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1-9 さいきんの異世界転生

「そう、ジュリアスちゃんは今回の剣術のお稽古でもまた一番だったのね?」従者の報告を受けて、ひじ掛け付きの豪華な椅子に座っている金髪のご婦人が嬉しそうにつぶやいた。

 この部屋は椅子以外の部屋一面の家具が、壁が、扉が、窓が、すべて豪華できらびやかだった。どれもこれも色飾と装飾が施され、金や宝石がちりばめらているものもある。さらに部屋の隅には主人の言いつけを待っているメイドが3人、壁際にいるにもかかわらず、壁にもたれかかることもなく、身じろぎもせず前を向いて立っている。

 一方で部屋とは対照的に、金髪の女性は飾り気のない質素なワンピースで、装飾品の一つも身につけていない。髪も整えてはいるものの、後ろで結わいているだけだ。そのことがこの部屋の中において、その女性の清楚感を際立たせていた。さらに彼女の動きひとつひとつが優雅でおだやか、まさに王族といった感じだ。彼女の顔には年齢によるしわが刻まれ、彼女の穏やかな印象を助長している。凛とした眉や口が若かったころ彼女が美しかったことを容易に想像させ、そして今も、彼女に気品と高潔さを与えている。そういえばどことなくアリスに似ているな。

 彼女がルイーズ。王位継承権二位のジュリアスの母親であり、国王の妹、アリスのおばだ。

「ジュリアスちゃんはとても頑張っているのね。うれしいわ。」ルイーズはもう一度繰り返す。「算術のほうはどうだったの?前回はひどい結果でしたけど。」

「算術の試験は明日にございます。」従者が頭を下げたまま答える。「それに、前回も80点で上位の成績でございます。」

「だめよ。」ルイーズが少しだけ声を荒げた。荒げた声はわずかであっても、彼女の穏やかな風貌からは思いもよらない声色だ。「まだ、上に20点もあるじゃない。5問に1問間違えているのよ?そんなのダメよ。」


 こんにちは。

 わたくし、星井一彦、ただ今ネズミの中にいて、壁の裏側よりルイーズさんの動向を探っております。


 なんだってネズミの中にいるかというと、ヤモさんがこのネズミに食べられたためだ。

 アリスが元気になってきたため、偉い貴族たちの多く居る城の上層階に乗り込もうと、ヤモリを使って城の排水溝 (もしかしたらダストシュート)を登っていたところでヤモリの視界が途絶えた。もしやと思ってリストを確認するとリストからヤモリが消えていた。その後は前回と同じ流れで【経口感染】が発生し、結果ネズミに【感染】した。初哺乳類だ。

 ところで、城の貴族たちの住んでいる界隈は城の3階、4階にある。3階4階と言っても、一階の高さがものすごく高く、ところどころ中2階のような高さに部屋があったり、3階まで天井ぶち抜きの廊下があったりするので、本当に3階かと言われると自信がない。

 このあたりの貴族たちの部屋の壁、特に外壁周辺の部屋の壁は二重構造になっていることが多く、壁の中に細い隙間があるところが多い。これは、もともとあった壁の内側に綺麗な壁をもう一枚リフォームしたためだ。もとのでこぼこした外壁と新しいフラットな部屋の壁との間に隙間ができてしまうのだ。

 この城のネズミはこの隙間を通って行き来をしている。ネズミは明暗しか解らないが、真っ暗やみでも何があるかを見ることができるため、壁の間だろうが通気口だろうが困ることなく進むことができる。しかも、ゴリよりも速く、移動範囲が広いため、数日で城のいろいろなところまで探ることができた。ほ乳類だけあって頭が良く、ゴリほど自由にコントロールすることはできないのが難点だが。

 そして、ここ数日の夜間、ネズミをうまく誘導して城内を探索し、ついに黒幕候補その1のルイーズの部屋を見出すことに成功したわけだ。ちなみにアリスの部屋はこの部屋から壁の隙間と空気穴を伝っていくと意外と近くにある。

 とりあえずこのネズミは雌だったのでネズ子とでもしておこう。

 

