4-6 c さいきんの学園もの
ケネスとのティータイム、話は学校の話題になっていた。
「でね、なんか、かっちょいい虫をくれたのよ。」アリスはケーキを食べながらケネスに学校での出来事を説明している。「なんか、体育の時も誘ってくるし。かと思えば、人のお弁当食べたりするし。あいつら何なのかしらね。」
なんか友達感覚でかまってくるみたいな言い方してるけど、あいつら悪意もって虐めにきてるからな?
「ひょっとして、あいつら私のこと好きなのかしら?」
違うよ!!
「学校ではうまくいってるようだね。」
「そう?」
「そうだよ。構ってもらえるってことは人気者なんじゃないか。」
違います。いじめられてんです。
「でも、相手すんの結構めんどくさいのよ。」
「殿下は恋とかそういうのとは縁遠そうだね。」ケネスは笑いながら言った。
いや、本当にそういうんじゃないです。大人のあなたが気付いてあげてください。
「そもそもタイプじゃないもの。」
本人が鈍感にもほどがある。そして、自意識過剰にもほどがある。
「きっと殿下に自分たちの派閥に入って欲しいんですよ。」
「でも、一応私王女だから、どこかの公領に肩入れしちゃまずいじゃん。」
うぉっと、派閥に入らなかったのって、そんなきちんとした理由だったのか。めんどくさがってるだけだと思ってた。
「いろいろ考えてるんだねえ。」ケネスが感心しながら、お茶をすすった。
そんな呑気な状況じゃないんだけどなぁ・・・
アリスの呑気な感想とは裏腹に、ジュリアス派閥の少年たちは歯噛みをしながらアリスについて話し合っていた。
「どうすんだよ」
「あいつマジでムカつく」
「もう、直接ぶん殴りましょうよ。」
「さすがに、それはダメだろ。」
「だいたい、あいつ強すぎないか?」
「あいつなんで俺たちが何かしてるところを探し当てるんだ?」
「本人と直接絡むようなアクションはダメだな。」
「あいつが学校に来る前には仕込みを済ませておかないとダメだ。」
「そうだな、やり方を変えていこう。」
今までは、アリスに恥をかかせて笑いものにして留飲を下げようというのが彼らの目論みだった。それが、純粋に嫌がらせが目的へと変わり、ここから彼らの行為はいっそう陰湿なものへと変わっていくのだった。
次の日の朝、アリスが教室に通うと机の上に木炭で落書きがされていた。
『死ね』『いんちき貴族』『臭いんだよ』『クソ女』『ゴリラ』
アリスは机の前で立ったままでその文字を読んだ後、少しだけ眉をひそめると、自分の肩口を匂ってから、何事もなかったように座って、机の文字を木炭消しで擦り落した。
クラスの他の生徒たちは騒動に巻き込まれないように様子を見ている。
シェリアも隣の席から机の上の落書きなど見えていないかのようにアリスのほうを観察している。
いやな空気だ。
見ていてすごくイライラする。
ウィンゼル卿を煽ってアリスを慰めに行く。
「どうしたのウィンゼル卿?」アリスが肩口に登ってきたウィンゼル卿に尋ねた。
ウィンゼル卿がアリスの鼻を自分の鼻でチョンとする。ナイスだ、ウィンゼル卿。
アリスはお返しにウィンゼル卿ののどのあたりをやさしく撫でるとニッコリとほほ笑んだ。
アリスはそれほどでもないのかもしれないが、自分はかなりカチンと来ている。
アリスの手前我慢していたが、自分は今までも正直ムカついてムカついてしょうがなかったんだ。
お前ら、やられたことはやり返させてもらうよ。




