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ロード・オブ・ロード〜零白の皇〜  作者: スメラギ・零
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四章-五節【円卓の騎士達】

見事なステンドグラスや装飾で彩られた城のメインホールーー各階に通じる大階段を前に、零牙達は踊り場を見上げて足を止めていた。

零牙、刹那、アイナス、アリシア、フェンリル、モルガン、クレア、エレインは一様に、踊り場にて立ち塞がった者達を見据えていた。






ーーガァン‼︎

暗い霧に覆われた剣を床に突き立て、冷たく爛々と輝く眼で侵入者たる零牙達を見下ろす、全身鎧(フルプレート・メイル)の黒い騎士と白い騎士。

立ち塞がった騎士を一瞥しただけで、2人が強者である事を零牙達は感じ取っていた。


だが、その身に纏う“独特”の気配と殺気は冷たい冷気の様にメインホールに拡がり、2人の騎士が強者である事を零牙達に改めて強く認識させるとともに、“酷く歪”な存在であると言う事を意識させた。


「円卓の騎士・・・」

「その様です。しかし、道中の騎士達からも感じていましたが・・・ーー”死霊術“の匂いですが、微かに生者の匂いも混じった匂いですね・・・」

フェンリルは顔を顰めながら、零牙に言った。


「・・・貴方・・・達は・・・ーー・・・ッ⁉︎」

アリシアは2人の騎士を見て驚愕と唖然が入り混じった表情で呟くと、突如として感じた頭痛に金髪をくしゃりとする様に頭を左手で抑えた。

「「アリシアさん⁉︎」」

「「お嬢様⁉︎」」

「アリシア・・・」

刹那、アイナス、クレア、エレインが心配した声を上げた一方で、モルガンは心配そうではあるものの意味深に見つめていた。


「・・・う・・・ッ・・・‼︎」

アリシアの脳裏には、玉座の前に立つ自身と同じ髪色と違う髪色の”自身と瓜二つの2人の女性“と、13の騎士と多数の下級騎士がその前に跪く光景がノイズとともに浮かび上がった。

「この・・・光景・・・は・・・ッ⁉︎」

アリシアが妙なビジョンに苦しむ中、メインホールに男の声が響き渡る。




ーー「ようこそ、侵入者諸君‼︎我が城へ。我が名はアーサー・ペンドラゴン。ブリテンを統べる真の王である」

心底愉快そうで、それでいて巧みに隠そうとしてまるでこちらを嘲る様な口調だった。

アーサーが告げるーー愉悦の笑いをこぼしながら。

ーー「クク・・・そこの2人は、かつての我が円卓において最強と謳われた騎士達だ。私に謁見したいのであれば、まずはその2人を倒してくるが良い。さあ、我が騎士達よ。侵入者を排除せよ!」