「アピスちゃんは算術満点だったんでしょう?」ルイーズが従者に尋ねた。「この間のお茶会でミンドートの奥様がご自慢なさっていましたのよ。アピスちゃんはまた今日も満点だったって。誰かが満点を取れるテストで満点を取れないのはいけませんわ。」

 うわぁ、教育ママさんだ。

「はっ。」従者がかしこまった。

 こんなこと言われても、従者も困るだろうに。

「ジュリアスちゃんは王国を担っていかなければいけない人間なの。そんな人間が妥協なんてしてはいけないのよ。」ルイーズが従者に優しい声で言った。でも内容は厳しい。「ジュリアスちゃんにもっと頑張るように伝えてちょうだい。算術が得意な先生を準備したほうがよろしいかしら?」

 ルイーズは椅子から立ち上がって、窓へ向かい、外を眺めた。少し落ち着こうとしているようだ。

「他の教科はどうでしたの?」ルイーズが振り返って従者に尋ねた。

「先週より行われた教科のテストはすべて、95点以上でございます。」

「95?」ルイーズは一瞬顔をしかめて、再び問う。「100点でなかったのはどの教科?」

「経済学のみ95で、ほかは満点でございます。」

「どこを間違えたの? いえ、答えなくていいわ。聞いても解らないもの。」ルイーズは自分の質問を取り消すと椅子の前を行ったり来たりし始めた。「アピスちゃんがね、前回、経済学を除いて全部満点だったのよ。ジュリアスちゃんは算術を除いて満点。ねえ、今回アピスちゃんの経済学の点数はいくつだったのかしら。」

「かなりよろしかったものと思われます。」

「そういうことじゃないのよ。エルミーネをアリスちゃんのところにやったのは失敗だったかしらねぇ。」ルイーズが知った名前を出してきた。「あの子、経済とか政治とか教えるの上手だったものねぇ。やっぱり、今からでもほかの誰かと代えたほうが良いかしら。どう思う?」

「申し訳ございません。わかりかねます。」

「そうよねぇ。アリスちゃんの家庭教師、簡単に代えちゃだめよねぇ。アリスちゃんすぐ先生のこといじめてやめさせちゃうから、うまくいってる先生を取っちゃったら可哀そうよねえ。そうだ、アピスちゃんの家庭教師ってどんな人?やっぱり教えるの上手なのかしら。きっとそうよね?」

「アピス様は現在は家庭教師はお付けになっておられないかと。」

「あら、そう。ええ?そうなの!?」ルイーズの表情にみるみる困惑が広がる。「家庭教師なしで、そんなに成績がよろしいなんてすごいのね。ほんとにすごいのね・・・。」

「ジュリアス様は継承位を持ちます故、外交的行事も行わねばなりません。また、男子ですので剣術の研鑽も行わなくてはなりませぬ。アピス様のように勉学のみに潤沢にお時間を割ける訳ではございません。」あからさまにおろおろしているルイーズを落ち着かせようと従者がフォローを入れた。

「そうね。そうよ。」ルイーズは少し考えてから、落ち着きを取り戻した様子で言った。「その分は私がサポートしてあげないとね。そうね、エルミーネじゃなくてもジュリアスちゃんならきっとどんな先生でも大丈夫だわ。ジュリアスちゃんが頑張れるようにジュリアスちゃんの脚を引っ張らないような先生を探してちょうだい。」

「はっ。」

「ところでアリスちゃんはエルミーネが就いてどうなの?」ルイーズがアリスのことを話題に出した。「お勉強、進んでいる?」

「難航しているようです。何分あの王女殿下でございます故。それに、何度もお倒れになっているご様子で、まったく課程が進んでいないようでございます。」

「あらあら、それはそれは。」ルイーズはそれはそれは何なのかは言わなかった。

「それにしても、アピスちゃんよねぇ。ジュリアスちゃんみたいに頭がおよろしくて。」ルイーズはアリスの話は早々に切り上げ再びアピスの話を始め、アリスの話題には戻ってこなかった。たぶん、アリスはジュリアスの敵(成績の)ではないと認識したのだろう。

 こうやって聞いてる感じだと、ただのどの過ぎた教育ママさんだ。アリスよりもアピスのほうに興味があるように見受けられたが、はたして。




 ネズミで徘徊を開始してから数日後、エルミーネが再びアリスの部屋にやってきた。


 いつものようにケーキを携えて。

 

