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届かない声

教室を飛び出した。

 けれど、廊下に彼方くんと遼くんの姿はなかった。


 ――はやい……!


 必死に足を動かすけれど、二人の背中はどこにも見えない。

 頭の中が「どうしよう」で埋め尽くされ、息が苦しくて、胸がぎゅっと締めつけられる。


 お願いだから……見捨てないで。

 心の中で何度も叫ぶ。




 どうしてあのとき、簡単な一言が言えなかったのだろう。

 「二人は無理やりなんかしていない」――それだけでよかったのに。


 でも、ボクは何も言えなかった。

 いつだってそうだ。自分で選択せず、二人の後ろをただ歩いていただけ。


 悪いのは……ボクだ。


 情けなさが喉を焼いて、涙が次から次へとあふれてくる。

 嗚咽が漏れ出し、もう隠す余裕なんてなかった。



---


 気がつけば、足は校舎の端――下駄箱まで来ていた。

 窓から射し込む午後の光が、にじんで歪んで見える。


 「……っ、ひっ……」

 涙が止まらない。


 二人はまだ、学校の中にいるのだろうか。

 けれど――“秘密の場所”に行く権利を、ボクはもう失ってしまった気がした。


 「……う……うあああ……!」


 抑えきれず、声をあげて泣いてしまった。

 嗚咽が下駄箱に響いて、静かな放課後の空気を震わせる。

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