ーーガチャン、ガチャン・・・

王の命令を受けた2人の騎士が、金属音を響かせながらゆっくりと階段を降りてくる。


「・・・・・・行くぞ、フェンリル」

「ハッ!」

零牙とフェンリルが一歩前に出て、騎士達を迎え撃とうとするがーー









「お待ち下さい!零牙様、フェンリル殿」

2人を遮り、クレアとエレインが前に進み出る。


「皆様は先へ。この場は私とエレインにお任せを。いえーー“私とエレイン”がやらなければいけません」

「・・・・」

クレアとエレインは何か感じ取っているのか、確信に満ちた瞳で階段を降りてくる2人の騎士を見据えていた。

そして2人は、未だ頭を押さえるアリシアと側で支えるモルガンを見つめた後、零牙を真っ直ぐと見つめる。

「お二人を頼みます。行ってください、零牙様」

「・・・・私達もすぐに追い付きます・・・‼︎」

決意に満ちた2人を見つめかえす零牙は少しの沈黙の後、了承する。

「・・・・・・・・・分かった。この場は任せる。あの2人は伝説の騎士。決して油断はするな」

「「ハッ‼︎」」

「・・・・・行こう」

零牙は2人に頷き、他の面々と共に階段を駆けていく。

零牙達は2人の騎士とすれ違うが、なんの反応も示さなかった。











零牙達が上階に向かった後、メインホールには静寂が空間を支配していた。

対峙する4人の騎士達ーー暗い霧のような物を全身に纏った性別不明の2人と金髪と水色の少女騎士達だ。


双方の間に戦闘開始前の静寂が続く中、性別不明の2人の騎士が動きを見せる。


ーーサァァァァ・・・・

騎士達が纏っていた暗い霧が周囲に拡がる様に霧散していき、全身が顕になる。

鏡の様に磨かれた白と黒の装甲。

白い騎士の鎧は流線形の装甲形状、黒い騎士の鎧は鋭い刃の如き鋭角に近い流線形だ。

少女達は“見慣れた“顕鎧が現れた事に納得しつつ、直後に現れた騎士達の得物を目にし、自分達の考えが正しかった事に思わず呟く。




騎士達が携えていた剣の全容が顕になっていくーー


「やはり・・・!」

「うん・・・思った通りだった」


黒の長剣と、剣身に鎖をがんじがらめに纏った白の長剣ーー反転した色の【聖剣・ガラティーン】と【魔剣・アロンダイト】だった。


2人の騎士はいっそ乱れぬ同じ動作で聖剣と魔剣を構え、戦闘態勢に移行した。

その瞬間、冷たい無機質な殺気が2人の騎士から放たれ、クレアとエレインに重圧としてのしかかる。


伝説の騎士達のが放つプレッシャーに武者震いを感じながら、クレアとエレインは言う。


「・・・クレア、やはりあの方々は・・・!」

「ええ、間違いない・・・‼︎我等が祖ーーサー・ガウェインとサー・ランスロット‼︎」


騎士達は戦闘態勢に移行しながらもすぐに仕掛ける事はせず、クレアとエレインに聖剣と魔剣の切っ先を向けてジッと構えるのみで、まるで「お前たちも構えろ」と言っている様であった。


クレアとエレインは顔を見合わせて頷き合い、携える自身の剣を前方に掲げる。




「「拘束解放(バインド・リリース)・・・‼︎」」

ーーガシャ!ガシャ!ガシャ!

ーージャララララ‼︎

白銀の長剣の剣身がスライド展開し、漆黒の長剣は剣身をガチガチに雁字搦めに覆い隠していた鎖がのたうち回る様にそのとぐろを解いていく。


二振りの剣が真の姿を顕していくと同時に、クレアとエレインの魔力も比例する様に急激に上昇していく。



伝説の騎士達はそれを待っていたかのように、自分達の剣をクレアとエレイン達の様に掲げ、同じ様に拘束を解除し始めた。


剣の力を解放していくと少女達と同様に、騎士達の魔力が増大していく。

だがその魔力は少女達よりも遥かに濃密であり、また力の解放速度も桁違いであり、2人が解放を終えた時には、既に騎士達の解放は終えていた。


伝説の騎士とその末裔ーー




剣の切っ先を突き付け合い、一瞬の静寂の後ーー











ーーギィン‼︎


四つの刃が交錯した。








ーーブリテン島・沖合50キロ付近


戦艦5隻からなる艦隊が進軍していた。



「付近に敵影無し‼︎敵防衛網を突破したものと思われます‼︎」

連合艦隊の中で、自分達がいち早く上陸出来そうな状況に昂揚した様な声で報告すしたレーダー担当の乗員に、壮年の艦長はちゅうい

「油断するな!敵は召喚魔法を行使している。いつ何時現れるか分かったものでは無い。海岸線沿いの防衛兵器が沈黙しているとは言え、ここは敵陣の只中だ。各艦並び総員に通達!即応出来る様に厳戒態勢を維持せよ‼︎」