 アリスはエルミーネが現れると、早速、本を持ってエルミーネに構いに行った。エルミーネが来なかった間に質問が溜まっている。そして喧喧諤々の講義だ。エルミーネも大変だ。ぶっちゃけ、これが動機だったとしても理解できんこともない。

 正直、授業や二人の話には興味がない。エルミーネの胸元の大きくあいた服装にはとても興味があるが、ネオアトランティスからは見えないし、アリスはエルミーネより本ばかり見るので話にならないし、そんなことはどうでもいい。興味があるのは別のことだ。

 いつものように授業が進み、アリスが苛立ち始めた。

 2時間近くもったので今日はおとなしかったほうだった。が、いろいろと授業が進んで、国民の暮らしは貴族がその時の判断で自由に決めることができるみたいな話から、ついにいつものようにこじれ始めた。

「貴族が国民の正義を決められるなのなら、貴族そのものが間違っていたらどうなるのよ?」アリスが眉をひそめる。

「国民は貴族の所有物です。国の根幹をなす貴族が手足である民を自由に操ることができなくてどうなりましょうか。」エルミーネの回答はノブレスオブリージュ的な性善論に基づいた回答ではなく、カースト的な回答だった。

「貴族だからって、ほかの人間を自由にしてもいいって言うのはちょっと違うと思うわ。」アリスが苛立つ。

「もちろん、最低限のルールは必要です。」エルミーネが答えた。「でも、我々は戦争に勝つために国民を駆り立てねばならない時があります。人を殺し、死ねと命じる必要があるのです。いまさら国民の倫理や規範などに構うなど偽善甚だしい。」

「だからと言って、誰かが他の人の生き方を踏みにじっていいということにはならないでしょ。」

「誰しもが望みどおりに生きようとすれば、必ず軋轢が生まれます。どちらかの生き方を正当化すれば、もう一方の生き方が否定されるということです。私の言いたいのは、正当化されるべきは国であり、その根幹は王族であり次いで貴族であるということです。国務をつかさどる王族や貴族である以上、誰かの生き方を踏みにじらなければならない時が必ずきます。」

「国の根幹は国民よ。」アリスが言う。「国民が栄えるために貴族や国王があるべきだわ。エルは貴族に生まれたからそんなことが言えるのよ。あなただって貴族に生まれていなかったら、自分の人生が誰かの好きにされるなんてことは許さないはずだわ。」

「もし、私が平民に生まれていたら、王女殿下のおっしゃる通り考えたでしょう。でもそれは、立場のせいではありません。平民として生まれたら、国についての教養を身につけられないからです。領主に従うことが国を動かすために必要だと学ぶことができないからです。だから、教養のない国民ではなく王族や貴族が国を動かすべきなのです。もし私がいまの教養のまま平民となったのであれば、国のため、ひいては国王や貴族のために自分の人生を国のために捧げることを良しとするでしょう。」

 こんな感じで、平行線の話がつづく。そして、さんざん揉めた挙句、エルミーネがもういいとばかりに最終兵器をとりだした。


 いつものケーキの時間だ。お待ちかねの、そして、自分が最も気にしていた時間だ。

 このケーキの中に例の毒が居るようならビンゴだ。エルミーネが毒をアリスに食べさせた犯人となる。


 早速、胃の中に自分たちを分泌させる。胃の粘膜を突っ切って胃の中に突入だ。

 痛い痛い痛い痛い!

 胃液が痛い。

 胃の中に溶け出た細胞は一瞬で蒸散した。

 仕方ないので、慌てて戻る。胃壁の内側あたりに自分たちを配置する。

 待つことしばらく。いくつかの毒が胃壁を抜けて現れた。


 やはり、エルミーネが犯人か。


 とりあえず、現れた毒は5つ。奴らは白血球に強いだけで、こちらに対しては弱い。5つ程度の毒は、こちらに損害を与えることもなく壊滅した。

 いくつかの細胞を残して、小腸のほうに先回りする。前回アリスが毒の影響を受けたのは、しばらく時間がたってからだ。多くの毒が胃壁からより、小腸で吸収されたと考えるのがおそらく正しい。

