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ZEROミッシングリンクⅨ【9】ZERO MISSING LINK 9  作者: タイニ
おまけ

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25/33

ベガスのあれこれ2-1 星見のソリアス姉さん、また来る


今日は久々のソリアスです。


尚、NOVELDAYSさんに、『ZEROミッシングリンク』の世界観の、チャット形式説明会があります。講師はサラサ、補助はファイです。

世界の説明をするだけなので、何もおもしろくありませんが作者の趣味です。よろしかったらご覧ください。作者の気分転換の不定期更新です。


▼NOVELDAYS

ZEROミッシングリンクの世界観解説チャット

https://novel.daysneo.com/works/5966672d95cdb451fd3e97c97aeeacd0.html






「はあい!愛しの皆さん!響の結婚式以来かな?」

と子供三人を連れて、南海に現われたのは響の同級生、星見のソリアスである。


少し褐色の肌に艶のある美しい髪。3児の母とは思えないほどの引き締まった腰。なにせ日々ストレッチもし、運動もし努力している。あの頃保育園だった子供はすでに小学生、ベガスの子供たちが構ってくれている。一番下の子は、お母さんの席で下町ズを警戒しながらお母さんにピッタリくっ付いていた。



そんなソリアスの周りには、既にたくさんの下町ズたちが集まっていた。


占いなのかよく分からない星見など気にすることもないのに、人生上手くいかないと、ちょっと気になってしまうのである。自分、結婚できるのか見てほしい、そんな輩も集まっている。



「オリガンに行くか、ここに残るか悩んでるんです。」

「公務員スカウトがあったんですが、アーツ職員とどっちがいいんでしょうか。」

「俺の骨密度大丈夫ですか?」


「すみません。あいつが結婚できたのに、俺が彼女もできないってどういうことですか?」

と聞くも、

「高望みし過ぎだろ。」

と、鑑定せずも下町ズが教えてくれる。



「はいはい、皆さん!生年月日、産まれた時間を前もって教えてくれた人は今、答えます。」

と、どんどん教えてくれる。ただ、最初は記録は見ない。

「……うーんと、リーブラちゃん。子宮は大丈夫だね……。」

「それ、病院の霊性師さんにも言われました。」

「ちょっと仕事を減らして、毎日軽く運動して、体も温めてみて。子供の星は出てるんだよね。多分大丈夫だと思うけど。一点突破すれば次から次へと来そうかな……」

他にもどんどん話していく。



「はい、次、キファ君ね。」

「俺の初愛は成就するで………」

「はい、不毛ですね。待っても無駄です。」

で、すぐに別の話に行く。

「キファ君、中途半端な上に異常干支が複数……。」

「え?俺、異常ですか?なんすか、それ。」

「ちょっと大変だけど、それでベガスの中枢に入っていけたのかな……。目上の人間の言うことをよく聞いていなさい。自分なりに生きると、先をなくすタイプね。はい、次の人。」

「なんすか、それーーー!!!言いっぱなしはやめてくださいーーー!!!!」



「はい、バギス君……」

と言って、用紙から目を上げてバギスの顔を見て、「うげっ」という表情をする。

「あなた、星見なんていらないから、思うように生きなさい!ただ真面目にね。って、なんでこんなところで乙女な顔して鑑定なんてしてるの!」

「え?ひどくない?どこに行けば結婚できるか教えて下さい。」

「婚活おじさんにでも頼みなさい。はい、次!」

と、ノートすら見ない。

「ええっーーー???おじさんが逃げてくんですけど?!」

チコにはこの前叱られた件があってケンカし、ムカつくので言いに行かないのである。



そして、この時まだ結婚をしていなかったウヌク。

「……あなたもなんで星なんて見にくるの?」

ソリアス、すごく嫌な顔をする。

「なんですか?俺、かっこいいから女運は困らないからですか?」

「女運と結婚運と、本当の幸せは別だからね…。」

と言って、変な顔をしたままノートに線を引いていく。


「ケガ………、ケガしないように気を付けて。」

「あ、それもう遅いっす。」

「……あなたも異常干支どうかしてる?」

「え?俺が聞きに来たんですけど、俺に聞かないで下さい。」

「本当は聞きたいことなんて何もないんでしょ?霊性師に30までは背後を毎月整えてもらいなさい。はい、次。」



「こんにちは。テーミンと言います。」

と、ちょこんと座ったのは2年生になったテミンである。

「!!?!」

顔を見て仰け反るソリアス。

「王命星子が出てるんだけど、なんで??」

こいつは、オミクロン出の大公子ですと、妄想チームは言いたいが黙っておく。陽キャもいる前で言い出せない。そこらのファミリータイプ賃貸マンションに住んでいるガキンチョだが、もう身分はなくとも実質公子だ。ただし、カウスを大公とするのも癇に障るので陽キャも何も言わない。


