四章-四節【キャメロット城へ】
ーーザシュン‼︎
キャメロット城への道を高速で進軍する最中、零牙はすれ違いざまに騎士を斬り伏せた。
零牙は、前方の城門に集結する敵群を見据えて呟く。
「やはり入り口の守りは固いか・・・」
「私にお任せを!」
そう言ってフェンリルが急激に速度を上げ、零牙の前に躍り出て、白銀の毛並みをたなびかせながら敵群に突撃していく。
「我が皇の道を開けよ!“囚われ”の騎士達よ‼︎」
勇ましい獣の声が響く。
城門を守る騎士の大軍に突撃を掛けた蒼白の狼が、その巨大な尾を残像すら置き去りにする速度で一閃し、北欧神話に名高き神狼ーーフェンリルは敵を容易く撫で斬りにする。
「流石だね、フェンリル。私も後に続こうか!」
その言葉の直後にフェンリルの横を高速で通り過ぎ、銀黒の髪の美女ーー澪凰が敵に突撃していく。
城門を守る全長4メートルの巨大な騎士2体が、フェンリルに攻撃しようとしていたまさにその時だった。
そして巨大な騎士が急速接近する澪凰に反応する事も出来ずにーー
「斬‼︎」
周辺に展開していた騎士共々、2体の巨大な騎士は両断された。
澪凰はそのまま、眼前に聳え立つ厚さ五メートルはあるであろう重厚かつ巨大な城門を見据え、ニイッと好戦的な笑みを浮かべ、流れる様に納刀しながら居合いの構えを取りーー
ーーカチン・・・
最後の納刀しか認識出来ないほどの神速を持ってして城門に格子状の斬撃の軌跡を刻み込む。
ーードォォォォォォォン‼︎
そして一拍おき、まるで爆ぜる様に内側へと城門が切り刻まれながら残骸を撒き散らした。
その際、横一列で隊列を組んでいた騎士達はその残骸によって薙ぎ倒された。
巻き起こった土煙を引き裂く様に、澪凰とフェンリルが城内に侵入を果たしーー
「ーー“狼の(フィンブルヴェト)終冬”‼︎」
「ーー四の太刀・龍閃抱翼‼︎」
城内へと通じる中庭で防衛態勢を整えていた騎士達を、無数の全方位同時斬撃波と氷結波が襲い掛かる。
騎士達は絶対零度の冷気によって反応する事を封じられ、掠りでもすれば両断される斬撃波によって斬り刻まれた。
城門から侵入後、僅か十秒にも満たずに中庭の制圧を完了した。
「さあ零牙達、入って来て」
「露払いは完了しました」
「流石、澪凰姉さんとフェンリル。何か作戦開始から、俺は働いてないから悪い気が・・・」
零牙がそう言いながら、他のキャメロット城制圧組を引き連れて中庭に入って来た。
ちなみにスカアハはマーリンの護衛を買って出て、制圧組から離脱している。
「この様な物言いは騎士達には申し訳なく思いますが・・・この程度で零牙様のお手を煩わせる訳には行きません」
中庭に散乱し、自分達がバラバラにした騎士達の残骸を少し申し訳なさげに見つめながら、フェンリルが言った。
フェンリルに澪凰が同意する。
「そうそう、零牙は大事な場面で頑張って貰わないとね。雑兵は私たちに任せおけばいいんだよ」
澪凰が漆黒の大太刀の刀身の背を当てる感じで、軽く肩にポンポンとしながら言った。
「ああ。澪凰の言う通りだ」
突如、城内に通じる扉方向から凛々しい声が聞こえ、その場の全員がそちらに顔を向けると同時にーー
ーードォォォォォォォォォォォォン‼︎
凄まじい轟音を立てて、巨大な扉が粉砕された。
扉を粉砕したのは、黒金ポニーテールの美女【レーヴェ・ヴィクトリア】だ。
彼女はピッチリとした専用スーツに包まれスラリと伸びた美しい美脚を持ってして、一撃で蹴り砕いたのだ。
「零牙は“大事な場面”で力を使わないといけないからな。そんなに気にする必要はないさ。さ、とっとと城を制圧しようか」
そうレーヴェが気さくに零牙達を促した、その時だったーー
ーーズン・・・・
『ッ⁉︎』
突然、大気そのものが重くなったかの様な重圧が全員を襲った。
「これは・・・」
零牙が発生源の沖合を向きながら呟いた。
途轍もなく濃密な圧力と存在感だった。
今までの敵対者で、零牙が相対した事がない程の戦闘力の持ち主であろう事が明白だった。
「4人か・・・。へえ?中々のものじゃないか」
澪凰が好戦的な笑みを浮かべ、戦場に出現した敵の新手に意識を向けていた。
「このプレッシャー・・・奴等か?」
「どうやら、そのようですね」
レーヴェは鋭い眼差しで、龍姫はあくまでも穏やかな口調を崩さずしかし僅かに闘争心を滲ませながら、敵が出現した方を見ていた。
「零牙。冬華達は海岸の掃討で忙しいだろうし、私と澪凰と龍姫で敵の増援に対応するよ。いいかな?」
レーヴェが沖合方面に歩き出しながら、零牙に聞いた。
既に行く気満々である澪凰と龍姫も同様である。
レーヴェは、澪凰、龍姫、そして自分が抜けても戦力的に問題無いだろうと判断し、零牙の返事を分かっていながら聞いたのだ。
「分かった。3人とも気を付けて」
零牙はすぐに了承した。
「大丈夫、大丈夫。すぐに終わらせてくるよ」
「そちらも油断なきよう」
零牙の返事を聞いた澪凰と龍姫は何でも無い事の様に軽い感じで答えた直後、レーヴェ、澪凰、龍姫の3人は迎撃に向かった。
3人を見送った後、零牙は破壊された城内に通じる入り口の前に立ち、背後に続く面々に言う。
「よし、行こう。キャメロット城を制圧する!」
『了解‼︎』
零牙は刹那、アイナス、アリシア、フェンリル、モルガン、クレア、エレインを引き連れ、キャメロット城へと足を踏み入れた。
ーー・・・四章-四節【強襲する龍達】・終