『アイ・アイ・サー‼︎』


そして1分としない内に、状況は一変する。









ーービー、ビー、ビー、ビー‼︎

「何だ?どうした⁉︎」

接敵までまだ幾分か猶予があると予測し、席について少し息をつこうとしていた壮年の艦長は、弾かれる様に座り掛けた所を立ち上がり、鋭く報告を求めた。

「ぜ、前方に膨大な魔力を検知‼︎・・・1・・・2・・・3・・・、い、5つ!暫定魔力ランク・・・神・・・神・・・そ、そんな⁉︎う、嘘だろ⁉︎」

レーダー担当の乗員が、あり得ないものを見た様な表情と困惑の眼差しを壮年の艦長に向ける。

「報告を‼︎」

神クラスの複数出現ーー動揺をあらわにしながら、レーダー担当が口にした事実に艦長も内心驚愕したが、そんな事をおくびにも出さずに続ける様に強く促した。

だが彼も、レーダー担当が次に報告した事に動揺を内心に留める事が出来なかった。

「は、は・・・!・・・・前方500メートルに、敵性存在と思われる5つの魔力反応が出現!・・・内3つは神クラスと推定され、残り2つは・・・・」

レーダー担当は少し言い淀む。

「ーーーーーーー“測定不能”です」

艦橋内が驚愕に包まれる。

「そ、測定不能だと⁉︎確かなのか⁉︎」

レーダー担当がコンソールを操作し、空中に周辺地形とともに魔力反応が確認された地点をホログラフィック投影した。

投影された立体映像には5つの魔力反応の内、3つには魔力量の数値が暫定クラスと共に示されているが、残り2つの数値とクラスは狂った様に変動し続けていた。

「・・・・・・」

艦長はこめかみを押さえ、どうするべきか考えを巡らせる。

(どうする?敵の防衛線を突破出来たのだ。このまま前進するか・・・?だが、相手は神クラス・3に測定不能・2。我が艦隊の戦力だけで対処できるか?トップ7かビッグ3並の戦力がいれば話は別だったが・・・)

「た、確かなのか・・・?測定不能と言うのは・・・計器の故障か、もしくは測定に値しないという可能性はないか?」

自分の副官がレーダー担当にそう聞いているのを聴き、内心で否定する。

(その可能性も無くは無いが・・・だからと言って希望的観測など論外だ。現状における我が艦隊の戦力ではアレらを相手にするのは部下を無駄死にさせる様なものだな・・・ならば、取るべき行動を一つ)

艦長はばっと立ち上がり、艦隊総員に向けて命じる。

「総員に通達する‼︎現有戦力では敵増援への対処を不可能と判断。よって我が艦隊は現海域より離脱し、本隊に合流する‼︎」

「し、しかし艦長・・・!敵は少数です!いくら神クラスといえど、この数で当たればーー」

副官のその言葉に、即座に艦長が遮る様に言う。

「却下だ!敵の詳細が不明の状況で、複数の神クラスとそれを凌駕する可能性のある敵と対峙するのは、部下に死を強いる様なものだ。それよりは本隊と合流し、この事を我が方の最高クラスの戦力に知らせて共に対処する方が、被害を遥かに最小限に抑えられるかつ撃破出来るだろう」

