表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

君の名は……とか、そんな綺麗な話でもない

強引に手を引かれ、どこに連れていかれるのかもわからないまま歩いていた。

 廊下の角を曲がったあたりで、前を歩いていた子がようやく立ち止まる。


 「……ここら辺でいいか」


 そう言って振り返ると、掴んでいた手をぱっと離した。

 「悪かったな、いきなり連れ出して」

 ほんの少し申し訳なさそうな顔をして、低い声でそう告げてきた。


 「全くだよ」

 隣の男の子が不満そうに口を尖らせる。

 「いきなり転校生引っ張ってくだすなって。オレにくらい話してから行けよなー」



---


自己紹介


 前の子がふっと表情を整えて、改めて口を開いた。

 「俺の名前は三日月彼方だ。よろしくな」


 その隣で、明るい声が続く。

 「オレは九重遼! よろしく!」


 遼くんはボクの手を取ると、そのまま力強く上下にぶんぶん振り回してきた。

 あまりの勢いに目を丸くするしかなかった。


 「……あ、あの。ボクは、一ノ花蒼っていいます」


 自己紹介を口にした途端、遼くんが人懐っこい笑顔を浮かべて言った。

 「知ってるって!」


 その笑顔がまぶしすぎて、頬が一気に熱を帯びる。

 恥ずかしくなって、思わず俯いてしまった。

 それを見たのか、彼方くんが眉をひそめる。

 「おい、やめろ。からかうなよ」

 遼くんの頭を軽く小突く。


 「えぇ? からかってないって!」と遼くんは笑いながら抗議する。


 ボクは慌ててぶんぶんと首を横に振った。

 「……だ、大丈夫」

 小さな声でそう言うと、二人の視線がこちらに集まった。


 胸がどきどきして、呼吸が少し速くなる。

 けれど、不思議と嫌な気持ちはしなかった。むしろ、この二人と一緒なら……と、ほんの少しだけ安心を覚えている自分に気づいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