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11.面白そうな事

「昼前にはリザリアに到着出来るだろう。到着したらヴァン君達はどうする?」


 パーンさんが聞いてきたので、とりあえずギルドへ行くと答えた。

 少し話があるので一緒にお昼を食べないかと誘われた。

 マリーさんも賛成していたのでお昼を一緒に食べる事になった。


 移動しながらラビィさんが話しかけてきた。


「ねぇ……ゴーレム……一体貰えたりしない?」

「え……ゴーレムを貰う……?」

「一般的にゴーレムって核を手に入れれば自分で生成出来るじゃない?その核はドロップ率がとても低い割に欲しがる人がすごく多いから物凄い高価なのよ」

「そうだったんですね」


 ゴーレムの核なんて物置きにゴロゴロしてたのでそんな価値があると思わなかった。

 いくつか持ってきたけど今は出さないでおこう……。


「そこでね……ヴァンが生成したゴーレムを指揮権や魔力供給源を私に移譲する事って出来ない?」

「出来ますよ。すぐ出来ます」

「ホントに?一体欲しいなぁと思うんだけど……」

「僕が生成するゴーレムはクリエイトゴーレムで生成するから核はありませんよ。だから魔力が枯渇しちゃうと消えてしまいます。逆にラビィさんが魔力を供給し続ける事が出来れば、大きく損傷しない限りいつまでも使役出来ますね」

「魔力を供給し続ければ良いのね!やってみる!ずっと連れてても大丈夫そうなゴーレムってない?」

「そうですね……ウッドゴーレムかストーンゴーレム辺りでしょうか。アイアンゴーレムも良いかも?」

「アイアンゴーレムなんてあるの??」

「鉱石には地の精霊が宿りますから、金属のゴーレムは生成出来ますね。理論的にはミスリルゴーレムも可能です。高価過ぎるので現実的じゃありませんけど」

「何か元になる物があれば良いの?」

「そうです。ラビィさんは魔術師なので、ゴーレムが盾役をしてくれたら凄く良いかもしれません」

「めちゃくちゃ期待しちゃうんだけど……」

「強度を求めるならアイアンゴーレムが良いと思いますが、アイアンゴーレムは要求魔力がちょっと多いので、負担が大きいかも知れません。常に魔力を練ってないとすぐ枯渇してしまうかも?それが逆にプレッシャーになって総魔力がぐんぐん上がるかも知れませんが」

「試してみる事は出来る?」

「良いですよ。何か鉄……じゃこの盾を提供しますよ。これ、リステンの中古武器屋さんでタダで貰ったんです。これ木と鉄の混合だからウッドゴーレムとアイアンゴーレムの混合ゴーレムが作れると思います」

「それって魔力が枯渇するとその盾ごと消えちゃうの?」

「いえ、盾に戻るだけです。薪ゴーレムも魔力を切ると薪に戻ったのと同じ理屈です」

「やってみて!私頑張ってみる!」


 僕は盾にクリエイトゴーレムを詠唱してみた。


 すると人型の骨格部分に木、装甲部分に鉄が使われたゴーレムが生成された。

 要求魔力もウッドとアイアンの中間ぐらいだ。

 実戦投入するにはちょっと小さいけど、送り込む魔力量で大きく出来るから大丈夫だろう。

 現状の要求魔力ぐらいならラビィさんであれば維持出来るんじゃないかな。


「では移譲しますよ。魔力を持っていかれるので覚悟して下さいね」

「わかった!頑張る!!」


 僕は移譲を行った。

 意識するだけで移譲されるので特にやる事はないんだけど。


「わわ……これがゴーレムの要求魔力……油断出来ない……ぼーっとしてたら枯渇する。ヤバい、練らないと……」


「ゴーレムを使役し続けるには基本的にいつも魔力を練ってないといけなくなります。僕が見張りに作った程度の弱いゴーレムならそれ程要求されませんが、このウッドアイアンの要求魔力はあれらとはだいぶ違うと思います。でも、このクラスでないと使役する意味がないので、頑張って練り続けて下さい。じきに魔力の総量が増えてくると思います。総量が増えてきたら送り込む魔力を増やしてみて下さい。サイズが大きく、力が強くなります。ラビィさんと一緒に成長するイメージですね」

