫ってくる。

「な、なに?雪乃。」

「兄さん、何組?」

(はあ、そんなことか、てっきりもっと重要なことかと思ったよ。あんな深刻な顔をするんだもんな、雪乃の奴。思わず構えてしまった俺が馬鹿馬鹿しくおもえてくるぜ。)

俺は一息してから雪乃の質問に答える。

「俺は2年2組、雪乃は。」

「私は2年1組・・残念。また、違うクラスだ・・」

雪乃はまた悲しそうな顔をする。

「はあ〜」

雪乃はため息をつく。

「やれやれ・・」

俺は雪乃の頭をなでる。

「別に一緒のクラスにならなくても、家に帰れば一緒にいられるんだからいいじゃないか。」

「そうだね、兄さん。」

雪乃の悲しそうな表情が消え、笑顔が戻る。

「じゃあね、兄さん。仕事頑張ってね。」

「ああ。」

俺と雪乃は生徒玄関で別れる。雪乃は教室へ、俺は生徒会室へ向かう。さっき、雪乃の言っていた仕事とは、生徒会の業務のことである。俺は生徒会に所属している。役職は副会長だ。ちなみに今日の仕事は始業式の司会進行と今日入学してくる一年生の入学式及び施設案内の司会進行だ。

俺は生徒会室にたどり着く。そして、入室。

生徒会室に入ると、役員二人がいた。

「待ってたわよ、昴君。」

そうに声をかけてきたのは、我が学園の生徒会長、小鳥遊天音(たかなしあまね)さんだ。

「おはようございます、会長。」

「会長じゃなくて、天音って呼んで欲しいって前から頼んだんだけど。」

「すみません、天音さん。」

「よろしい。」

天音さんは俺限定で会長と呼ばれるのを嫌い、名前で呼ぶように仕向けてくる。なぜだかはわからないが。

俺が生徒会に入ることになったのは天音さんとの出会いが原因だ。

以前、生徒会が天音さん一人だけだった時、天音さんが仕事のしすぎによる疲労から階段から落下した。それを偶然にも見てしまった俺はすぐに落下した天音さんが床と激突し頭をうつまえにうまくキャッチし、そのまま天音さんを抱きかかえて保健室へむかった。その後、天音さんを助けたことに天音さんに気に入られ、生徒会に入ったのだ。ちなみに生徒会メンバーが一人だったのは、天音さんの能力の高さ故のことだ。容姿端麗、成績優秀、さらにピアノの全国コンサートでは、最優秀賞を受賞した経験もある。それゆえに誰も着いていけなかったのだ。また、天音さんに気に入られただけで俺が生徒会に入ることになったのは、生徒会長権限によるものである。生徒会長は生徒会役員を指名でき、指名されたら、基本断れないという内容の。

すると、天音さんがこっちをじっと見つめて話しかけてきた。

「ところで昴君、昨日の夜、屋上にいなかった?」

「・・・」

まずい、屋上への侵入がばれたようだ。この学園では屋上の出入りが禁止されている。これを破ると先生からの説教と拷問が待っているらしい。しかし、俺も運が悪い。よりによって天音さんにばれるとは。彼女も生徒会長である。学校の規則を破った生徒を放っておくわけはずがない。

「いいえ、屋上には入ってませんよ。」

俺はごまかすと決めた。先生たちの説教だけならまだしも、拷問があるのだ。応接室、いや、拷問室からは、毎日悲鳴が聞こえる。あんなのを聞いたら、拷問をできるだけ誰だって免れたいと思う。俺は震えながら、天音さんと目を合わせる。












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