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ZEROミッシングリンクⅨ【9】ZERO MISSING LINK 9  作者: タイニ
おまけ

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27/33

ベガスのあれこれ3 シグマの憂い


こんにちは。!ご訪問ありがとうございます。


活動報告にも書いていますが、ZEROミッシングリンク後半は、大幅な見直しがほとんどされていない状態です。よく分からない文や間違えが多いのですが、修正はNOVELDAYSの短縮ストーリー版の更新と一緒に進められており、『4』の途中までです。


気長に直していくのでお許しください。




一番の最初の最初。

まだ誰も大房出身者がユラスの指導者とタッグを組めるなんて思っていなかった頃。


その時期に来た者たちは『アーツ第1弾』と呼ばれ、なぜか羨望を浴びている。



その実態は、第2弾以降の優秀生たちよりかなり低学歴。上位3分の1は運動だけはそれなりにできてチャラい。4分の1くらいは自称陰キャや妄想チームメンバー。中間は気まま層。彼らはどちらにも片寄れるが、怖くない女子が多く気楽な集まりの妄想チームが好きなものが多い。

後は、アストロアーツという大房民のたまり場レストランが、値段もお手頃なのでただ通っていただけなのだが、何の因縁か公共事業に関わり今やあらゆるところに出向いている。


大房民でもない名の知れた高校や大学出身の秀才メンバーたちに、そんな羨望が嫉妬されることもなく温かく見守られてしまい、かえって胸が苦しい。





「ふざけんな。バカかよ!!!」


と叫ぶのは、その第1弾の中でも強者シグマ。運動神経Aチームの大房民である。なお、Aチームは男女共にアスリート級である。大房民、そこだけは誇れる。



「だから、フォーマルハウトの人間どもは、学歴上位メンバーが面倒をみろ!っつうか、お前らが俺らに教えろや!!」

フォーマルハウト組は彼らは呑み込みが早く、みんなすぐあらゆることを習得できるのに、なぜかその役がチコの伝令でシグマやベイド、タチアナたちに回ってくる。


東アジアの最東方、連合直轄都市フォーマルハウトからは、有名大や有名企業、実績のある組織から人が派遣されていいるのだ。

「……あいつら早く帰れ……。何の嫌がらせだ………。」

「まあいいだろ。そもそも、実践では頭の良さより立ち回りの良さの方が上を行く場合もなるしな。」

ベイドが資料を復習しながら横から答える。

「コミュニケーション力も向こうはずば抜けているだろ。」

なのに、こんな下町ズの講習や講義を真面目に聞いてくれるのだ。

「バカにしてんじゃないのか?」

「みんなの講習、人気だけど?」

南斗民、第2弾のミューティアは楽しそうだ。



なぜなら、地盤のない場所を、泥を被って実践をしてきたのは彼らだからだ。本当に優秀な人間には、それが理論や卓上のものか、積み重ねられた肉と霊の上に重ねられた崩れない土台なのかが分かるからだ。


「そもそも悪いのは全部チコさんとエリスさんだ……」


エリスは河漢艾葉の騒動の処理が終わり環境が落ち着いてから、総長を初期からベガス構築に理解を示していた別のアンタレス市民に譲った。






「はい、まず皆さん。うちに来た限りは、全員もれなくリーダーです。追随者はいりません。」


シグマ、文句を言いながらも今日も頑張る。



「ここにいる者だけでなく、これからベガス住民も河漢民も、市民一人残さず全員がそうなってもらいます。ベガス構築に関わる者は、皆その筆頭です。」

全員にリーダーシップを持ってもらわないと、他の仕事ができなくて困る。


「役職持ちは、総合監督と責任は持ちますが、全員が後々講師やチームリーダーの経験をしてもらい、何かしら即席で現場に立てるようになってもらいます。」

受講者が一生懸命、シグマの話を聞いている。


「大房民でもできるから、お前らにも出来る!!!」

どん、と机を叩く。

「……あ、いえ、皆さんにも出来ますよ。」


大房民とはアンタレス下町の大房出身者が、自分を卑下して言う自虐言葉だが、思わず使ってしまう。が、そんなシグマのたわごとまでメモしている素直な人もいた。素直過ぎる。



