許すとか、許さないとかではない
「……うっ……ひっく……」
下駄箱に響く自分の泣き声が、ますます惨めさを募らせる。
その時だった。
頭をぐっと押さえられ、低い声が上から降ってきた。
「――何泣いてんだよ」
驚いて見上げると、そこには彼方くんの姿。
横からひょこんと遼くんの顔がのぞいた。
「うわぁ……涙で顔ぐしゃぐしゃじゃん」
まじまじと見られ、ますます顔が熱くなる。
「……っ!」
驚きと安堵が一気に押し寄せて、気づけば二人に抱きついていた。
「うわぁあああああ……!」
声を上げて泣きじゃくるボクに、二人は慌てて言った。
「お、おい落ち着け!」
「ほら、靴履けって!」
彼方くんが靴を差し出し、遼くんが手際よくボクの腕を取る。
そのまま二人に導かれるようにして、学校の脇の細い抜け道へと連れて行かれた。
細道を抜けると――視界が一気に開けた。
そこは一面の花畑だった。
色とりどりの花々が風に揺れ、陽光を浴びてきらめいている。
ボクは息を呑んだ。
「……ここが、とっておきの場所だ」
彼方くんが静かに言う。
「ここ、小学校と中学校のちょうど境目になってるんだ。
知ってるやつなんて、ほとんどいない。学校を抜け出す抜け道にもなるからな」
言葉と一緒に、彼方くんの横顔が少し誇らしげに見えた。
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言いたかったこと
けれど、ボクは花畑どころじゃなかった。
胸の奥がまだ重く、さっきの教室での光景が頭から離れない。
「……っ、あ、あの……」
喉が詰まってうまく言葉にならない。
でも、どうしても謝りたかった。
――二人を守れなかったこと。
――声を上げられなかったこと。
その後悔を伝えなければならないと、涙を拭いながら口を開いた。