 胃壁を抜けてくる毒はその後もほとんどなく、時間が流れた。

 アリスはケーキを食べ終え、その食器はグラディスにすべて片づけられ、エルミーネはとっくに帰っている。

 しかし、アリス体内の自分は結構忙しい。自分たち細胞は数が多く、全身から細胞を小腸表面に集めるのが結構大変だ。疲れることこそないが、マラソンゲームで(そんなのがあるかどうか分らないが)1万人以上のキャラクターを操っている感じのめんどくささだ。

 そして、幸いにも毒が小腸に達する前に、細菌を腸壁へ配置することに成功した。その数1万5000。

 と、勢い込んで配置したもののそこからなかなか毒はやってこない。

 胃から腸までって、個人差大きいうえに、食べたものが何かでもかわるからなぁ。

 そして、集中力の切れかけた夕方、小腸に待機して2時間。ようやく奴らはやってきた。その数、数百。

 あわてて戦闘を開始する。可能なら吸収される前にすべて倒してしまいたいが、腸内では思ったようには動くことができない。仕方なく腸の壁の内側に防衛線を築いて毒を迎え撃つ。いちおうこの時のためにここ一週間ちょいで52000まで自分を増やしてある。

 防衛線に参加しなかった細胞たちを、小腸以外からの侵入に備え体中の各所にばらまいてある。もし、小腸戦線に問題があれば援軍とすることも可能だ。

 結局、相手の数も最初の200がピークで、その後やってくる数も少なく、全体としても毒の数は500程度とそれほど多くなかった。また、相手の戦力投入もアリスの消化任せで、完全なランダム逐次投入だった。そのため、自分の数もほとんど減らすことなく、アリスの体内に侵入しようとした毒をすべて撃退することに成功した。

 アリスにはほとんどダメージは入っていないはずだ。ステータスも問題ない。むしろ自分が動いたことがアリスにダメージを与えてないかのほうが心配だ。


 十中八九決まった。

 一週間以上たってエルミーネが復帰したのと同時に毒が盛られた。

 直前にアリスが食べたのは、エルミーネが持ってきたケーキか、その時にグラディスの入れたたお茶のどちらかしかない。

 そもそも、アリスは普段からグラディスかエルミーネの持ち込んだものしか食べておらず、グラディスには今までにいくらでも毒を盛るチャンスがあったのだから、エルミーネが怪しいというか、ほぼ一択だった。

 これが推理小説なら、グラディスがエルミーネに罪を着せようとして、エルミーネが来た時だけに毒を入れてるってパターンがあるかもしれないが、それにしては毒の効果が遅すぎるのだ。

 特に前回はアリスが夕食を平らげグラディスが食器を下げた後にアリスの具合が悪くなった。今回も、小腸にたどり着いてようやく毒の本軍が吸収され始めたことから、遅効性の毒なのだと考えられる。これでは、グラディスが罪を着せようとエルミーネが来ているタイミングで毒を盛ったとしても、毒の効果が出る前に自分の夕飯がアリスの口に入るので何の意味もない。自分の出した食事の直後にアリスが倒れるとか最悪だ。