「わかった!私のゴーレムちゃん……お母さん頑張って魔力を練るからね!」


 お母さんって……。


「面白そうな事をしているね。そんな事が出来るのかい?」

「パーンさんも一体どうですか?」

「俺は魔力が少ないからすぐに消えてしまうよ……」

「私やってみたい!」

「私も!」


 リースさんとマリーさんが挙手した。


「何か元になる物を持ってますか?」

「元になる物……この石でどう?」


 リースさんが道端にある椅子に出来るぐらいの岩をペチペチしている。


「それは結構要求魔力大きいと思いますよ。重量が大きい分動かすのに使われる魔力が大きくなりますから」

「なるほど……じゃこれは?もう長い事使ってなくてそろそろ手放す事を考えてたの」


 リースさんが荷物からワンドを取り出した。

 体積が小さいので薪ゴーレムと同じぐらいのサイズになりそうだけど、使われている材料に大きな違いがある。

 これは魔力を多く含む素材で出来ているので質の良いゴーレムになりそうだ。


「やってみましょうか」


 クリエイトゴーレムを詠唱すると薪ゴーレムとは明らかに要求魔力が違う意外と綺麗な人型のゴーレムが出来上がった。


「じゃ移譲しますよ」

「うぅぅ……ヤバい、ラビィでも厳しいんだから私だとそうなるよね……練らないとすぐ枯渇する……」

「マリーさんはどうします?」

「私はこれで……」


 薪だ……まぁマリーさんは魔術師じゃなくバランスタイプだから魔力が足りないかも知れない。

 これぐらいから慣らした方がいいだろう。


 薪ゴーレムが生成されたのでマリーさんに移譲した。


「なるほど……これぐらいならなんとかなりそう……」

「御三方とも頑張って魔力を練って下さいね」


 返事がない……魔力を練るのに忙しいみたいだ。

 その後しばらく歩いているとスタンさんがつぶやいた。


「女子が黙ると静かだね……」

「高名な魔術師は皆寡黙であると聞いた事がある。意識の高い魔術師は常に魔力を練り続けているんだろう。このゴーレム配布はいい起爆剤になるかも知れないな」


 そんな話をしていると遠くに街が見えてきた。


「あれがリザリアですね!着きましたよ!マリーさん!」

「話しかけないで!集中してないと魔力が練れないから……」


 三人とも一気に魔力アップしそうだ。

 とてもいい傾向だね!


「リザリアへゴーレムを連れて入って大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ。数は少ないけど連れている人は時々いるから。核がもっと多くドロップしてくれればもっと庶民にも出回るんだけどね」


 僕たちは街の入り口まで来た。

 守衛さんに冒険者証を提示して街に入った。

 最初に目についたのは冒険者の数だ。

 リステンより冒険者の数が多い。

 そう思っているとスタンさんが教えてくれた。


「冒険者が多いのはダンジョンがあるからだよ。リステンにはダンジョンがないから、リザリアへ来て活動している冒険者が多いんだよ。でも……リステンにもダンジョンが出来たから、向こうも冒険者が増えるだろうね」


 リステンにはダンジョンがないのか……。

 父さんとよく潜ってたけど……父さんはいつもダンジョンに隠蔽魔術をかけていた。

 勝手に入られると管理が出来なくなると言ってたけど……雰囲気的に言わない方が良さそうだ。


 そういえば閃光のみんなに任せたあのダンジョンがどうなったか気になるな。

 ギルドに報告が入ってるだろうか。

 到着の報告もしないといけないので、ギルドへ向かった。


 冒険者ギルドへ入ると右手には食堂、左手に掲示板があり、掲示板の奥に受付があった。

 リステンのギルドとほぼ同じ配置だった。


 受付でパーンさんが到着の報告をしていた。


「三日後のハーピー掃討戦に参加予定の青の団です。到着しましたのでよろしくお願いします」

「はい、青の団様ご到着、確かに承りました。掃討戦前日の昼過ぎにもう一度お越しください。参加予定の全パーティを集めたミーティングがありますので必ず参加するようお願いしますね」

「はい、了解しました」


 パーンさんが終わったので僕とマリーさんが前に出た。


「すみません、リステンから移動してきました自由の風です。数日こちらに滞在する予定なのでよろしくお願いします」

「はい、自由の風様……リステンで結成の申告は受けていますが、結成してからまだクエストは受託されていないようですね。クエスト受託時にパーティ名を正式に登録させて頂きますので、早めに何かクエストを受けて頂けますか?」

「わかりました。滞在中にいくつかこなす予定なのでその時はよろしくお願いします」

「はい、こちらこそ宜しくお願い致します」


 移動の報告しかしていないが後ろに列が出来ていたので一旦受付から離れる事にした。

 朝クエストを受けて、簡単なクエストなら昼の今頃に達成報告に戻る人が多いみたいだ。


「俺たちも食堂で昼食を取ろうか」


 パーンさんの言葉で僕たちは食堂へ移動した。

 半分ぐらい席が埋まっている。

 僕たちはそれぞれ好きな物を選び席についた。


「みんな、移動お疲れ様でした!」

「お疲れ様!」


 パーンさんが乾杯の音頭を取り軽く乾杯が行われた。


「ヴァン君とマリーはこれから二人での活動になるが、パーティメンバーを募集したりする予定は無いかい?」

「いえ、今の所は。マリーさんはパーティの人数に関して何か考えてますか?」

「私もまだ何も考えてないよ」

「そうか……この街にいる間に考えてみて欲しい事があるんだ。」


 パーンさんが青の団のメンバーに目配せをして、みんなが頷いていた。

 その後のパーンさんの言葉は衝撃的だった。


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