「それから、報告相談。

全員自分の裁量で何かしてもらっても構いませんが、総長たちは霊の管理までしているので、上にはきちんと繋がって下さい。霊が乱れるといろいろめんどくなります。それで分派を作りたがる人が多いんですが、不満から作ったものは最後の答えも不満です。

誰かとぶつかっても誰かには相談して下さい。高い位置を貰えばもらうほど、誘惑や疑念や反抗心、戸惑い、苦労したことに対する対価への不満が多くなります。でも、全部相談して下さい。上部も一人ではないですので。

活動は横に広げますが、霊線の向く方向はいつも縦軸です。


聖典歴史の縦軸で、それは絶対に中心を通ります。」




これは、意味のない分裂を防ぐためだ。

そうして分裂してきたのが、人間の歴史だ。その失敗を挽回しないと人類は正道を歩めない。


でも、何万年もそうしてきたから、何万年のクセが人類には刻まれている。


世界全体を見渡せず、自分はまともだと思いながら、自分の不満中心の策や組織を作ろうとする。既に、そういう思考回路ができているのだ。

なので、前時代の多くの者が、それ以外の発想でできなかった。自分たちが知る以外の、もっと賢明な世界観や感性があるということを。




「分家は必ず、本家からの印を貰って広がります。その中心が分からない者は、排他主義や独善的社会主義、批判思考に流れます。」



これまでは、一人の指導者にその他大勢が付いて行く歴史だったが、それは神の本懐ではない。


本当の聖典歴史は全ての人間が直接神とその独り子に繋がり、全ての人間が天の愛と情、人倫道徳を(わきま)え、隣人と共に現実のエデンを作っていくはずだった。

誰もが見落としているが、聖典ではそう言っている箇所がいくつもある。


ただ人は、他責思考、自虐思考、欲が天の情や倫理を上回る世界を作ってしまったので、少しずつそいう己の内性と戦って、一点から変えていくしかないのだ。


皆が急にそうはできないので、本当に一点。一点から。



だから10年、40年、70年、100年、数千年掛かる。人は自分の青年期までの生き方らから、マインドチェンジしていくことは難しい。


神の国は、メシアが全て作ってくれるのではない。


聖人が病を治して、奇跡を見るのではない。

それは、神の道を知っていく上での過程の一つでしかない。


本当の神の業は、救い主の言葉の意味を悟り、人そのものの魂や思考が転換されていくことだ。



全てを捨て、全てを振り切り、

この、数千年の人類の歴史から走り抜けて。



その先に、個々人が見る、本当の天国がある――――





「同じように私たちが作っていくのは、指導者に追随する住民ではなく、誰にも主人や責任への意識がありマインドチェンジ思考がある街です。

何でもかんでも他人を責めるのではなく、自分の変化に焦点を当てられる人間性を作っていく教育もしていきます。」

それは、今の高等教育ではどこでもしているものだ。知っているだろうが、周囲はもう一度胸に刻むようにそれに頷く。



「はい!」

と、一番前の人間が手を挙げる。

「はい、じゃあ君。」


「そういうのに従わない人がいるから、コミュニティーが分裂したり発展しないのだと思うのですが?声の強い人に飲み込まれることが多いです。どうすればいいですか?」

「………そう……ですね。そういうことはよくあります……。」


シグマは考える。


「…うーん。そういう時は………

例えば……河漢のヤバい奴らなら………、ユラス人に頼る!!」

「……ユラス人?」


「……河漢のあいつら血に飢えてるから、トーナメントでもすればいい……」

「?!!」

それは発想がなかった!と、さすがのフォーマルハウト組も思う。まさか、全く教科書や経典と違うところから攻めて来るとは。


「っえ?ユラス軍人を相手にする人たちに、私たちが何をできるのでしょう……」

戸惑っている。

「ユラスのゴツイ辺……奴らは重傷者なしに、いい感じリングに沈めてくれるからな………。頭を下げてお願いしろ!」

フォーマスファウトのオフィスな人たちが戸惑っている。


「重傷者はいないということは、軽症者はいるということですか?」

「まあ、かすり傷くらいはするかもな!」

「!?」


