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バナナボートで異世界へ  作者: 秋野 木星
第一章 異世界転移
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出立準備 2

昨夜、検証した【魔力量警報痕】システムは、上手く稼働した。

警報音が鳴った後で<ステータス>を確認してみると、ちゃんと「魔力 3/170」の表示の時に、作動していた。


「レベル3か……」


戦いが始まる前にステータスを見た時に、「レベル1になったのが、スキルポイントの総計が100ぐらいだったから、もしかして、レベル2になったのは、200代になったから? それなら、レベル3になるには、300代に上がればいいんだから、後、少しだな~」なんて、見当をつけていて助かった。

それがなければ、危なかったと思う。


これからは、ちゃんとステータスを確認しよう。



<ステータス>


名前 リノ

年齢 17歳

人種 アサヤ系異世界人

後援者 ピエール・フラン・ド・ジャレイ New


体力 120

魔力 170


スキル 異世界人パック 108, 魔法全般対応 234

レベル 3

スキルポイント 59



「あれ? 後援者だって。ピエールさんって、大層な名前だねぇ。……ん? そういえば、このステータスって、誰がいじってんのよ」


……………………。


「よくわからんけど、ボーナスポイントは、割り振っておいた方がいいね。そうだなー、異世界人パックの方に全振りしとくか」



スキルポイントの移動で、ステータスはこうなった。


体力 160

魔力 210


スキル 異世界人パック 167, 魔法全般対応 234

レベル 4 New

スキルポイント 0



「やっぱり、スキルの総数が401になって、400代になったことで、レベルが上がったよ!」


とうとう、リノも正解を導き出してきたようだ。

ただ、体力と魔力も微妙に上がっているのだが、それにはまだ気づいてないようだ。






昨日の昼、焼いておいたノビル入りのパンと、ラクーにもらったトマトを丸かじりして、部屋で簡単な朝食を取ったリノは、布団を片付け、身だしなみを整えると、ホテルをチェックアウトした。


洗濯物が乾いたのは助かったな。あの乾燥魔法は使える。

でも、洗い替えの服と下着が、もう一組必要かも。


今、リノは皮のベストと腕の籠手以外を身に着けた冒険者ルックになっている。これを毎日、洗濯しては着続けていると、丈夫が取り柄の服とはいえ、くたびれてくるだろう。


「まずは、古着屋のオタケさんとこに行ってみよう!」


実は、昨日、冒険者ギルドでもらった報奨金の袋を開けてみたら、12200バルも入っていた。

それで、リノの懐はぬくぬくと温かい。


こういうお金は、日本では普通、一万とか二万とか、金額が切りのいい額にするのだが、こっちでは平均給与の三か月分など、月数の方の切りがいい数字を優先するようだ。

つまり内訳明細では、2400(一か月の平均給与)×三か月分=7200バルと、5000バル(パッソルさんの御礼)で、合わせて12200バルとなっていた。


異世界生活四日目のリノの所持金は、34800バル。

最初の頃と比べると、ずいぶん安定した金額になってきた。




領事館の側を通り、職人街に向かおうとした時、レトに声をかけられた。


「リノさーん、待って、ちょっと待ってください!」


リノがいる所まで走ってきたレトは、フーフーと荒い息をついていた。


「おはようございます、レトさん。何か御用ですか?」


「御用ですかじゃないですよー。リノさん、盗賊退治なんてすごいことをしたんですから、報告しに領事館に来てくださいよ」


「え? パッソルさんに報告の方はお任せしたんですが」


「ええ、そういう報告は受けてます。でも、報奨金がオータム領から出るんです。冒険者ギルドの方にも言っておいたらしいんだけどなぁ」


「ああ、なんかそんな話は聞きました」


そうか、こっちから領事館に行かないと、冒険者なんかだと、向こうは所在を把握できないから、連絡が取れないのね。

それは、申し訳ないことをした。


「騎士課の係の者が、昨日、リノさんが来なかったから、居場所を知らないかと僕のところまで聞きに来てね、困っていたようなので、僕も気になっていたんですよ」


「あらら、それはすみませんでした。ギルドの仕事を片付けた後、ピエールさんにお会いしてたので、領の報奨金のことは、すっかり忘れてました」


「ピエールさん?! 会えたんですね! 僕のこと何か言ってませんでした?」


あー、そうか。レトさんは、ピエールさん命だったね。


ちょっと興奮気味になったレトをなだめながら領事館に向かったリノは、騎士課などという異世界ならではの課に、興味津々だった。


騎士だよ!

ピカピカの金属鎧を着て、馬に乗ってるのかな?



騎士課は、領事館の東側の方、リノがまだ行ったことのないエリアにあった。


廊下を進むにつれ、ガタイのいい人が増えてくる。

キョロキョロとあちこちを見回していたリノに、眼鏡をかけた文官が近寄ってきて、先に側にいたレトに問いかけた。


「レトさん、こちらはもしかして……」


「ええ、さっき前の通りで見かけたので、連れてきました。こちらが、冒険者のリノさんです。リノさん、こちらは、騎士課の災害・討伐を担当されているブラン副官です」


レトに紹介されたブラン副官は、騎士というより文官に見えた。


へぇ、騎士の中にもこういうインテリ・眼鏡系の人がいるのね。


アサヤ系の細面のイケメンで、ラノベでいうと、参謀とか宰相とかにいそうなタイプだ。騎士に見えなかったのは、ブランがレトと同じような領事館員風な服を着ていたためだ。


残念、鎧姿が見たかったな~。


そんなことを思いながら、リノは、今度はブラン副官に連れられて、騎士課がある部屋に歩いて行くのだった。

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