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バナナボートで異世界へ  作者: 秋野 木星
第一章 異世界転移
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武器調達

結局、下着は高い方を買わされてしまった。

「冒険者だもの、勝負下着よ」とオタケさんは言ってたが、勝負の意味がちょっと違う気がする。


あそこの店は「古着屋オタケ」という名前らしく、後で聞いたところによると、オータムの町でも有名な店らしい。

だよね、店主が個性的だもの。


センガル村のニッさんの店では、下着のパンツが150バル、ランニングが120バルだった。つまり計270バル。

それがオタケさんちだと、パンティが200バル、シュミーズが150バルで、計350バルもしたんだよ。その上、靴下が250バルもしたから、後から買った小物だけで600バル!


トイレ掃除を十日間ぶっ続けでやらないと賄えない。

ひぇ~、高すぎる。



オタケさんに1290バル(古着)+600(下着等)(イコール)1890バルむしり取られたリノは、19290バルに減った所持金と共に、隣の靴屋にやって来た。


武器屋のおじさんから話がいっていたのか、靴屋では、古い皮靴を三足並べてリノを待っていた。


「いらっしゃい。うちでは、あんまり古靴は売らないんだけどね。オタケさんとヤマジのおやっさんに言われちゃあ、何とかしないとしかられちゃうし。とりあえず、これ、履いてみてくれる? サイズが合うといいんだけど」


気が弱そうな靴屋さんは、申し訳なさそうにそう言って、リノに靴を勧めてくれた。


革靴はどれも丈夫で頑丈そうな造りだったが、古靴というだけあって、何かと(こす)れ合ったところに細かい傷がたくさんついていた。


三足の中で一足だけが、リノの足にぴったりフィットした。


「これがよさそうです」


「やっぱ、これかー。これ、結構、履きつぶしちゃってるから、今夜、底を替えとくよ。明日の朝、また来てくれる? 修繕費込みで、560バルになるんだけど……どう、払えそう?」


どっしゃー、古靴でその値段? 靴って、高いんだね。


「お、お願いします」


「はい、任されました。じゃ、また明日ね」



リノの所持金は、現在18730バル。

果たして武器は買えるのでしょうか。


なんか買い物ゲームをしてるみたいで、ドキドキしてきたよ。



また隣に移動して、武器屋にやってきたリノは、ヤマジのおっさんとたくさんの武器に迎えられた。


「おう、来たな。お嬢さんの得手(えて)な武器を聞いとくのを忘れたから、こんなに並べちまったよ。初心者用の剣なんかは、たいてい7000バル前後ぐらいが価格の目安になるんだ。このショートソードが7200、数打ちだが、いいもんだ。そしてこのロングソードが9600と、ちと値が張るが、俺が自信を持って勧められる」


「……………………なんか、桁数が一つ違いません?」


「そりゃあ武器なんだ。安いもんでも銀貨が何枚もいるさ。冒険者のランクが上がると、金貨武器っつって、金貨を引っ提げて武器を買いに来るってぇのが、冒険者のステータスだな」


これも後から聞いた話になるが、ヤマジさんは安いけれど、ものがいいものを用意してくれていたらしい。

しかしこの時点でのリノには、背筋が寒くなるほどの値段だった。


武器を買ってしまうと、旅費が残らなくなりそう。でも、ギルド長がうるさく言ってたし……。

もう、わかんないから、専門家に聞いちゃえ。


「あの、私、魔法が使えるんですけど、こういう武器って必要ですか?」


「へー、お嬢ちゃんは魔法使いだったのかい。じゃあ、こっちにある弓なんかの遠距離武器はいらねぇな。でもよ、魔法も使い続けると魔力が枯渇しちまうことがある。旅に出るんなら、安全のためにこういう武器は持っておくべきだな」


あー、魔力枯渇。今朝方、経験したばかりのあの気持ち悪さ。

リノはヤマジの言うとおりに、備えておくべきだと思った。


「じゃあ、そのショートソードをいただきます」


「待て、即決するのはいいけどよ。武器は握った感触で使いやすさが違うんだ。要はグリップのフィット感だな。だから、この辺りの物を一通り持って、持ちやすいのを選んでおけ。俺は他に必要なものを持ってくるからな」


え、まだあるんスか?



ヤマジのオヤジが並べたのは……。

お勧めショートソード、7200バル。採取・解体用ナイフ、600バル。脚絆(きゃはん)(ゲートルともいうが、足の保護のためにズボンの上からクルクル巻いて使う布製のテープのこと)二巻き、500バル。盾の代わりの肘籠手(こて)、600バル。ベスト状になっている皮の軽鎧、2000バル。


しめて、10900バル也~。


そして支払いの後のリノの所持金は……7830バルの(ざん)

あっという間に、金貨が、どこかに飛んでっちゃいました。


母さん、あの二個もあった金貨、どこに行っちゃったんでしょうね。



さすがに、リノも「異世界人保護基金」とやらに文句を言いたくなってきたぞ。


……………………。


いや、違う。

ピエールさんのことを思い出せ。


あれは、仕事を始めるための基金じゃない。

当座の保護を目的としたものだ。


もしかして、私、また、先走っちゃってます?

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