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3 出発

それから数か月がたった。

私、レイエアも10歳になりました。

前世の男だったころの感覚はすでに忘れかけています。

まあ、知識の方は問題ないけどね。

そして現在、姿見の前に立つのは私。

姿見に移るのは緑眼に緑の髪の毛をおさげにした少女。

うん、普通に人形の如く、美少女過ぎて少し困惑するね、これ。

来ている服はなんと前世の学生服を少し豪奢にしたという感じのものだ。プレザーとスカートは真っ赤で金の刺繍が施されている。

…ふーむ、もしかしてこの世界、想像以上に文明が進んでいるのかな?それとも過去いたかもしれない転生者の影響とか?

ふと当たりを見回す。

すると棚にのった緑魔石が目に入ってくる。

なんでも緑魔石を拾った時に襲ってくるグリーンモンスターを討伐できると、その後、この同じ石を持っていても再び襲われることはないとか。

しかし、グリーンモンスター、何とも不思議な存在だよね。お兄様が強すぎて雑魚みたいな扱いだったけど、実際はかなり強く、最低でもAランクモンスター、つまり上から三番目の危険度を誇るらしい。スキルなしの魔法使いは言うに及ばず、コモンスキル持ちの魔法使いでも苦戦するとか。そんな存在がウラン鉱石を守っている?なんで、だろうね?

「おーい、レイエア、準備はいいかい?」

「あ、はーい」

と考え事をしていたらお兄様が呼びに来た。

そう今日はこの屋敷を離れ、学園に向かう日なのである。

「馬車の準備ができているから、早くしなさい」

「わかったわ、お兄様」

馬車で王都まで…と言っても、途中までだ。

そこからどうするかって。

簡単だ、列車で行くのだ。そうこの世界列車が走っているのだ。と言っても王都近郊だけだけどね。

ところで…少し話が変わる、私は一年間、この世界で何をなすべきか、ずっと考えていた。

まず、この世界の万能エネルギー、魔素は年々減少している。

屋敷にあった専門書で、調べた限りでは魔素の消費量が生成量を上回っていること原因でありもし、魔素が一時的でも0になってしまった場合、生成もされなくなってしまうとか。

魔素の枯渇はエネルギー問題となり多くの人々が被害を受ける。

スキル持ち以外は魔法が使えなくなってしまうのだ。当然、半ば魔法文明と化したこの世界は崩壊に向かうだろう。

解決策は簡単だ。魔素の一部を代替するエネルギーを見出せばいい。

それによって魔素の消費量を抑えるのだ。

最初に考えたのは化石燃料、しかし私のイデアスキルで、この星の年齢を測ったところ、なんとこの星は誕生してからそれほど立っていないということが分かった。化石燃料についてはあまり詳しくないが、もしかしたら存在しないのではないかとすら思う。次に考えたのは水力だ。水力発電により魔素の代わりとなる電気を造るのだ。しかしここでも壁がある。なんと水力発電に向いた大河は世界宗教によって保護されており、おいそれて手を加えられないというのだ。

 他に風力、太陽光などもあるがこれらに関しては半導体の技術などが鬼門だし。なにより私が求めるのはベースロード電源になりうる安定した電源だ。

…そう最後に残ったのは原子力だ。

少し森に入ればゴロゴロあるウラン鉱石、恐らく資源量に関しては地球を超える。

原子力プラントの設備利用率は90%以上、ベースロード電源たりうる。

暫くは原子力発電で耐えて、再エネの技術が発達してきたらエネルギーミックスによる運用に変更、魔素を電気で代替できる部分はすべて行いたい。

まあ、長々と何が言いたいかというとですね…


「私、異世界に原子力発電所を建てます!」


「何を言っているのだ、君は…はぁ…」

とお兄様が勝手に部屋に入ってきていた。

「あ、いや、えーと、えへへ」

「…兎に角、準備は終わったな、早く行こう、列車に乗り遅れかねない」

「はーい」

私は荷物を持って兄の後を追う。ちなみにこの世界、身を一瞬で服ごと清める魔法があるので、着替えという概念があまりない。便利だね。


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