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バナナボートで異世界へ  作者: 秋野 木星
第一章 異世界転移
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準備は周到に

ギルドを出て、「隣の靴屋(笑)」さんに来てみると、すでにリノの靴が出来上がっていて、販売台の側でスタンバイ状態になっていた。

きれいに磨いてくれていて、靴の横側にあった傷も目立たなくなっている。


「うわぁ、ありがとうございます」


「そこの椅子に座って履いていったらいいよ。ゲートルも巻くんだろ? やり方はわかる?」


やっぱ、この靴屋さん、弱腰だけど親切だ。


「昨日、ヤマジさんに聞いたんで、やってみます。後でチェックしてください」


「わかった。じゃ僕は奥で靴を作ってるから、仕上がったら声をかけてね」


「はーい」


リノは椅子に座り、収納から靴下を出して履くと、古くて新しい靴に足を入れてみた。

皮とワックスの匂いがプンッと香り、気分が上がる。

靴ひもを結ぶと、グッと気が引き締まった。


ゲートルをズボンの上から巻いていくと、昔の兵隊さんのような足が出来上がった。


靴屋さんに最終チェックをしてもらい、OKが出たので、リノは颯爽と町に飛び出していった。




後は、今日の昼ごはんの調達だ。

表通りの、町を出る辺りに食料品を売っていた店があったし、屋台も何台か見かけたように思う。


「んじゃ、町を出る方向で行きますか」


職人通りから、オータムの町の表通りに出て、後は、昨日、ラクーさんの馬車で来た道を戻る感じで歩いていく。

門をくぐって町を出てしまうと、歩いている人は、冒険者の格好をしている人か、旅人が多い。

リノもそんな人たちに混じって店の前を通っていくと、あちこちから呼び込みの声がかけられる。



所持金は140バル。よく考えて買わないといけないな。

ビワの葉のタスクは、無理なくこなせると思う。それで200バルはゲットだ。金貨依頼のトーリエの葉の方は、よほどのラッキーがないと無理なんだろうな。

宿代は300バルだった。ということは、100バルは宿屋代の足しにとっておいて、ここで使えるのは、40バルかぁ。


いい匂いがする屋台を見ていくと、20~30バルの串焼きやホットドッグを売っている。

でもそれだと、昼の一食でなくなってしまう。


うーん、自分で作るしかないか。


リノが店屋に入ると、男の丁稚さんが側にやって来た。


「いらっしゃいませ。何をご用意しましょうか」


「えーと、パンは一つ、おいくらですか?」


「小さいもので10バル、旅行用の大きいものだと30バルからですね」


日本円で考えると安いのだが、とうしよう。


「じゃあ、小麦粉とかお米は、10バルでどれくらい買えます?」


「大体、この(ます)で一杯です」


丁稚さんが見せてくれた枡は、スーパーマーケットで売っている小麦粉の袋ぐらいの(かさ)があり、結構大きかった。これは、素材を買った方が安いかもしれない。


「じゃあ、小麦粉とお米を一枡ずつください。それと、塩などの調味料は置いてます?」


「調味料はあちらの棚になります。先ほどの品を用意してきますので、どうぞゆっくりご覧ください」


なんだか客対応がこなれた丁稚さんだ。もしかして番頭さんだったのかな。


リノが調味料売り場に行くと、醬油などの液体は、少量だとガラス瓶に入っていて、大量になると陶器の(かめ)に入っており、甕は油紙と荒縄で漏れないように封印されていた。


醤油か……ガラス瓶に入っている醤油は、150バルで、瓶を持ってくると次回から中身だけの販売になり、50バルになるらしい。甕なんかは、小さいものでも600バルからで、大きいのになると1800バルと書いてあった。


どっちにしろ買えないし……。


塩はどうだ……塩はピンク色をした岩塩の塊と、クリーム色をした真っ白でない塩と、製塩漂白されたものの三種類があった。


一番安いのは、クリーム色の塩だね。塩樽の中にお酒を飲む時に使うような大きさの枡が入っていたので、あれが一桝10バルなら買えるかもしれない。


店員さんに聞いてみると、思った通り、あの一枡が10バルだった。


よかった~。何とかなったよ。


小麦粉、10バル。米、10バル。塩、10バル。で、計30バル也~。

そして所持金の残は、110バルになっている。


……つましい生活だなぁ。



こうなると、ラクーさんにもらった売れ残りの野菜たちが、頼りの綱になってくる。


時間があったら、肉か魚を狙って狩りでもするとしましょうか。

とにかくまずは、ギルドのクエストを片付けなきゃね。


買ったものを収納にしまい込み、森に向かって歩いていくリノの足取りは、決意を込めた力強いものだった。

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