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朝起きたらスーパー〇〇〇人になっていた件について  作者: 如月


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7/7

第7話 逃走

ひとまず家に帰った恵一はテレビをつけてみる。

だがひとまずニュースににはなっていないようだ。


あのヤンキーはどうなっただろう?

生きているのだろうか?

もしあのまま死んでしまったとしたらどのくらいの罪になるだろう?

そんなことを考えながら眠れない夜を過ごした。


「昨夜未明、〇〇市内の路上で、男性が男に暴行を受けるなどして重傷を負う事件がありました。男は現在も現場から逃走しており、警察が行方を追っています。」


ハッ…いつの間にかウトウトしていたようだ。

そして外を見ると明るくなっている。


そしてつけっぱなしにしていたテレビに目を移すと昨日の事件をニュースが報じている。


「逃げた男は年齢30代から40代くらい、身長170センチ前後で、黒色のジャンパーにジーンズ姿だったということです。警察は傷害事件として、付近の防犯カメラの映像を解析するなど、逃げた男の行方を詳しく捜査しています。」


『やっぱり事件になってしまったか…』

覚悟はしていたがさすがに本物のニュースを見ると自然と震えがくる。

ただ唯一の救いと言えるのはヤンキーが死んでいなかったことだ。

しかも相手は一人だけだということになっている。

雑魚はかなり手加減していたので大したダメージを負っておらず、警察が来る前にリーダーを残して逃げてしまっていたのだろう。


だがそうはいっても傷害事件としてニュースにもなってしまった。

日本の警察は優秀だ。

ここに踏み込んでくるのも時間の問題だろう。

恵一は服を着替えて帽子をかぶりマスクをすると、リュックに入るだけの着替えを詰め込み、財布とスマホとサングラスを持って家を出た。


まず向かうのはコンビニATMだ。

当然逃走には金がかかる。

しかしスマホ決済やクレジットカードを使えば簡単に場所が特定される。

だからまずは当面の逃走資金を現金で確保しておく必要があるのだ。


コンビニに着くとすぐさまATMに向かう。

ATMにキャッシュカードを突っ込むと普通に使えた。


『よかった、口座は凍結されてないみたいだ』


恵一は堅実な男で銀行口座には500万くらいの預金がある。

これを引き出せばしばらくは困らないだろう。


とりあえず一度に下せる限界の50万円を引き出す。

「ウィィィィン……」

「コトッ」

「……ピピッ、ピポパ」


「ガサササササササササッ!」

「……カタカタカタッ、シュルルル」

「……」


「ウィーン、パカッ!」

「ポーン、ポーン、ポーン……」


『ふう…よかった、普通に引き出せた』


再びカードを入れて50万と入力する。


「ウィィィィン……」

「コトッ」

「……ピピッ、ピポパ」


「ブッ、ブーッ!」

「カタッ……」


画面には【限度額を超えています】の文字。


「……クソッ!」


なんと1日の引き出し限度額に引っ掛かってしまったのだ。


『なんてこった!こんなことなら限度額を最大に変更しておくべきだった…』


そう、キャッシュレスのこの時代に現金がそんなに必要になることなど全く考えていなかった恵一は、引き出し限度額がデフォルトのままだったのだ。


『そうだ、あの手がある!』


銀行カードを乱暴にポケットに突っ込み、スマホの画面を叩いた。

「P〇yP〇y……頼む、残っててくれ…オラに現金を分けてくれ…」


アプリを起動し、右下の『ウォレット』をタップする。

表示された残高は8万4,000円。

逃げ切るには心もとないが、今の自分にはこれが残りの全財産になる。


画面の中の『出金』ボタンを押すと、近くのセ〇ン銀行ATMを探せという無機質な案内が出る。


 『分かってる、目の前にあるんだよ!』

心の中で怒りが込み上げてくる。

コンビニATMの前で長々と何かしていたら怪しまれかねない。

一刻も早くここから立ち去りたいのだ。


ATMの画面で『スマートフォンでの取引』を選択する。


「ピロッ」


画面に巨大なQRコードが表示された。

主人公はスマホのカメラを起動し、震える手でそれを枠内に収めようとする。


「カシャッ」


読み取り成功の電子音が、静かな店内に響く。

スマホの画面に4桁の『企業番号』が表示される。

それをATMのタッチパネルに打ち込む。


「……8、2、1、1」


自分の金なのに、まるで他人の金庫をハッキングしているような罪悪感と焦りが、背中にじっとりと汗を浮かび上がらせた。


『ウィィィィン……ポーン』


スマホ側に「出金完了」の通知が届くのとほぼ同時に、ATMの内部でベルトコンベアが回る軽快な音がした。

「シュルルル、カタカタッ」


重厚な銀行のATMに比べれば、あまりに頼りない音だ。


『パカッ』


取り出し口に現れたのは、ピン札ではない、少し使い古された1万円札が8枚と、千円札が4枚。


「……これだけか」


主人公は、機械が「ポーン、ポーン」と急かす警告音を出す前に、むんずと現金を掴み取り、足早に自動ドアへと向かった。


財布に入っていた現金と合わせて58万9300円。

かなり心もとないが、とりあえずの逃走資金を確保することには成功するのだった。。

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