「あの、見てもらいたいのは僕じゃないんです……」

「まあ、だあれ?」

と、ソリアスが聞くとテミンはこそっとソリアスだけにデバイスを見せ、小声で言う。

「生年月日も知らないんですけど、写真があります。」

「………」


ソリアスが覗き込むと、1枚だけ撮ったファクトとラムダ、そして太郎君との写真がある。テミンは太郎君の写真を指して不安そうに言う。

「……彼は幸せになれますか。また来てくれますか?豚の写真、まだ撮ってないんです。」

「……」

デバイスを持ってあっちこっち掲げながら、ソリアスはその写真を見る。

「……………うーん。こういう星見は私あんまり得意じゃないんだけど………」

カストルや高位霊性師は、名前や写真、玄関、家や組織の表式でもある程度分かるのだ。整形していてもその前の顔が映ったり、誰が実の親かも分かるほど霊視が出来る者も多い。肉の親は霊視にはっきり映る。血縁は情世界ではなく、霊世界の実体、現実体の積み上げであるからだ。



「この人の名前は?分かる名前でいいから。」

「太郎君だけど、シェダルって聞きました……」

「……うーん。戻って来るかは分からないけれど、時が満ちたら連絡はくれるんじゃないかな……」

「……!」

泣きそうな顔になる。

「時が満ちたらって?」

「……この子、大変な場所にいたでしょ。」

戦場や工作の場が見えるが、子供のテミンには言わないようにする。

「直接贖罪ができないから、たくさんのものが別の形である程度満たされた時……きっと会いに来てくれるよ。私からはきっととしか言えないけどね……」

「……!!」

わーあん!!と泣き出すので周りも驚き、リーブラやウヌクが介抱してあげる。ソリアスにくっ付いていた子供も何事かと目を丸くしていた。



そしてどんどん面談して、ナンパ男も見てもらい、最後にこの男。


「僕も結婚できますか?」

「………」

ソリアス姉さん、また「はあ?」という顔をする。

「ベガスに来た最初の数年の女性運が強烈過ぎて、もう使い尽くして結婚できないとみんなに言われています。」

ファクトである。


「自分、全然女性運よくなかったと思うんですけど。女友達は増えましたが。」

チコとか響とかムギとか、コパーまでファクト頼りだし、シリウスとか篠崎さんとかなんとか……。意識や霊性層でも女性ばかりである。


「…………」

頭を抱えるソリアス。女性運の話を飛ばして違う話をしだす。

「あなた両親が強すぎません?」

「よく言われます。」

「両親越えはできないと言われ、早々に自覚しています。その話でなく、女性運は残って………」

「あのね、学生でしょ?勉強しなさい。」

「?」

「学生のうちは真面目に勉強しなさい!!うちの響も、大房民のせいで使い尽くした男性運の搾りカスで結婚できたので大丈夫です!!」

もう、星見さえしない。


「?!!」

衝撃の大房民。響さんモテてたの俺らのうちだけじゃないし。かまってたの半分以上俺らじゃないし。俺ら、触れもできなかったじゃん?

それに響は搾りカスではなく、未だみんなに惜しまれれいる。



「そういえば、夫婦仲のいい家系から孝徳が生まれるとか言ってたのに、実際響さんは卑屈で家族仲も大変そうでしたけど、何で響さんはチートなんですか?」

ソリアスに挑戦的に聞くのは、先、テキトウにあしらわれたキファである。響さん、サイコスを知らなくとも若年(じゃくねん)で薬剤師、東医師、連合国家医師試験にまで合格している誰が見ても強者の女性である。


「何か障壁があっても、人に頼ってもあの家庭は自浄作用があるでしょ?」

「自浄作用?」

「なるほど!」

「それってすごいことなんだよ。普通はマイナスを積みかさねれば、家系は細くなっていくかどっかで断たれることが多いから。」

みんな一発で理解する。キファ家庭のように、修復不可ではない。なにせキファの母親は異星人である。人であるかすら分からない。

一度壊れた関係を修復できるというのは、高い次元の霊性や精神性の中でしかできないのだ。


「あと、苦節も知る大変な家庭だからこそ越えるものが多くて、乗り越えた時に一気に孝徳のある子が生まれたりするからね。何事も前後事情を見ないと一概には言えないから。」






バギスって誰?って方。


知らない名前は、どこかの下町ズか、ユラス軍か、誰かだろうな~とテキトウにお考え下さい。


バギスは、紙面では大して活躍しない第1弾メンバーです。モブです!でも、見えないところの力持ちです。そんなキャラがいっぱいいます。



▼NOVELDAYS

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