4-4 c さいきんの学園もの
この学校の科目にも、前世の学校のように体育がある。
この日はたまにしかない体育のある日だった。
もちろん、きれいな洋服のままで体育をするわけにはいかないので、着替えのためアリスは更衣室に向かった。
ちなみにアピスや幾人かの上位の貴族は自分専用の更衣室をもっている。
アリスは王女なんだが、リデルには専用の更衣室は用意されてない。
先生たちからは用意しましょうかと打診をされていたが、オリヴァとグラディスが気にしないで良いと断った。
さすがに、ウィンゼル卿視点でいっしょに女子更衣室に入っていくのも悪いので、オリヴァに移動してアリスの着替えを待つことにした。
が、すぐに女子更衣室のほうから悲鳴が聞こえてきた。
即座にオリヴァからウィンゼルに移って状況確認を試みる。
って、くっせ!!ウィンゼル鼻良すぎ。
慌ててアリスに移りなおす。
ウィンゼル卿よりましだが、まだ匂いがする。あれだ、強烈なおならの匂いだ。誰だ!?
アリスの視界から確認すると、部屋の窓ガラスが割れていることがすぐ分かった。割れ窓から吹き込んでくる風で目隠し用のカーテンがひるがえっている。
窓ガラスが割れたことに驚いていた女子生徒たちが部屋に充満してきた匂いに気づき、徐々に騒ぎ始めた。
さらに、ウィンゼル卿が匂いから逃れるように扉の前をぐるぐると駆けまわっため、その辺りで着替えていた女子たちがなおさらパニックになっていた。
アリスは匂いの爆心地に落ちている茶色い小さな袋に目線を落とした。
匂いの原因はこれか。これが窓から投げ込まれてきたのだろう。
着替えの真っ最中だったアリスは下着のままで匂い袋を拾うと、窓に歩み寄った。
「リデルちゃん服!」シェリアが鼻をふさぎながら言った。
「大丈夫よ。」何が大丈夫なのか解らない。アリスが風ではためいていたカーテンを開いた。
再びクラスメイトの間から悲鳴が上がった。女の子たちは慌てて手元にあったもので身体を隠した。
アリスは下着のまま堂々と窓から外を眺め、茂みに何かを発見した。
え?
今、同じ視界が見えてんだよね?自分なんも分かんなかったんですけど。なんか変なところあった?
アリスは、一歩窓から遠ざかると、振りかぶって匂い袋を投げた。
以前、グラディスの窓に向けて石を投げた時のように、ほれぼれするような直球がえぐるように草むらの上を貫いた。
一瞬慌てたような男子の頭が見えた。
逃げようとしたのだろうか。彼がなまじ身を起こしてしまったせいで、弾丸のような匂い袋は彼の顔面を狙撃し、そして破裂した。
完璧なストレートだ。
どうにかアリスを甲子園に出す方法はないだろうか。
破裂した匂い袋は、ウン・・・、茶色の湿った土のような中身をまき散らした。
少年の顔面は袋の中身でまっ茶色に染まっていた。
顔面を茶色の臭いものまみれにされたノッポの少年は悲鳴を上げて、どこかへと走っていった。
草むらから他の少年たちが出現し、慌てて彼の後を追って走り去っていった。
アリスは満足そうに逃げ去る彼らを見送ると、自分の手を嗅いでめちゃくちゃ顔をしかめた。
「くっさいわ!ちょっと洗ってくる。」アリスはそういって部屋を出て洗面所に向かっ、いや待て、アリス!
「リデルちゃん!服!!」シェリアが叫んだ。