納得した副官は頷き、号令をかける。

「了解しました。全艦隊、直ちに反転‼︎現海域を最大船速で離脱し、本隊に合流する‼︎」



その直後、艦隊は展開していた兵士達を収容し、離脱していった。









ーー・・・前方海域



「撤退していく。我等に勝てぬと判断したか・・・雑に防衛線を突破したわけでは無い様だな。懸命な判断だ」

全長6メートルはあろうかという巨大な大剣を担いだ全身傷跡だらけの黒い体毛の“熊の獣人”が、敵を称賛する様に言った。

その言葉には、何故か安堵したかの様なニュアンスが微かに含まれていた。

その近くで目を閉じて佇み、“狼の様な獣耳”をピンと立てて周辺を探っていたボサボサとした紅髪の褐色の美女が、目を開いて言った。

グラマラスな彼女は露出度の高いラフな服装をし、“フサフサとした尻尾”が生えていた。

「島には既に別働隊が上陸している様だ。それと展開しているこちらの海上戦力は、既に虫の息だな。どうやら、再召喚されたそばから“鎧持ち”達に撃破されている様だ」

軽装鎧を纏い後ろ髪をアップに纏め槍を携えた金髪の美女と、長刀を腰に差し着流しに身を包んだ黒髪ポニーテールの美女は、無言で周辺を警戒していた。

「ほう、あちらにも出来る者がいるという事か。そうで無くてはな。ーーどれ、ひとつ挨拶するとしよう」

純白の衣装に身を包み蒼いマントを靡かせる金髪の少年ーー【レオンハルト】が言った。

側に控える黒髪ロングの美少女ーー【アルティア】が言う。

「皇が自らが出向かれると?我等だけで十分かと思いますが・・・?」

「ああ、そうだろうさ。だが一応、我等は客人だ。挨拶は必要だろう?」

顔だけ振り返りアルティアにそう言ったレオンハルトは、好戦的な笑みを浮かべていた。

「では行くとしよう。お前たちは、島に侵入した奴等の相手をするといい」

『イエス・マイ・ロード』

そう言ったレオンハルトは、海上の最前線に向けて飛び去った。


残された者達は島の方へ振り返り、何かを示し合わせる様に頷き、ブリテン島に向かった。












ーー・・・キャメロット城・玉座の間


重々しい音を響かせ、玉座の間への巨大な扉が侵入者達を迎える様にひとりでに開いていく。


零牙を先頭に、一行は警戒しながら足を踏み入れるとーー

「ようこそ、侵入者諸君‼︎我が城へ!」

荘厳な雰囲気の空間の奧ーー玉座にふんぞりがえる様に座っている男が、歓迎しているかの様に大仰に両腕を広げながら言った。


玉座の眼前には一振りの長剣が突き立てられ、その両側に外套を纏った9人の騎士達が控えている。

表情は目深に被るフードによって窺い知れないが、皆が一様に零牙達に視線を向けていた。


そして玉座に座る純白の外套を纏った男は、目深に被ったフードの奧からは龍を模した仮面が覗かせ、その表情は完全に分からないが、その態度からはこちらを見下している感じが滲み出ていた。


零牙は純白の外套の男を見据え、訝しげに尋ねる。

「・・・お前がアーサー王か?」

「ほう、何故疑問形なのだ?我が騎士王・アーサーである事は、この剣を所有している時点で疑いようの無い事実なのだが?」

純白の外套の男ーー【アーサー】は、眼前に突き立てられられた長剣ーー【カリバーン】を顎で示しながら面白そうに聞き返した。


「剣を所有しているだけでは、そうとは限らないだろう。それにその剣ーーーーー“機能停止”しているな」

この部屋に入ってきた時から観察していた零牙は、じっと剣を見つめながら断言した。

だがアーサーは、そんな事どうでもいいと言った様子で意にも介さず返答もせず、零牙の後方にいる人物に眼を向ける。

「これは驚いた・・・!末裔であるが故に似ているのかと思っていたが・・・こうして直接目にして得心がいった。どうりで遺産も探しても見つからなかった訳だーーーーーーーー」


アーサー?は驚愕と心底愉快そうな口調で、その美女と彼女が支える美少女に話しかけた。



そしてアーサー?が再び口を開くよりも先に、この場へ乱入者が現れる。





ーーズガァァァン‼︎


黒い稲妻による衝撃と轟音を轟かせ、玉座の間の天井をぶち抜きながら、外套を纏った人物が零牙の眼前へと降り立った。


「ッ⁉︎貴女は・・・‼︎」

「・・・・」

その美女は、片膝を突いた着地姿勢のまま背後の零牙達に目深に被ったフード奧から優しげな視線を向けると、キッとアーサー?に鋭く殺気を込めた視線を向け絞り出すように言う。

「やっと会えたな・・・・ーー“このペテン野郎”・・・‼︎」


そんな殺気を当てられていながら、アーサー?は新たな乱入者を面白そうに眺めながら言う。

「これこれは・・・まさか貴女まで現れるとは!1人いませんが勢揃いではありませんかーーーー














ーーペンドラゴン四姉妹が」





ーー四章-五節【円卓の騎士達】・終

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