「ただ、それで半数以上の心は掴める………」

「!!」

シグマの会心の一言に誰もが言葉もない。


「安心しろ。ギュグニーやオリガンとか、他地域では死者が出るからな。そんなところに初心者は派遣されない。」

「!!!!」



横で聞いているタチアナが呆れている。

こんな普通の人たち、体験をしてもらっても河漢の安全地域であるし、警備もたくさんいる場所だ。生きるか死ぬかではなく、アンタレスの中高等学校や河漢の教育現場を回りゆっくり実地をして、まずは心に残る楽しい体験をしてもらうつもりである。


そして知るだろう。小学生でも買い物の足し算も、現金残量から買い物分を弾くという計算もできない子供たちがたくさんいるということを……。


今の研修生たちは、保育園や幼稚園から掛け算割り算、関数ができるメンバーも多い。





みんな驚きまくっているが、本当に厄介なのは、話の通じない人とプライドが天ほど高い者だ。


今だ河漢35地区は混乱状態で、もうどうせなら言うことを聞かない人たちは、言うことを聞かない人たちでまとめようと、全部押し込んでしまう方式を続けたので、普通人たちに文句を言われまくっている。そこに居続ける普通人も、ある意味強者であるのだが。




そして講義が終わってから、フォーマルハウトの学生数人が来た。


「あの、シグマ先生!」

「あ、なに?別にシグマでいいよ。別に教員じゃないし。」

「講義の先生じゃないですか!!」

「は?ウザいな。後でお前らのほうが先生になるんだから、同格で頼む。追随者はいらんと言っただろ。じゃあ、がんばれな。」


「ならあの、シグマさん!それで、その強靭なユラス人はどこに?!」

「………」

「お手合わせできるんですよね?」

「……………」

答えの出ないシグマ。やっぱりいた、こういう奴。毎回いるのだ。半分は本気で言ったのだが、本当に本気にする脳筋なやつ。



シグマ、事務局の自分のいる場所からの少し先の席を指して言う。

「あちらに。」

「?」


すると、そこにはめんどくさそうに書類を見ている美しい金髪の女性しかいない。

「えっ!?」

その男子、彼女が大房のおばちゃんということを知らないので、顔を赤らめてしまう。

「え?ええ??」

「チコさーん。彼、ユラスの軍人さんとお手合わせしたいそうでーす。」

「ああ?」

ローやレンドルたちが手抜きの資料を提出した上に、忙しいので資料提出とかやってられません!と愚痴った上に、さらにただの自分の感想を書いて提出したので、ご立腹のチコ。


『今日も頑張りました』『ファイニーとは組みたくありません。こき使われます。』とか、全くもってどうでもいいことしか書いていない。こいつらの感想など求めていないのだ。


「なんだ?シグマ。お前がまとめるのか?」

「AIに任せればよくないですか?」

「あ??資料そのものがないんだよ!!」

「そんなん現地のビーとかが収集してるっしょ。」

「人間の心の中までか??」


「お前らで収集して来い!!」

と叱られて、ここは安全地帯だからいいかとシグマに連れられ、なぜか新規メンバーで河漢に向かい、しょっぱなから不条理なことをいう初期メンバーに囲まれ、厳しい実地をする今日のフォーマルファウト組であった。


よって第1弾と近しくなったため、彼らの願い、ユラス軍人とはいかないが、近い人々と早々に手合わせできる、幸福な位置を手に入れたそうな。



もちろんリングに沈められたのは言うまでもない。




セイガ大陸や響の力の説明など、イラストや図の添付ありでチャット小説式で不定期更新をしています。


NOVELDAYSさんより。

▼『聖書からも読み解く、ZEROミッシングリンクの世界観解説チャット』

https://novel.daysneo.com/works/5966672d95cdb451fd3e97c97aeeacd0.html


もしよかったら覗いてみてくださいね。講師はサラサ・ニャート。補助は、ファイとリーブラです!


何かご希望の、ほしい説明図や図式があればお知らせください。もしかしてそれに関して更新するかもしれません。



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