一日の始まり
急に届いた一通の葉書。
内容はわかるようでわからなくて、正直、なんだか気味が悪くもあった。
けど、同時に興味もあったんだ。
もしかすると、その時から決まっていたのかもしれない。
この学園―――鬼我島学園に入学することになるって。
葉書に書いてた通り、無数に専門的な学科が揃っていて学びたいものを選択して学べ、入学当初は楽しくてしかたなかった。
だが、二年に上がった今。わからなくなった。
俺は何が秀でてるんだ……と。
入学当初は躍起になって、絵、プログラム、語学、演技、喜劇、脚本、剣術、武術、忍術に至るまで本当色々とやったもんだが…………。
「はぁ……」
今は全く何もやってねえ。
選択せずに自動的に一般教育学科に入ってる。
ただ、飽きたわけではなく、嫌いなわけでもない。
単純に選択すんのがめんどくせえ。それだけだ。
「…………」
紙に記入するだけ、そんな行為がめんどくさいってもう駄目人間丸出しなのはわかってる。
けど、めんどくせえんだ。なんか、そういうお年頃なんだよ、多分。
それに―――。
「こらっ、聞いてんのけぇ! 百太郎っ!」
「えっ………あ、ああ、はい……」
ほぼ毎日遅刻だ…………。
こうして毎日長々と遅刻したことを怒られる。
「ほんとに聞いてたのけぇ?」
お嬢様共も通う白で統一された綺麗な学園に、くたびれた白いTシャツに白ライン入りの黒ジャージ、髭面の小太りで中年のオヤジは超不釣合いだと思う。
……が、この目の前に居る、小太り髭面中年オヤジは学園の正式な先生だ。
因みに言えば俺の担任だったりもする。
「い、いや、聞いてたよ。し、失礼だなっ」
そして、このやり取りも毎回だったりする。
「ほんとけぇ? あぁ……?」
くそっ、毎度ながらまたこれだ。唸りながらずっと睨みプレッシャーかけてくる。
耐えかねて何か口走るのを待ちやがるんだ。
「いやぁ、嫌だなぁ、じろさん。俺が説教も聞けないバカ野郎とでも言うつもりか?」
「ああ。バカ野郎でぇ、お前は」
はっ、このクソ野郎。普通に肯定ですって。
「いや、うんとか――――」
“言うんじゃないよ、このクソオヤジ”なんて、返してやろうとしたのだが……。
「ぬぁぁぁ、もういい。続きは放課後でぇ。他のバカ二人連れて職員室に来い」
「えっ、いやっ、放課後は嫌っ――――てか、バカ二人って?」
俺の問いには答えず、担任及びクソオヤジ及びじろさんは、“何も言うな、面倒だ”そう言っ
てるかのように右腕をぶんぶんと左右に振る。そして……。
「放課後に職員室だ! わかったなっ!」
俺の言葉を聞こうともせず廊下を進み、角へと消えた。
「なんかしたっけな…………」
顎に手をやり考えてみるが、ありすぎてわからなくなったので気にしないことにして、教室へのんびり向かうことにする。
「ふぁ~~あ……」
さあ~平凡でだらだらした一日の始まりだ。