 だいたいグラディスが犯人なら、アリスが病気で倒れた時にそのまま殺しちゃうほうが自然だしな。


 これで、事態はフェイズ2へと移行だ。エルミーネが実行犯であるのは十中八九間違いない。

 城の中で情報を集めるための情報網も構築した。

 次は黒幕(居ないかもしんない)探しだ。ここからは急を要する。

 フェイズ2ですることは3つ。


 一つ目はエルミーネが来るたびに毒を盛るかを確認をし且つアリスを守ること。

 二つ目は今まで通りの情報収集、城の中の人間関係を探ること。

 三つ目はエルミーネに感染して黒幕を探し出すこと。


 一つ目、二つ目は今まで通りだ。問題の三つ目の進め方は次のような方法を考えている。

 エルミーネはアリスに勉強を教えている際、教科書のページがめくれない時に、稀に指をなめる癖がある。

 そこを狙う。

 アリスの指先から教科書へ、教科書からエルミーネへという具合だ。

 エルミーネに取りついてさえしまえば、運が避ければ黒幕直結だ。それにエルミーネに感染していれば、彼女に自分のスキルを行使することができる。

 最終的にはエルミーネがアリスを殺さないようにしなくてはならない。

 このアリス暗殺阻止作戦だが、最終の第3フェイズが一番難しい。

 第一フェイズの実行犯についてはまあ、ほかに容疑者いなかったし、さらっと判明。

 第二フェイズの黒幕探し(いれば)は、いろいろ懸念点は多いものの、エルミーネに感染さえしてしまえばつつがなく進む可能性が高い。

 そして、第三フェイズ。犯人をどうやってやりこめるかが問題だ。

 今んとこ自分はパラメーターを下げるくらいしかできない。

 いや、そうだったのだが、実はこの戦いのおかげでかさっきレベルが上がった。新たなスキルポイントを入手している。【症状】系のスキルを取るのもアリだ。

 真っ先に思い付くのが、【症状】系のスキルを上げて、殺っちゃうこと・・・なんだけどさすがになぁ。それに【発熱】【痒み】【嘔吐】で人が殺せるとは思えない。

 あるいは、細胞数を爆増して気絶させ、アリスと同じ病気にして身動き取れないようにしてしまうことなんだけど、多分、エルミーネを気絶させてしまうと、アリスがうつしたことになってしまうだろうからこれもできない。

 倒れるとしばらく部屋から出ないアリスのことだ。誰かにうつすことを絶対に気にしている。なのでこれは最後の手段。

 どうにかして、誰かにエルミーネが犯人であることを気づかせることができればよいのだが、そもそも自分が毒をやっつけてしまったために、アリスに毒が盛られていることすら周囲には露見していない。

 埒が開かない。

 ともかく、先の事は後だ。

 まずはエルミーネに感染することと、アリスを毒から守り続けることだ。先の解決策はそのうち思いつくだろう。


 そういえば、アリス毒殺未遂の最中に、まったく関係のない話で申し訳ないが、最初にコンソールに最初に二つ並んでいた1、前回のレベルアップの段階で少し違いが出ていた。

 1,1 → 2,2 → 3,4と数値に違いが出てきたのだ。そして、今回レベルアップで4,8となった。左の数値はひとつづつ上がり、真ん中の数値は倍々でふえているみたいだ。たぶん、左がレベルなんじゃないかな。

 ちなみに一番右は未だ0で増える気配がない。相変わらず謎パラメーターだ。

 ま、何か知らんが強くはなっていると思っておこう。

 以前グラディスに感染を試みたがまったく感染することができなかった。人間に感染するということは難しく、エルミーネに対しても策があるとはいえかなり困難を極めるだろう。それにここ最近は運が陰っているのか人間以外にも【感染】成功できていない。

 まずは一歩一歩だ。

 コンソールからスキルリストを開き、【経口感染2】を選択する。


 『スキルを取得しますか? スキルポイント1→0   Y/N』


 YESを選択する。【経口感染2】の色が変わり、隣に【経口感染3】が追加された。

 それと同時に【飛沫感染1】の色が濃くなり選択ができるようになった。前提スキルを手に入れて取得ができるようになったようだ。

 【飛沫感染1】のポップアップを見てみると『飛沫を通じて遠距離に感染することができるが、感染力は低い』と書いてあった。

 感染経路としては飛沫感染のほうが感染力が強い気もするが、暴露の頻度を除いたうえでの感染力なのだろう。

 つまり、【飛沫感染】で感染しようとすると、ばらまく分には簡単にできるし、バラまいてしまえば誰かに当たる確率も高い。ただ、一つ一つの暴露については感染が成功する可能性が低いということだ。一方で、例えば【経口感染】で感染しようとすると、口に入れてもらわない限り感染できないが、口に入ってしまいさえすれば簡単に感染できる。そういったところなのだろう。


 これで、少しはエルミーネに感染しやすくなったはずだ。

 早くエルミーネに【感染】をしたいものだが、対人間感染がそう簡単にいくものだろうか・・・。


 そんな心配はさっくり裏切られ、作戦は見事にハマりって次の授業であっさりエルミーネに【感染】できることとなる。

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