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転生しても俺は魔法が使えない  作者: 佐佑左右
そして誰もいなくなった
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第19話

 あれから変わったことがある。

 まず第一に、天津さざめことペルセポネが俺の前から姿を消した。

 今までは朝夕と家に来て何かと世話を焼いてくれていた彼女だが、魔法使えない部に仮入部した矢先に忽然といなくなってしまった。

 それは次の次の日の朝——つまり今日まで待っても同じだった。


 思うに、一昨日の魔法使えない部での一件が原因ではないかと考える。

 俺はあの部で死神に対する疑惑と猜疑心を植え付けられた。

 もしかして俺たち転生者を何かよからぬことに利用しようと画策しているんじゃないかと。

 一度疑ってしまえばあとは全てが怪しく思える。

 例えばステュクスの言葉。

 またはペルセポネの行動。

 その全てだ。


 だけど、最初はそんなことなかった。

 むしろ死神を信用していた。

 どんな形こそあれ、命を助けられたのは事実だったからだ。

 表現は悪いが、むしろ死神の従順な操り人形になりかけていたといっても過言じゃない。


 いや、他の転生者からの情報がなかったら遅かれ早かれそうなっていただろう。そういった点では森田宮に感謝している。

 もちろんあいつの話を鵜呑みにしたわけではない。

 ただ、俺にも幾つか思う所があって彼女の言葉は間違ってない、または概ね信用出来ると判断した。それだけだ。


 これからどうするかはまだ決めていない。

 その目処すらない。 

 有耶無耶のまま死神と敵対してしまうのか、それとも和解するのか。

 そう悩めば悩むほど思考ががんじがらめになってしまう。


 恐らく死神には俺の動向が筒抜けなのだろう。

 その上で放置していることから、しばらくは泳がせておいても問題ないと判断したのか……。 


 どちらにせよ、相手の振り方は考えておいた方がいい。

 その上で、俺がどちらに与するべきかも考えなければ。やることは山積みだ。

 一介の高校生の身に余るようなことが果たして俺に務まるのだろうか。

 分からない。

 分からないが、決断する羽目になってしまった。


 いやはや、本当に大変好ましくない事態である。

 とりあえず、だ。

 今は頭の中であれこれ考えたって仕方がない。

 人生はなるようになる、そういうものだ。

 厭世えんせいではないが、生きるも死ぬも全てが結果論で経過論なのだからやれることをやっていこう。


 俺の場合はそうだな、この世界で自分の居場所と糧を得ることを当面の目標としておくか。

 幸い土台は見つけられたし、あとはそこで己だけの役割を見つけられれば御の字だ。

 そして指針があれば、あとはそこに向かって邁進するだけである。

 猪突猛進——なんて四字熟語に倣って、俺だけの転生物語を綴っていこう。

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