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朝起きたらスーパー〇〇〇人になっていた件について  作者: 如月


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第5話 実戦

街での実戦を想定して恵一はこんなことを考えていた。

『街中でのスーパー〇〇〇人は目立ちすぎる。これをなんとかしたい。』


そこでその週末恵一は髪を切りに行った。

元々ミディアムくらいの長さだったが思い切って短髪にしたのだ。


家に帰ってきて早速変身してみる。


シュンシュンシュンシュン……


髪が逆立って金髪にはなるが、短髪をワックスで立たせている程度で違和感はない。

オーラを消してしまえば普通に短髪で金髪の男にしか見えない。


『よし、これなら目立たないな。だが念のため…』


さらにこの状態から買ってきたヘアカラーで黒染めをする。

日常生活はスーパー〇〇〇人の超パワーでいることは不便なので通常状態でいたいが、緊急的に変身しなくてはならないこともあるだろう。

そんな時に突然金髪に変化してしまっては不自然極まりない。


染め終わって鏡て見てみる。

綺麗に黒く染まっていて問題ない。


変身を解除してから再び変身してみる。

やはり問題ない。


もしかしたら上手く染まらないかもとか、染まっても再び変身したら黒染めも解けてしまうかもとも思ったが、変身時は髪の色素自体が変化するらしく、その上から染めたものはその色が保持されるらしい。


変身後の不自然さを克服した恵一は夜の繁華街に繰り出すことにした。


適当に街をぶらぶらと歩きながらターゲットを探す。

しかしそんなに簡単に目ぼしい相手は見つかるはずもない。

そしてこんなことが頭をよぎる。


『ただ見た目がイカついというだけでボコってしまって本当に良いのだろうか』と…


騒音をまき散らし、迷惑運転で周囲に迷惑をかけている暴走族は恵一にとって明確に「悪」という認識があった。

だから悪を成敗するという大義名分のもとボコれば罪悪感も感じないだろう。


しかし、ちょっとヤンキーっぽいというだけで何も悪いことをしていない通行人を殴るとなると話は変わってくる。

恵一もごくごく一般的な常識人。

良心の呵責は感じるのだ。


ということで極力罪悪感を感じなくて済むような悪い奴がいい。

しかし歩けど歩けど明確に悪事を働いている奴と遭遇しない。


それはそうだ。

ヤンキー漫画なんかだと簡単に絡まれたり、そこら中で乱闘が起きていたりするが、現実世界のこの平和な日本でそんなことが起きる確率はかなり低い。


強くて悪い敵も存在しない。

正直言ってこれだけの超パワーを手に入れても実戦で使える局面なんてほとんど存在しないのだ。


しかし恵一はどうしても今後のために実戦を経験しておく必要があった。

木や岩では計れない間合いの取り方や、人を殺さない程度に攻撃する力の加減はどうしても対人戦でなければ得られない。

格闘技のジムや道場で変に目立ってしまうのも避けたい。

となるとどうしてもこの方法しか思いつかないのだ。


そんなことを考えていた時だった。


ドンッ!


考え事をしながらよく前を見ていなかった恵一は通行人とぶつかってしまった。


「いたたたたたた…痛ったーーーーー!」

恵一がぶつかった金髪でチャラそうな男が言う。


『これはもしかして?』


「これ骨が折れてるかもしれないわー。お兄さんちょっとそこで話し合おうかー?」

クイっと親指で路地裏を指示している。


『ラッキー!!』


まさにテンプレ的な悪党だ。

そう、現代日本ではこんなことは滅多に起きる事ではない。

しかし恵一は幸か不幸かそんな滅多に起きない現象を、まさに今引き当てたのだ。


肩を掴まれ路地裏に引っ張り込まれる恵一。

そして完全に表の通りから視覚になったことを確認すると、肩の手を振りほどき静かに変身する。


「お、なんだ?やる気かテメエ?」

少し距離を取った恵一にチャラそうなヤンキーが突っ込んでくる。


それを見た恵一は少し屈み気味になり、ヤンキーのみぞおち辺りめがけて軽ーくちょこんと裏拳で小突く。


「ゴホッ!……ガハッ!……う、ううぅぅぅ…………。」

ヤンキーは強烈に苦しがりその場にうずくまった。

そして

「ゴ、ボォォッ!!……ドロ、ゲェェェーッ!!」

嘔吐し始めた。


『こんなものか…全然参考にならなかったな…』

もうこいつは戦えないだろう。

ガッカリした表情で恵一は路地裏を後にした。


再びターゲットを探して繁華街をぶらぶらと流す。


『しかし初日にしてあんなわかりやすいこってこてのテンプレヤンキーに遭遇できたんだ。これは幸先いいかもしれないぞ。』などと恵一は考えていたが、まさにその通り。

今日は年に一日あるかないかの超ラッキーDAYだった。


「見つけたぞ!!」


声の先を見るとさっきのチャラヤンキーが仲間を引き連れてきている。

ざっと見て6人はいるだろうか。

中にはバットを持った奴までいる。


『うおおおおおおおおおお!超ラッキーーーーーーー!!」

恵一は心の中で絶叫した。


これだけいれば多少はマシなデータが取れるかもしれない。


いかにもリーダーっぽい男が近づいてきてこう言った。

「おいお前、さっきこいつに随分とひでえことしてくれたみてえじゃねえか」


「ああ、だったらどうする?」

ちょっとニヤつきながら恵一が返す。


「この人数にいい度胸だな。おい、お前らやっちまえ!」

この掛け声を合図にヤンキー達が一斉に襲い掛かってきた。


『え、マジか!?』

恵一は想定外の展開に少しうろたえた。

恵一の目論見ではもっと人のいない目立たない場所に連れていかれて戦闘になると思っていた。

それがまさかこんな街中でおっぱじめることになるとは全く考えていなかったのだ。


だが始まってしまったものは仕方がない。

恵一は迎え撃つ体勢を取った。

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