不良なんだ……よ、ね……?
予想外の学校案内
――あれ?
心臓がどくんと跳ねた。
そういえば……先生が「気をつけろ」と言っていた名前。
三日月彼方と、九重遼。
まさに今、目の前にいるこの二人じゃないか――!?
ボクはひとりで「わ、わ、わ……」と頭の中で混乱していた。
だが、そんなボクの動揺なんて気づかないふうに、彼方くんが言った。
「じゃあ――当初の目的通り、学校案内するか」
そう言って、すたすたと歩き出す。遼くんも「そだなー」と元気よく後に続いた。
仕方なくボクも二人の背中を追いかける。
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案外ふつうの二人
二人は廊下を歩きながら、教室や図書室、理科室、体育館――ごく普通に学校を案内してくれた。
不良どころか、むしろ面倒見がいいようにすら見える。
休み時間が残りわずかになった頃、彼方くんが振り返って言う。
「今日はこれくらいでいいか。教室戻ろう」
「ん〜、そだなー。お、蒼も行こうぜ!」
遼くんが笑顔で声をかけてくる。
名前を呼ばれた瞬間、胸が妙に熱くなるのを感じて、ボクは慌てて小さく頷いた。
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次々と
三時間目の休憩時間。
また二人がやってきた。
「そういやトイレの場所、教えてなかったな」
そう言って、また手を引かれて立ち上がらされる。
「ちょ、ちょっと……!」と抵抗もむなしく、廊下へ連れ出される。
四時間目が終わると、次は彼方くんが声をかけてきた。
「学食案内してやるよ」
またも手を掴まれ、そのまま引っ張られる。
結局、二人と並んで学食で昼食をとることになった。
緊張して味なんてよくわからなかったけれど、二人の笑い声に囲まれていると、不思議と嫌じゃなかった。
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お昼休み
「よし! まだ案内してねー場所あるからな!」
昼休みになると、また二人がボクを迎えに来た。
「わっ……ま、また……」
けれど二人は笑顔で、当たり前のようにボクを連れ出していく。
教室の扉の向こうで女子たちの「またあの二人……!」という声が聞こえた気がしたが、もう気にする余裕なんてなかった。
ただ――胸の奥で、小さな灯りがともるような感覚があった。
「不良」だと決めつけていた二人に囲まれている時間が、いつの間にか少しだけ楽しいものに変わっていた。




