表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バナナボートで異世界へ  作者: 秋野 木星
第二章 王都への旅 VS 古民家改修
52/60

お片付け

明るい日差しの中でこの家を見ると、最初の印象より立派に感じる。

南面の真ん中に玄関があり、東側にリビングダイニングが、西側に寝室と小部屋がある。


小部屋は物置にしていたらしく、足の踏み場がないくらい物がいっぱいあった。

普通は、うわー、と顔をしかめるところだが、極貧生活街道を楽しんでいるリノにとって、宝の山にみえる。


ここを午前中に何とか片付けて、リノの部屋にする予定だ。


兄には、井戸を使えるようにしてもらい、家から離れたところにあるトイレの側に、お風呂を作ってもらうつもりだ。


その間、リノはこの小部屋と台所の片付け、それに昼食を担当する。



まずは残置物の選別から始める。


⒈ 使えるもの→リノの収納に入れる。

⒉ 捨てるかどうするか迷うもの→これもタグ付けして、リノの収納に入れる。

⒊ 捨てるもの→外の草山と切り株の側に持っていく。(燃えるゴミ)

       →裏の物置小屋の側に持っていく。(燃えないゴミ)

⒋ 売れそうなもの→あるかどうか疑わしいが、これもタグ付けして、リノの収納に入れる。


この部屋には北側に窓があったので、その窓の下に裏の物置小屋から猫車を持ってきて、窓の下に置いておいた。ここは、捨てるものを放り込むところだ。


「さあ、やるよー!」


掛け声に合わせて、リノは動き出した。


壊れた花瓶(3)、タイドの服(4)、ひざ掛け(1)、棚(1)、機織り機(2)、糸巻き機(2)、雪用の靴(2)、本(1)、裁縫道具(1)、めっちゃ重たいアイロン(2)、破れたスリッパ(3)、布団(2)、お酒の瓶多数(1)、壊れたランプ(2)、金庫?!のような木の箱(2)、ロウソクの束(1)、穴の開いた農作業用帽子(3)、ゲーム盤?(2)、タオルの成れの果ての雑巾(1)

このようなものが、主な発掘品だった。意外と捨てるものが少ない。

場所をとっていたのは、タイドの服と機織り機関連のものだった。


「よし、さっぱりした」


リノは二つあった棚を使いやすいように移動して、水拭きしておいた。



さあ今度は台所だ。

分類方法は同じで、捨てる物入れの猫車は裏口に置いておいた。


まずは、一番大きな鍋に魔法でお湯を沸かしておく。

出窓に並んでいた食品や調味料の瓶の中身を、ことごとく猫車にうつしていき、残った瓶は【煮沸消毒】するために鍋に入れていく。クリーンはかかっているけど、気持ちの問題だ。


瓶を綺麗にしたら次々と収納に入れていき、今度は食器やフォークなども煮沸消毒しておく。


そうやって綺麗にしている間に、かまどの灰を掻き出して、裏の物置から持ってきた麻袋の中に灰を入れておく。


ランプも油を足して芯を切ってみたら、まだ使えるようだったので、キッチンの釘に掛けて吊るしておいた。昨夜は、リノのライトで部屋を明るくしていたので、これがあると魔力枯渇になっても明るい場所で料理ができる。


後は、腐ったりしなびたりしていた元野菜たちを猫車に積んだら、掃除の完成だ。


「やっぱ、魔法があると大掃除が簡単だ」


埃や油汚れがどこにもないので、擦ったり掃いたりしなくていい。リノは棚を拭いたが、もちろん本来は拭き掃除も必要ない。主婦にとっては夢のような魔法だね。



思ったよりも早く片付けができたので、猫車に積んだゴミを片した後、しまいに行くついでに裏の物置小屋になにがあるのか覗いてみた。


小屋の天井は、半分だけが中二階になっており、そこには藁が積まれている。

鍬、備中ぐわっぽい鍬、レーキ、フォーク、スコップ、鎌、大鎌、鉈、箒、塵取り、箕、如雨露、リヤカー、背負子、カゴはいろんな形と大きさのものがある、農業用帽子など、山仕事や農作業に使うものがほとんど揃っていた。

それだけではなく、釣り竿、バケツ、魚籠などの漁に使うもの、木材、のこぎり、ノミ、金づち、釘など、大工仕事に使うものもあるようだ。

大工仕事に使うものは今、兄が使っているためか、全部揃ってはいないようだ。


「へー、ここは本当に宝の山だったね」




さっき見たら、裏の湖にうちのボートが浮かんでいたので、リノは自分のカバンや服を回収しに行くことにした。


桟橋と木のボートが酷く痛んでいたので、ついでに【時の逆転】をかけておく。


うん、この魔法も便利だねぇ。ちょっと燃費が悪そうだけど。


桟橋を渡り、兄のボートに乗り込んだリノは、久しぶりに会った友達のように、自分のカバンをギュッと抱きしめた。


このカバンがあの時、手元にあったら、異世界生活のスタートがどんなに楽だったことだろう。


「あるある。あ、お菓子とドリンクも入れてたか」


バスタオル、タオル、ビニール袋、リノの服、帽子、靴、普段持ち歩いている財布や携帯、メモ帳、ボールペン、ハンカチにティッシュ、英単語帳。


あー、こんなことになるんだったら、もっといろいろと入れとくんだった。


リノが家に残してきた自分の物に思いをはせていると、ボートの外で、ピチャンと魚が跳ねる音がした。


昼ごはんに、魚の煮物なんてどうだろう。

鮎の塩焼きも美味しかったが、リノは魚の煮物も好きなのだ。



外に出ると、桟橋の上に見たことのない魚が二匹おいてあった。

獲れたてなのか、まだピクピクと動いている。


……………………ん? さっき、こんなのあったっけ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
おお、すごい。色んな物が残ってる。 リノが精力的に掃除をしているのは、やっぱり兄ちゃんが一緒にいるからかな? 料理も出来そうだし、頼りがいがあるお兄ちゃん(*´艸`*) 目に見えない兄弟って(笑) …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